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- ゴルフにおける「2025年問題」 “団塊世代”はまだまだ元気に見えるけれど… 本当に競技人口は急減するの?
日本のゴルフ界にも近々やってくるとされる“2025年問題”ですが、いったいどのようなものなのでしょうか。
2025年前後に日本のゴルフ人口が一気に減る?
日本は、アメリカやイギリスなどに次いでゴルファーが多いと言われる“ゴルフ大国”です。日本のゴルフ界にも近々やってくるとされる“2025年問題”ですが、いったいどのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「ゴルフは激しい運動を伴わないこともあり、競技人口のうち年齢層が高い人が占める割合は、ほかのスポーツにくらべ多いです。ただ、年配の方が多い分、その人たちが体力面や健康上の理由でゴルフをやめざるを得ない状況になった場合、競技人口がどっと減ってしまう可能性があると言われています」
「そして、終戦直後に起こった“第一次ベビーブーム(1947~1949年)”の時に生まれ、いわゆる“団塊”と呼ばれる世代にあたる人たちがゴルフを引退するであろうタイミングが、2025年前後ではないかと予測されているのです」
「そのため、かねて“2025年問題”が、日本のゴルフ業界に大きな影響を与えるとされているのです。例えば、近々ゴルフをリタイアするかもしれない年齢層のメンバーが多いゴルフ場では、年会費やプレーフィーといった貴重な収入源が大幅に減り、今後の運営に重大な支障が出る可能性があります。このように、経営難に直面するゴルフ場が増えていく恐れがあると指摘されています」
また、日本にはバブル経済の時に多額の建設費をかけて作られたゴルフ場も少なくないですが、ちょうど2025年前後は建設から40年を迎えてリニューアルが求められる頃合いとバッティングします。
特にクラブハウスの老朽化が進んでいるゴルフ場は多く、2025年問題に直面すればゴルフ場の収入が一気に減り、リニューアルすることも難しくなるかもしれません。
さらに、ゴルフ場のメンバーになるには“預託金”をゴルフ場に預けますが、ゴルフ場の収入が減ることで退会した人に預託金を返済する期間が伸びたり、最悪の場合返還できなかったりする恐れもあるようです。
実は10年前にもあった「2015年問題」
しかし、飯島氏は「2025年問題が本当に起きる可能性はそれほど高くない、と個人的には考えている」と話します。
「実は2025年問題と同じく、団塊の世代が一斉にゴルフをリタイアするのではないかという話は10年前にもあり、当時は『2015年問題』と言われていました。しかし、医療技術の発達や人々の健康志向が高まったことなどで、いざ2015年になってみたら予想に反してゴルフを継続的に楽しんでいる人が多く、結果として大した変化はなかったのです」
「そして、今度は『2015年は大丈夫だったけれど、10年後は本当に危ないぞ』という話が持ち上がって、2025年問題が取り沙汰されるようになりました。しかし、それでも団塊の世代に該当する人々の大半はまだまだゴルフを楽しんでいるので、現在の状況から考えてあと数年で日本中のゴルファーが一気に減ってしまう可能性は低いと思います」
「ただ、いずれにせよそういった人たちも、いつかはゴルフをリタイアせざるを得なくなりますから、ゴルフ場側もただ騒ぐだけでなく、競技人口の減少をできるだけ抑えられるような取り組みをしていって欲しいです」
「例えば最近では、高齢者はもちろん障害のある人もプレーしやすくするために、ティーイングエリアの段差を少なくしているところも増えています。それ以外にも、女性や若い世代にゴルフの楽しさを知ってもらうイベントを開催するなどして、ゴルファー全体の新陳代謝を図っていくことがこれからは求められるでしょう」
高齢者でもプレーしやすいコース作りには、総ヤーデージが短いフロントティーを増設して、飛距離があまり出なくなってもスコアを維持できるような取り組みがあります。
一方で、若い世代の間ではコロナ禍によりゴルフが人気となりましたが、「お金がかかる」「なかなかうまくならない」などといった理由で、すぐにやめてしまった人たちもいます。ゴルフ業界は「ゴルフはとっつきにくいものではない」ことを伝えられるような、若者への啓蒙活動を強化していく必要があるのかもしれません。
2025年問題が現実にならなかったとしても、日本そのものの少子高齢化に伴ってゴルフ人口が減っていくのは確かです。しかし、「減ってしまったのは残念」だけで終わらせないためにも、業界全体が一蓮托生で盛り上げていくことが求められるでしょう。
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