ゲリラ豪雨や線状降水帯… “普通じゃない雨”が多くなったことはゴルフ場の営業にどんな影響を与えているの？

　今年に入ってからラウンドの予定が雨予報で延期になるケースが相次いでいます。個人的には雨の中でプレーするのも好きなのですが、雨ラウンドをしたくないという人の気持ちも分かるので、延期になった場合は同じコースとメンバーでスケジュールを再調整します。

　そのなかでひときわ印象深い延期がありました。ラウンド予定日はかなりの確率で雨が降る予報だったのですが、2日前の時点では「天気予報が微妙ですが、とりあえずやる方向で準備していただけますか」というメールが届きました。

　この時点で筆者は雨天決行と認識し、レインウエアの状態を確かめたり、グローブが濡れたときのために古いグローブを5枚くらいキャディーバッグのサイドポケットに詰め込んだりして雨ゴルフの準備をしました。

　ところがラウンド前日に電話がかかってきて、「明日は普通の雨ではなさそうなので延期にしましょう」という話になりました。てっきり雨天決行だと思っていたのに「普通の雨ではなさそうなので」というフレーズが出てくるとは予想していませんでした。

　そもそも「普通の雨」と「普通じゃない雨」の違いは何なのでしょうか。ゴルフ場関係者によると、1時間ごとの降水量が判断基準の一つになるそうです。

「1時間の降水量が1ミリ未満の予報であれば予定どおりラウンドする方が多いです。2ミリ以上になるとキャンセルが増えます。でも、2ミリの雨が『普通の雨』か『普通じゃない雨』かと聞かれたら、ゴルフ場からすると普通の雨です。傘を差したり、レインウエアを着れば普通にプレーできますからね」

「では『普通じゃない雨』がどのくらいかというと、4ミリ以上でしょうか。4ミリ以上降ると、グリーンの表面に水が浮いたりバンカー内に水が溜まったりするので、普通にプレーするのは難しくなります。プロトーナメントであれば競技中断になりますし、一般営業のゴルフ場であればほとんどのお客様がプレーを断念されます」

　また、1時間ごとの降水量だけでなく、何時間くらい雨が降り続くかもゴルファーの足取りに影響を与えるとのこと。

「1ミリ未満の雨でも、午前中いっぱい降り続く予報だとキャンセルは増えます。逆に午前中は曇りで午後から強い雨が降り始める予報だと、早めにコースに来て早めにスタートし、雨が降る前にホールアウトしようとするお客様が増えます」

「要するに、雨が降っている時間帯にプレーしたくないんですね。『普通の雨』でもキャンセルする人が多くなり、『普通じゃない雨』でキャンセルするのは当たり前になっています」

　さらに近年は天気予報の時点で「普通の雨じゃないからくれぐれも気をつけてください」という呼びかけが増えているとゴルフ場は指摘します。

「ゲリラ豪雨や線状降水帯といった用語が天気予報で頻繁に使われるようになりました。『道路の冠水や土砂災害に警戒してください』と言われたら、『ゴルフ場に行くのはやめておこう』という判断になります」

「本人はゴルフ場に行きたくても、ご家族から『こんな天気の日にわざわざゴルフをする必要があるの？』といわれたら、ラウンドを断念せざるを得ないのは当然です」

「ゴルフ場としましても、従業員が安全に出勤できるか、お客様が安全にプレーできるかを考慮しながら営業するかどうかを決める日が増えていますから、雨の日にラウンドする人はますます減っていくでしょうね」

　今の日本は6月から10月ごろまで台風の接近などによって大気の状態が不安定になり、局地的な大雨や集中豪雨が発生することがあります。ゴルフは多少の雨でもプレーするスポーツですが、「普通じゃない雨」のときはラウンドを諦める時代なのでしょう。