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- 「配膳ロボット」の導入や注文のタブレット化など「ファミレス化」が進行中!? “コロナ禍”を経て変わったゴルフ場レストランの現状
日本では、ハーフターンで食事休憩を取るのが定番スタイルとされてきました。しかし最近はスループレーが浸透したことで利用者が減少し、レストランを閉鎖したり、運営方法を変えたりするゴルフ場が増えた印象があります。
コロナがきっかけでスループレーが浸透
日本では、古くからフロントナインとバックナインの間でハーフターンをはさみ、一時間ほど食事休憩を取るのがゴルフの定番スタイルとされていました。
ラウンドによるプレー料金はもちろん、ハーフでの食事代金もゴルフ場の貴重な収入源となるはずですが、最近はスループレーが浸透したこともあり、レストランの利用者は減少傾向にあるようです。
レストランを閉鎖したり、運営方法を変えたりするゴルフ場が増えた印象がありますが、実際のところどうなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「レストランを閉鎖したゴルフ場があったのは事実ですが、決して『増えた』わけではなく、ただ単純にそういったところが『一時的に多かった』だけという表現の方が適切だと思います」
「コロナが流行したことによってゴルフ場内で利用者が集まりやすいエリア、ロッカールームや浴室などの共用部分は使用を規制したり、マスクを外すレストランに関してはクローズを余儀なくされるところが続出しました」
「その結果、クラブハウスで着替えることなくゴルフウエアのまま行き帰りをして、ハーフターンも設けず完全スルーで回るプレースタイルが定着しました。時間短縮効果が大きかったため、むしろスループレーが人気になって『ハーフ休憩なんて無くてもいいじゃん』という風潮も高まりました」
「本来であればゴルフ場はせっかく注目が集まったスループレーに、さらなる付加価値をつけるような取り組みをするべきだったと個人的に考えています。しかし、2024年にコロナが第5類に分類されて規制が緩和されてからは、レストランの営業を再開して従来通りのハーフ付きプレーを維持したままとなっているのが現状です」
ゴルフ場も、持続可能な運営のために客単価を上げて収益性を高めることを必死に行っており、レストランの復活もその一環に含まれています。
ただ、コロナがきっかけで今までマイナーだったスループレーの人気が高まった以上、レストランが以前に比べて重視されなくなっても、売り上げを落とさずに済む策が何かあったのでは……、というのが飯島氏の率直な意見のようです。
一方で、過疎地のゴルフ場を中心に「人材を集めることができなかった」「売り上げが大きく落ち込んでコストカットせざるを得なくなった」といった理由から、レストランを閉鎖した状態で現在に至るところもあります。そのようなコースでは、簡易的な売店を設けて共用スペースで食べてもらうなどの対策が取られているそうです。
“人気なところ”と“そうでないところ”の二極化も進んでいる
ゴルフ場のレストランの中には、コロナ禍を乗り越えて盛況となっているところもあれば、反対に売り上げが横ばいなままのところもあるそうです。では、どうしてそういった“二極化”が進んでしまっているのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「一般的に、ゴルフ場のレストランではドリンクもウエイターやウエイトレスがオーダーを聞いて持ってきてくれますが、なかにはファミレスのようにドリンクバーを設置し、完全にセルフの場合もあります。注文のタブレット化や配膳ロボットの導入も進められており、“二極化”とまではいわなくとも、人員の削減やカジュアル路線への転換は加速しはじめているでしょう」
「ホテルのような高級感を望む声もあるかもしれませんが、ゴルフ場側もプレー料金と食事代金を組み合わせたプランを作り、それを売りとして集客しているので、レストランの規模を縮小したり閉鎖したりすると提供できるプランの数が減り、自分で自分の首を絞めてしまいかねません」
「そのため、コースによっては『自動化できるところは自動化したい』と考えるのは致し方ないと思います。コストカットと利用客の満足度の両方を高めたいのであれば、工場で調理工程を集中させた“セントラルキッチン”を取り入れるのがいいでしょう」
「セントラルキッチンでは事前にあらかたの調理は済んでいて、ゴルフ場では温め直しや盛り付けだけをすればよく、専門知識が少ないアルバイトスタッフでも対応できます。提供時間の短縮とおいしさを両立できるので、利用客の満足度が下がることもなさそうです」
他にもコロナ禍でレストランが減収したことを背景に、今まではゴルフ場でしか味わえなかった料理を誰でも食べられるようにする取り組みをした企業もあります。
兵庫県の「有馬カンツリー倶楽部」でレストラン運営を行う株式会社ニューアリマでは、ゴルフ場で提供している料理を瞬間冷凍してインターネットで販売する事業を始め、ゴルファーから60年以上愛されているビーフカレーやビーフハヤシを自宅でも楽しめるようにしました。
コロナでゴルフ場のレストランは大打撃を受けましたが、それによって新たな存在価値を見出すきっかけにもなりました。人件費の高騰をはじめとしたさまざまな課題もありますが、今後はますます時代の変化に合わせた運営やアイデアが求められていくのかもしれません。
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