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- 実はあなたも普段利用している? 「セミパブリックコース」ってどんなゴルフ場なの?
日本のゴルフ場は、会員制を設けているメンバーシップコースと、誰でも気軽にプレーを楽しめるパブリックコースに大別されています。しかし、実際はそれらに加え、“セミパブリックコース”と呼ばれる形態もあります。
聞き馴染みはなくても実際はとても身近な存在
日本国内には2000カ所以上のゴルフ場があるとされますが、一般的にゴルフ場は会員制を設けているメンバーシップコースと、誰でも気軽にプレーを楽しめるパブリックコースに大別されています。
しかし、実際はそれらに加えセミパブリックコースと呼ばれる形態もあるのですが、聞いたことがない人もいるかもしれません。一体どのようなゴルフ場を指すのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「セミパブリックコースは、メンバーシップ(プライベート)コースとパブリックコースの中間の立ち位置を取っているゴルフ場のことを指します。聞いたことがないという人もいると思いますが、実は日本に現在あるゴルフ場のほとんどは、この方式にのっとって営業しています」
「セミパブリックコースの多くは、もともとプライベートコースとしてオープンしたところが多いです。しかしバブル経済の崩壊によってゴルフ場の運営は急激に難しくなり、預託金の返還や施設の維持・更新など、多額の費用が必要なことがすぐに行えない状況に直面しました」
「そこで、本来はゴルフ場にメンバーとして在籍している人やその紹介、または同伴者のみを受け入れていた間口を広げていきました。メンバーが利用しない枠を活用して、ビジターにも来場してもらえるよう販売し始めたのです」
「こうしてみると、日本のゴルフ場は名目上“会員制”をうたっていたとしても、実際は半分パブリックと化しているところがほとんどなので、“セミパブリック”という言葉自体にあまり馴染みがなくても、身近な存在ということが分かるでしょう」
試しに「セミパブリックのゴルフ場」をネット検索してみると、何カ所かはヒットしたものの、やはり自ら“セミパブリック”であることをアピールしているゴルフ場はほとんどありません。
セミパブリックを公言している数少ないゴルフ場には、「会員数が全体で数百人程度」「近年、経営の再建を図った」といった共通点がある程度見受けられました。「1ホールで100人、18ホールで1800人」が1コースあたりの適正な会員数とされているのを鑑みると、かなり少ないことが分かります。
飯島氏は、「セミパブリックであることをアピールすると、ゴルフ場の知名度や収益アップにつながることもあります。ただしビジターも格安でプレーできる反面、メンバー専用の予約枠が限定されやすいので、『わざわざメンバーになる必要があるの?』と思われてしまう可能性も考えられる」と話します。
完全な“プライベートクラブ”は日本にはもう残っていない?
では、海外ではいまだに健在なメンバーとその紹介・同伴を受けたものしか入場が認められない“真のメンバーシップコース”は、今後日本には登場しないのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「本来メンバーシップコースは、ビジターを積極的には受け入れないのがあるべき姿です。世間的にもプレミアム感や非日常感が求められる風潮が高まっているのも相まって、今後少しずつとはいえセミパブリックではないゴルフ場は増えてくると思います」
「前身のゴルフ場が閉鎖された後にまったく新しいゴルフ場として2021年に再スタートを切った千葉県の『ザ セイントナイン東京』は完全招待制を徹底していて、メンバーの紹介や同伴を受けた人も専用のアプリを持っていないと入ることができません。また、公式の情報発信もほとんど行われていないことから、“究極のプライベートクラブ”ともいわれています」
ほかにも、いわゆる関東七倶楽部や九大ゴルフ倶楽部と呼ばれるゴルフ場も、名門コースとしての威厳を保つため、原則としてプライベートコースの体制を維持しています。
今後、日本の各ゴルフ場が『完全なメンバーシップコースに原点回帰するのか』、それとも『セミパブリックのままでいるのか』のどちらを選ぶかは、サステナブルな運営を続けていくための一つの分岐点になるでしょう」
実は九大ゴルフ倶楽部の一つに数えられる兵庫県の「鳴尾ゴルフ倶楽部」も、バブル崩壊後に「ビジターのみの受け入れも認めて、セミパブリック化すべきかどうか」と議論された過去があります。
しかし、最終的には「鳴尾の今までの歴史とこれからを考えると、他のコースとの差別化を維持しなければならない」として、セミパブリック化は行わず、完全なるプライベートコースのままでいる決断が下されたそうです。
ある意味、多くのゴルフ場がセミパブリック化したことによって、ビギナーがより気軽にラウンドできるようになったといっても過言ではありません。しかし今後はゴルフ場の特別感やプレミア感を維持することを目的に、多くのゴルフ場がプライベート感をさらに押し出していくという方向性もあり得るかもしれません。
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