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- 「えげつない急勾配」「やたら遠回り」… ゴルフ場のカート道はなぜこんな設計に? 有識者に話を聞いてみた
乗用カートが普及したことで、便利で快適なラウンドが実現できるようになった現代のゴルフですが、そのカート道は一体どんな基準で敷かれているのでしょうか。
理想的なのはコースの雰囲気や芝の生育を考慮した設計
ほとんどのゴルフ場には、乗用カートを通すための道路(カート道)が存在していて、アスファルトで舗装されているものもあれば、線路のように敷かれた2本のコンクリートブロックの間から芝が生えているものもあります。
今となっては、プレーヤーのスムーズなラウンドを実現するうえで欠かせない乗用カートですが、「なんでこんなところに道を通したの?」「めちゃくちゃ遠回りしてる……」などと、カート道のつくりに疑問を抱いたこともあるかもしれません。
コース内にカート道を敷くうえで、何か基準やルールのようなものはあるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

「カート道の敷き方に明確な基準は存在しませんが、つくり方に関しては通常の道路と大きく異なったり、ベストとされる点があります」
「一般的な道路の場合、雨が降ったら水が側溝に流れるように中心が盛り上がっていますが、カート道の場合は逆に中心をくぼませた“U字型”にすることで、雨水が必要以上にフェアウェイやラフに流出して芝が傷んでしまうことを防いでいます」
「また、全体的に凹凸を少なくして表面排水をスムーズにするなど、カート道そのものに機能性を持たせることが必要となります」
その一方で、道のデザインや設計を優先すると「コースを俯瞰(ふかん)で見た時のバランスが崩れてしまう恐れもある」と言います。
「例えば、中部地方や関西地方の一部のゴルフ場ではフェアウェイのど真ん中にカート道が敷かれていますが、個人的にはあまり多く採用してほしくない敷き方だと思っています」
「なぜなら、目の前に人工物がチラチラと見えるコースは『ゴルフをプレーする』という面で気持ちがやや下がるだけでなく、万が一舗装部分にボールが着弾したら数十ヤードほどランが伸びるかもしれません」
「フェアプレーが求められるゴルフにおいて『誰かが得をする』状況を生み出してしまうのは、コース設計上避けるべきものではないかというのが私の意見です」
フェアウェイのど真ん中にカート道を通せば、カートとショット位置との往復を減らしてスロープレー防止が見込めるとされていますが、ゴルファーの中にはその存在が気になる人もいるでしょう。
飯島氏は「多少遠回りになったとしてもマウンドとマウンドの間を通し、できるだけ道がプレーヤーから見えにくいような敷き方が理想的ではないか」と言います。
日本のゴルフ場はカート道をつくるのに向いていない?
飯島氏はさらに「日本の多くのゴルフ場はカート道をつくること自体が難しい設計をしている」と話します。
「日本では高度経済成長期の頃から各地でゴルフ場が造成されていきましたが、当時はまだプレーヤーやキャディーがバッグを担いでいくか、せいぜい手引きカートで回るのが一般的でした。現在主流になっている乗用カートが普及したのは、バブル経済を迎えてからのことです」
「要するに、国内にあるゴルフ場の大半は歩きでのラウンドを想定したつくりが基本となっていて、特別な改修をせずにそのままの形でカート道を敷設したが故に、ところどころ強引に道が通っているような箇所が見られます」
「例えば、アンジュレーションがキツい場所に道を敷いた結果、ものすごい勾配になってアクセルを奥まで踏み込まないと登れなかったり、横転の危険性を感じてしまうようなカート道もあります。そのほかにも、ホール間のインターバルに階段があることで迂回(うかい)を余儀なくされることもあり、カートのほうがかえって不便になっているケースも少なくありません」
また、カート道の敷設方法にはいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
一般的な道路と同じアスファルト舗装とする方式では、コストを安く抑えられるとともに工期も短くできるというメリットと、経年劣化が進みやすいデメリットがあるのです。
一方で、劣化の進行が遅いという面でコンクリート舗装も増えていて、特に最近はコンクリートの2本レールとしたものが主流となりつつあります。この方法は芝の面積を多く残せて景観の保全が期待できるものの、中央に埋め込まれた電磁誘導線の保護が手薄になり、ショットの衝撃で破損しやすいという弱点があるのです。
普段、コースを回っていてカート道のことを気にかける機会は少ないですが、よく見てみると限られたスペースの中で何とか通そうと工夫を凝らした形跡や、芝へのダメージを抑えようとしているゴルフ場の努力が垣間見えるかもしれません。
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