自動運転だからと過信することなかれ！ 電磁誘導式カートで注意すべき点と事故が起きたときの対処法とは？

　多くのゴルフ場でカートを取り扱っていますが、近年は電磁誘導に沿ってリモコンでの遠隔操作ができるタイプが増えました。

　カートは1組に1台が基本なので、詰まらない限り車間距離は十分取られており、スピードもそこまで速くないので、事故はあまり発生しないイメージを持つ人もいるかもしれません。

　しかし、実際はカート事故がしばしば起きているようです。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏（株式会社TPC代表取締役社長）は以下のように話します。

「近年では、電磁誘導で自動運転や遠隔制御ができるタイプが主流になっていますが、電磁誘導であればカート同士がぶつかるという事故はほとんど発生しません。このようなカートの場合は後ろのバンパーから電波を出しており、後続のカートは前のカートから出されている電波の届く範囲まで接近すると、止まるようになっています」

　ただ自動運転だからといって事故が起きないとも限らないようです。

「このシステムはあくまでも双方のカートが共に自動運転モードであることが前提となっています。万が一、前のカートが手動運転モードになっていた場合は電波が発射されないため、後ろからカートが近づいてきてもセンサーが反応せずそのままぶつかってしまいます。通常は、自動モードと手動モードを切り替えられないようにキーが抜かれていますが、ごくまれにキーが刺さったままで自由にモードチェンジができる場合もあるので、十分注意が必要です」

　また、対人センサーが付いていないカートもあります。歩きやすさからついカート道を歩いてしまう人もいますが、背後からリモコンで操作された無人のカートが来て、人身事故につながってしまうというケースは多いようです。リモコンを操作する人も十分に気を付ける必要がありますが、歩いている人も「カートの前を横切らない」ことを意識するのが大切だといいます。

　自走式運転のカートは扱いにより注意が必要だといいます。

「自走式は、スピードにリミッターをかけるなどして、暴走行為を起こさないような対策を行っています。しかし、アクセルを全開にしすぎたり会話やナビの操作に夢中になっていたりすると、注意力が低下して、衝突事故が起きてしまうこともしばしば報告されています」

　万が一、プレーの再開ができそうにないほどのカート事故が発生したら、どのように対処すれば良いのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「ゴルフカートの最高速度は時速20キロ前後と言われていますが、シートベルトやエアバッグはついていないので、通常の自動車事故と同等レベルの衝撃があると言っても過言ではありません。『誰が操作していたのか』、『何が原因なのか』などと、事故の状況を事細かく把握するために現場検証が必要になるでしょう」

「ケガの具合を見るとともにキャディーマスター室に連絡をし、スタッフを第三者として仲介役に入ってもらいましょう。さらに、ぶつけられたカートの後ろに積まれているクラブが大きく破損してしまっている可能性があるので、場合によってはケガ、クラブ、カートの3つで損害賠償を負わなければならなくなります。このような事故は誰にでも起こり得るので、ゴルフ保険に加入しておくのをオススメします」

「最新のカートならセンサーもついているから安心」と考える人もいるかもしれませんが、ハンドルやリモコンの扱いを誤ると大きな事故になりかねないので十分注意するようにしましょう。