130ヤードの“癒し系”ショートが実は危険! 盛況のゴルフ場でパー3の打ち込み事故が増えている理由 | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

130ヤードの“癒し系”ショートが実は危険! 盛況のゴルフ場でパー3の打ち込み事故が増えている理由

ベストシーズンとあって、週末ともなればゴルフ場はどこも満員御礼。運営サイドは喜色満面と思いきや、そうとばかりもいっていられない状況もあるようです。短めのパー3であまり見られない打ち込み事故が増えているといいます。

パー3で後続組に打たせるときは必ず物陰に隠れること

 唐突ですが、ゴルフで最も大事なこと、気をつけなければならないことは何でしょうか? 「やはり立ち居振る舞いのマナーですよね?」「プレーファストだと教わりましたよ?」といった答えが多いでしょう。

 結論としては、どちらも正解です! でも、実はもう一つ、決して忘れてはならない大事なことがあります。それは安全の確保です。

普通ならやさしいと感じる距離でも、前の組が見ていると思うとプレッシャーになるのかもしれません 写真:AC
普通ならやさしいと感じる距離でも、前の組が見ていると思うとプレッシャーになるのかもしれません 写真:AC

 ゴルファーがプレー中安全面に気を配るのは当然のことですが、最近はプレーファストを優先しようとするあまり、安全についての意識や配慮が二の次になりがちではと多くのゴルフ場関係者は懸念しています。大きく曲がったボールが運悪く隣のホールをプレーしている人を直撃してしまうような事故は、以前から偶発的に起きていました。しかし、このところ後続組のプレーヤーが打ったボールが前の組の人に当たってしまった打球事故が目立つといいます。

 ということは……打ち込み? そう思い浮かべる人がいるかもしれませんが、あるゴルフ場の関係者であるAさんは次のように明かします。

「いわゆる“打ち込み”とは少し違います。混雑時によくありますが、ショートホールで前の組が後続組に『どうぞ』と打たせますよね。その際に発生した打球事故です。130ヤード前後のショートホールで起きているのですが、私の周りでは今年に入って2件ありました」

 いわゆる「コールオン」に応じて後ろの組が打ったボールが、前の組の人に当たってしまったというのです。パー3のなかでも距離の短いホールです。前の組はよそ見でもしていたのでしょうか。

「油断したわけではないと思います。130ヤードというと、一般ゴルファーだったら9番アイアンか8番アイアンの距離です。うまく打てれば球が高く上がってグリーンオンを狙いやすいでしょう。ただ、ショートアイアンといえども人前で打つときは緊張します。よけいな力みやヘッドアップを招いてミスショットになることも珍しくありません」

「トップすると140ヤードくらい飛んでしまいますが、低く勢いよく飛んでくるライナー性の打球なので余計に危険です。防護ネットの後ろに隠れていなければ瞬間的に避けるのは難しいでしょう。前の組は『ここまでは飛んでこないだろう』と思い込んで防護ネットの後ろに隠れなかったため、後続組のショットを見守っていた一人に直撃したのです」

 いまの時期、週末はどこのゴルフ場も混んでいます。ショートホールをプレーしているときに後続組がティーイングエリアで腕組みしているのが見えたり、「遅いなあ」といった声が風に乗って聞こえてきたりするのは気分のいいものではありません。プレーを急ごうと焦りもします。

 だからといって、煽られるがまま安全を確保しないうちからコールオンの合図を出すのは早計です。ましてや防護ネットの後ろに隠れなかったのは安全意識が低いといわざるを得ません。前の組は、同伴者が最後にアプローチしたボールをマークし、必ず全員が防護ネットの後ろに避難してからコールオンをするよう徹底しましょう。防護ネットがない場合は木陰に隠れるなどの自衛策をとるべきでしょう。

 一方、防護ネットに入るのを確認しなかった後続組もまた、安全に対する意識や配慮を欠いていたといえます。前の組を煽るような動作はせずに待ち、オナーは前の組の合図を受けて初めてティーアップするくらいのタイミングを心がけるといいでしょう。もちろん全員防護ネットの裏に入ったのを確認してから打つことが大事です。

 ゴルフ場の打球事故では、ボールを当てられた側が負傷し、当てた側はその責任や補償を負うこととなり、両者がつらい思いをします。けがの度合いや状況によってはトラブルが長引くケースもあると聞きます。必ず利用して安全確保、それをしっかり見て安全確認。前の組と後続組がお互いに高い安全意識をもち、パー3での打球事故を防ぎましょう。

ピンを立ててパッとするのが基本となり打ち上げホールでリスク増

 また、グリーン上でピンを立てたままパットを打てるようになったことも、ゴルフ場関係者の間でリスク要因として心配されています。

「ピンを抜いたり立てたりする手間を省けばプレー時間の短縮はできます。ただ、プレーファストの心がけはありがたい一方、打球事故が心配です。打ち上げでグリーン面が見えないホールでは、グリーン上にプレーヤーがいるかいないか、後続組の判断がつきづらくなっています」

「以前はピンフラッグが見えなければ前の組はまだグリーンでプレーしている。ピンフラッグが見えれば前の組はホールアウトしてグリーンにはもういないと判断できました。でも今は、ピンフラッグが見えるのはホールアウトしてピンを差したからではなく、ピンを立てたままパットをしているからかもしれません。グリーンに人がいるかいないか、プレーヤーは必ず安全確認をしてから打つことが大事です」(ゴルフ場関係者Bさん)

 グリーンに人がいるかいないかは、前の組の動向をよく見る、カートの位置を観察する、グリーン面が見えるところまで歩くなどして確認しましょう。また前の組は、後続組から見える位置にカートを停めることで自分たちがまだプレー中であると知らせることができます。

「プレーセーフティー」「プレーファスト」。ゴルフ場の渋滞時ほど、ダブルタスクを心がけましょう。

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