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- プロや上級者は狙って入れることもある!? プレーを助けることもある「バンカー」の意外な役割とは?
バンカーに苦手意識を抱くゴルファーはとても多いです。なかには、「バンカーなんてなければいいのに」とまで思う人もいるかもしれません。しかし、一部のバンカーにはハザードとは正反対の、"親切 "な面を持つものもあるようです。
バンカーのおかげでOBが回避できている
砂地から打つバンカーショットは、芝の上から打つ通常のショットとは異なる技術が要求されます。その難しさから、バンカーに苦手意識を抱くゴルファーは少なくありません。
「バンカーなんてなければ簡単にプレーできるのに」と思う人もいるかもしれませんが、実はバンカーにはハザードとしての役割とは反対の”親切 “な面を持つものもあるそうです。
では、バンカーの親切な面とは、一体どのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「バンカーにはさまざまな種類がありますが、グリーンの周りを囲うように広がる『ガードバンカー』や、ホール途中のフェアウェイやラフに作られた『フェアウェイバンカー』など、一般的に『ミスショットをしたプレーヤーへの課題』として設置されています」
「確かにそれも事実ですが、バンカーは『OBへボールが転がってしまうのを防ぐ』という役割を持っていることもあります。たとえば、フェアウェイとOBが近接している地点の近くにボールが着弾し、小さな起伏や障害物に当たってイレギュラーなバウンドをした場合には、OBになる確率が上がってしまいます」
「ドッグレッグホール(犬の後ろ足のように“くの字”に曲がったホール)では、ちょうど曲がり角になっているところにボールを落とすのが理想的です。しかし、大きくオーバーするとカーブの外側に出てOBになりやすいです」
「そのような地点にバンカーを配置することで、バンカーがボール止めの役割を果たし、OBに入る事態をできるだけ避けられるようにしているのです。そして、グリーン周りのガードバンカーに関しても、ボールが傾斜によってOBまで転がり落ちてしまうのを防ぐ目的があります」
バンカーが池やガケとの緩衝地帯となって、プレーヤーに「近くに危険地帯がある」ことを伝えてくれている場合もあります。OBや池、ガケ下にボールが容易に転がってしまう状況では、その都度ペナルティーを付けなければならず、結果的にスロープレーの助長につながります。
バンカーは、自らが「障害物」となってプレーヤーの前に立ちはだかりながらも、プレースピードが極端に遅くならないよう、ボールの「ストッパー」としての役目も果たす存在だといえるでしょう。
さらに、プロの中にはパー5の2打目などで遠くからピンを狙う際、「グリーンをオーバーするよりは手前のバンカーに入った方がマシ」という観点から、あえてバンカーをターゲットにする人もいるようです。
ビギナーにとってはバンカーショットは難しいかもしれませんが、プロの間では芝目や長さが異なるラフから打つショットの方が、不確定要素が多く、コントロールしづらくて難しいとされています。むしろ、一度バンカーに入れた方がライさえよければ距離感や方向を合わせやすいので、意図的にバンカーを狙うケースさえあるそうです。
バンカーは戦略性を持ったものへ進化している
また、飯島氏は「歴史的背景からバンカーの配置を考えてみると面白い」と話します。
「元々『バンカー』という言葉は、イギリスのスコットランドで寒い時期に備えて作った、石炭を貯蔵する穴ぐらの呼び名でした。ゴルフ場の原型となった草地には、羊たちが雨や風から身を守るために掘り起こした穴が点在していたのです」
「それらは風雨によって侵食を受けるとともに、海岸から巻き上がった砂が中に堆積し、形状を変化させていきました。そして、いつしか人々は自然発生的にできた穴も『バンカー』と呼び始め、現在の『ゴルフの障害物』としてのバンカーになったのです」
「本来バンカーは自然発生的にできたものであることから、コース内に不規則に置かれるべきかもしれません。しかし実際はティーイングエリアの近くには少なかったりと、若干の法則性が見られます」
「これは、コース設計において『リスクアンドリワード』という考え方が根付いているためです。ドライバーショットで届くか届かないかギリギリの地点にバンカーを置き、戦略性を高める効果を持たせています」
「そして、果敢にチャレンジしてバンカーを乗り越えれば次のショットで報酬を与え、反対にためらったショットでは次に課題を与えることで、ゲーム要素を強めているのです」
ビギナーの中には、苦手なバンカーにハマって絶望を感じたことがある人も多いはずです。しかし、バンカーがあるおかげでOBという最悪のケースをまぬがれたのだと考えれば、少しは「イイ奴」とも思えるでしょう。
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