16万円のパターをビギナーに勧めるショップもある
ゴルフはキャディーバッグに14本のクラブを入れることができます。最初から14本を買いそろえる必要はありませんが、ゴルフ量販店に行くとハーフセット(7本セット)かフルセット(14本セット)のどちらかを勧められます。クラブはすべての番手の振り心地が同じになるように、重さのバランスを整えたほうがいいからです。
アイアンセットは昨今、5本セット(6~9番アイアンとピッチングウェッジ)が主流になっていますから、それ以外の9本を単品で購入することになります。
ドライバー1本とパター1本は確定で、それ以外の7本をフェアウェイウッド、ユーティリティー、ウェッジで何本ずつにするかはゴルファーの好みによります。
フェアウェイウッド2本(3、5番ウッド)、ユーティリティー3本(3、4、5番ユーティリティー)、ウェッジ2本(アプローチウェッジ、サンドウェッジ)が最もオーソドックスでしょうか。
いずれにしても、ゴルフ量販店で新品のフルセットを購入するとなると、それなりの金額になります。アイアンセット約10万円、ドライバー1本5~10万円、フェアウェイウッド1本3~4万円、ユーティリティー1本2~3万円、ウェッジ1本2万円前後、パター1本2~3万円といったところでしょうか。
ところが先日ラウンドをご一緒した40代男性の経営者の方からビックリする話を聞きました。その方は仕事のつき合いで1年半前にゴルフを始めることになり、何も分からぬまま大手ゴルフ量販店にゴルフ用品一式を買いに行ったそうです。そうしたらフルセットとキャディーバッグ、ゴルフシューズの購入を勧められました。
そこまでは普通の話ですが、何と1本16万円のパターを勧められて購入したとのことでした。おそらくドライバーやアイアンのフィッティングをしているときの予算感で、「この人はお金を持っていそうだ」と思われたのでしょう。
しかし、いくら何でも初心者に16万円のパターはやりすぎです。その金額を払うなら1本2万円のパターを8本購入し、実際にゴルフ場で使ってみて最も距離感が合うパター1本を選定し、7本のパターを中古ショップに下取りに出したほうがいいです。
1時間3万円以上のゴルフレッスンもある
ゴルフレッスンも近年は驚くほど高額なプランがあります。ゴルフメディアやユーチューブで人気を博している著名なティーチングプロやプロコーチのレッスンは1時間3万円以上の金額で販売されています。その金額で販売しているということは、購入する人がたくさんいるということなのでしょう。
ゴルフというスポーツはちょっとした気づきによってスイングが大きく変化したりします。その気づきを与えてくれる(可能性が高い)人にレッスンを受け、実際に気づきを得られるのであれば、3万円以上でも高くないのかもしれません。ただし、1時間のレッスンに3万円以上出せる人は限られています。
幸いなことにゴルフレッスンは1カ月1万円以内で通い放題のプランを打ち出しているゴルフスクールも増えており、高額レッスンを受けなくてもゴルフの基礎を習うことはできます。こちらのほうがゴルファーの実態に則しているのではないかと思います。
今の日本は格差社会が広がっており、莫大な資産を持っている人とそうでない人がいます。資産を持っている人から多額の料金を取りたい気持ちは分かりますが、ゴルフ業界が掲げている「ゴルフをみんなのスポーツへ」というスローガンを考えると、高い商品を売りつけるのではなく、安くて良質な商品を広めるほうに向かってほしいと感じます。