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- 「マンツーマンで付いてくれた」「ゴルフ場1つにつき100人いた」… 昔と今では違いすぎる“キャディー事情”がスゴかった
最近のゴルファーの中には「セルフプレーしか経験がない」という人も多いですが、ゴルフの歴史から見ると、キャディー同伴プレーが一般的だった期間の方が長いです。日本ではここ数十年の間で、キャディー事情にさまざまな変化があったそうです。
「三輪バイク」など今では見られない光景も
近年ゴルフを始めた人の間ではセルフプレーが普及していますが、ゴルフの長い歴史の中では、キャディーを同伴するプレースタイルが一般的でした。

日本ではここ30〜40年の間で、キャディー事情にさまざまな変化があったといいます。昔と今とでは、一体どのような違いがあるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「現在はキャディー同伴プレーを選択すると、キャディーがカートを運転してくれるのが一般的です。しかし30〜40年前のバブル全盛期はゴルフ場の資金が潤沢だったとしても、乗用カートを導入していたところはごく一部を除いてほとんどありませんでした」
「当時は歩きでのラウンドが常識で、キャディーもプレーヤーのバッグを担いでいましたが、勾配がきつい場所ではさすがに体への負荷が大きいため、4つのバッグを同時に積める荷台が付いた三輪バイクのような乗り物を使っていました」
「しかし、プレーヤーが必死になって上り坂を歩いているのを横目に、キャディーが涼しい顔をしながら乗り物に乗る姿が『不公平・気に食わない』というような意見があったことから、比較的早い段階でその光景は見られなくなりました」
「また、現在は4人1組に対して1人だけキャディーが付きますが、昔はキャディーの数が100人を超えるゴルフ場も珍しくなかったため、2人ごとや場合によってはマンツーマンで付いてくれるゴルフ場もありました」
1組にキャディーが複数人同伴することで、1人はプレーヤーのクラブを運び、もう1人はコース戦略のアドバイスをしたり、カートを乗り込みやすい位置まで移動させたりといった作業を同時進行で行えるメリットがあったようです。
なお、三輪バイクでキャディーバッグを運ぶ光景は短期間で姿を消しましたが、昨今問題視されているキャディーの高齢化や酷暑による体調面でのリスクから、立ち乗りでバッグだけを乗せる電動カートという形で生まれ変わり、既に北海道から九州まで幅広いエリアで導入されているそうです。
若いキャディーが減っている切実な理由とは
雇用の形態などに関しては、昔と今でどのように違うのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「まず、キャディーにはそのゴルフ場で正社員として在籍する“ハウスキャディー”と呼ばれる人のほかにも、パートやアルバイトなどの非正規雇用で働く人、そしてキャディー専門の派遣会社から出向して期限付きの契約を結ぶ人がいます」
「かつてはほとんどがハウスキャディーで、1コースあたり50人ほどいるのが普通でしたが、人件費の高騰や志望する人の減少によって段々と比率が低くなっていき、正社員ではないのが一般化しつつあります」
「高齢化が進んでいることも大きな課題ですが、『キャディーになりたい』と考える人が減っている理由のひとつには、制服のデザインが昔からあまり変わっていない点もあると思います」
「キャディーが着る服と聞くと、ほっかむりにダボダボした作業服のようなものをイメージする人が多いはずです。しかし高校や大学を卒業したばかりの20歳前後の若い人が、そのような服を着たいかといわれたらそうではないでしょう」
「私もキャディーに対する第一印象を少しでも良くできるよう、会社の事業の一環で制服のデザインをリニューアルするプロデュースを行っています」
近年の若い人がキャディーを目指そうとしない理由は他にも「自分の親と同世代、またはそれ以上の年齢の人と仕事を一緒にすることに、人間関係の構築といった面で不安がある」「一日中外で体を動かしながら接客サービスを対面で行わなければならないのが大変そう」などが挙げられるようです。
特に最近では「電話で人と話すのも苦手」という若い人も増えています。しかし優秀なキャディーとして働くにはコースの形状や地形を覚えるだけでなく、球筋を追ったりクラブの取り扱いに注意したりと、お客様との会話を伴う業務も多数あります。
昔と今とでは、キャディーに関する事情はかなり変わったようです。快適にラウンドを楽しめる「キャディー付きプレー」を存続させるためには、業界はより一丸となって、キャディーの魅力を伝える取り組みをしていくべきかもしれません。
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