- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- 最近とんと見かけないけど… プロでも難しい!? アイアンのソール形状「スクープソール」ってなんだ?
昔のアイアンは「スクープソール」という今とは異なる形状のソールが用いられていました。スクープソールアイアンとはどのようなクラブなのでしょうか。
ほんの少しのダフリでも大きなミスショットにつながるクラブだった?
昔のアイアンは「スクープソール」という今とは異なる形状のソールが用いられていました。スクープソールアイアンとはどのようなクラブなのでしょうか。クラフトマン兼レッスンプロの関浩太郎氏は、以下のように話します。

「現在販売されているほとんどのアイアンには、『バウンス』という突起がソールの後ろ側に付けられています。アイアンはダウンブローで打つのが基本ですが、バウンスがリーディングエッジよりも先に地面に付くことで、ヘッドが地面の上を滑るように移動し、突き刺さり過ぎてしまうのを防ぐ役割を持っています。ですので、ダフリへの寛容性が増してビギナーから上級者までの幅広い層で扱いやすいモデルが多くを占めているというのが、今のアイアンの特徴といえます」
「一方で、スクープソールアイアンはソールの後ろ側にバウンスがついておらず、リーディングエッジの方が下に出っ張っている形状をしています。そのため、ダウンブローで打つと突き刺さりやすく、ダフリに対してはかなりシビアな構造になっています。バウンスが付いていれば、1センチ程度ダフってもナイスショットの8割程度は飛んでくれますが、スクープソールの場合は5ミリでもダフると全く飛んでくれないでしょう。ボールに向かって直接ヘッドを落としていける、非常に高度な技術を有しているのが絶対条件のようなものなので、ビギナーはもちろん今のプロであっても扱うのは困難だと思います」
スクープソールアイアンは、ヘッドを深くボールの下に潜らせることで強いバックスピンをかけられますが、今は重心の高さを調整したりスコアライン(フェースの溝)を工夫したりすれば同じ効果を得られるようになっているので、ソールをわざわざ多くのゴルファーにとってリスキーな形にする意味はなくなっています。
もはや、新品で見かける機会もほとんどなくなっていますが、PINGでは1982年に発売したアイアンセットの名称を引き継いだ「EYE2グラインド」が、バンカー向けのアイアンとして現在もスクープソールで作られています。
芝の上から打つのは難しくても、バンカーではヘッドが砂に入る時はバウンスが小さくなって潜りやすく、インパクトの瞬間には反対にバウンスが大きくなっていくため、バンカーに苦手意識のある人にはもってこいのクラブと言えるようです。
「フラットソール」「ラウンドソール」とは?
「フラットソールは、シャフトを地面に対して垂直にした際に地面とぴったり平行になっているものを指し、接地面が増えてバウンスソールと同様にダフリに強いという特徴を持っています」
「さらに、扱いやすさを担保しながらバックスピンなどのコントロール性能に長け、ライが悪い場所からのショットにも色々と対応できる『ラウンドソール』と呼ばれる丸まった形状のものもあります」
「ラウンドソールが数あるソール形状の中でも特に新しく、局所的にバウンスをつけたりフラットにしたりといった細かな造形もできるようになったので、最も芝から受ける抵抗が少ないとして、現在ではバウンスソールよりも主流になり始めています」
なお、スクープソールは最も古い部類のソール形状として、アイアンにおいてはごく限られたモデルでしか採用されていませんが、パターでは今も健在なようです。
そもそも、パターのソールに角度があることを知らない人もいるかもしれませんが、アイアンはヘッドが地面に潜り過ぎないようにバウンス角が付けられているのに対し、パターの場合はゴルファーごとの打ち方の違いから、インパクト時に適切なロフト角でボールに当たるように付けられています。
パターは、インパクトでロフト角が4度前後になっているとボールが最も良く転がるとされているので、ダウンブローで打ちがちな人は構えた時はロフトが寝ていても、打った時にはロフトが最適になるスクープソールのタイプを選んだ方がベターです。
今では、ソールにバウンスが付いているのは当たり前となっていますが、かつてのアイアンはほんの少しのミスも許されないような、非常に“スパルタ”なクラブでした。そう考えると、この数十年でクラブはどんなゴルファーにとっても優しいものへと、確実に進化していったことが分かるでしょう。
最新の記事
pick up
ranking