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- なぜ冬場の“ギックリ背中”はゴルファーに多いのか? プレー中の「あっ、やっちゃった!」のリカバリーと予防法とは
冬場に起きやすいギックリ背中とは、どういうケガなのでしょうか。またギックリ腰とはどう違うのでしょうか。ゴルフに詳しい整形外科専門医の中村格子先生にお聞きしました。
たいていは2、3日で治るが、疲労骨折を起こしている場合も
ゴルフの練習やラウンド後まもなく起こった、背中の激しい痛み!
過去に経験のあるゴルファーもいると思いますが、「まずいな、ギックリ腰かな……」と感じる痛みが、実はまったく違うケガの症状だったということが少なくありません。特にこれから寒くなると、ギックリ背中や肋骨の疲労骨折を起こしている場合もあるので注意が必要です。
そもそもギックリ背中とは、どういうケガなのでしょうか。またギックリ腰とはどう違うのでしょうか。ゴルフに詳しい整形外科専門医の中村格子先生にお聞きしました。
「まず、ギックリ腰からご説明しましょう。ギックリ腰は腰椎周辺の筋膜や関節の損傷あるいは椎間板の微細損傷といって、骨周りの損傷や椎間板の損傷が非常に多いんですね。特に、前屈みになって何かをしたことで痛みが出るケースがほとんどです。背屈で痛める方もたまにはいらっしゃいますが、9割の方が屈曲姿勢による椎間板の微細損傷によって発症するのがギックリ腰です」

「一方、ギックリ背中の多くは背中の筋肉の脊柱起立筋、広背筋、僧帽筋といった背中の筋肉が急に収縮したことによって筋膜が少し損傷してしまっている状態です。筋筋膜性といって筋肉やその周りを覆う筋膜の痛みが主なものです。要因としてはオーバーユースの他に、急な気温の変化で体が温まらないうちに動かして筋肉に負担をかけてしまっている場合などがあります」
「ゴルフでのギックリ背中となると急な捻り戻し、例えば肩甲骨や背中にはたくさん筋肉がついているわけですが、それらの動きや回旋運動など急激な収縮により激痛が起こるケースが多いと思います。加えていうと、そういう筋肉の中には肋骨についているものもありますから、肋骨の付着部の筋肉を痛めてしまったり肋骨自体に強い衝撃がかかるような捻り戻しをすると、ひいては肋骨の疲労骨折になってしまうこともよく起こります。また、背中の最も上の方で肩甲骨の間とかだと肋骨の損傷というよりは広背筋や僧帽筋を損傷していることも多いと思います」
ギックリ腰とギックリ背中とでは痛むところが違う、と中村先生は教えてくれました。ただ、ギックリ背中だとしても上の方が痛むこともあれば下の方が痛むこともありますし、そもそも痛いところが腰なのか背中にあたるのか自分でも分からないことがあります。
「背中側でみぞおちの裏より上が痛いか、みぞおちの裏より下が痛いかで原因や対処のしかたが違ってきます。みぞおちよりの裏より上が痛む場合は、筋膜性あるいは筋筋膜性の痛みが主体だと思います。痛めた直後は冷やしたり安静にしたりして、痛みを少なくすることが大事です。2、3日たったら少し動かしたり温めたりすることで血流を良くして、痛みのないことを確認するといいと思います。さらに前屈や捻転やスイング動作などで軽く体を動かし痛みがないことを確認したら、ゴルフを再開していただいていいでしょう」
「一方、みぞおちの裏より下が痛いときは皆さん判断しにくいのかなと思います。腰よりは上だけれど、そんなに上ではないところが痛む。背中だけれど脇のあたりで肋骨に近いところが痛む。このように肋骨のあたりが痛いようなら、肋骨の下部が疲労骨折の頻発するところですから、一度、画像検査をして疲労骨折がないか診てもらうようにしてください」
「背中の痛みにはさまざまな原因があり、一概に全部が筋筋膜性の痛みとはいえません。背中のもっと高いところ、例えば肩甲骨の間が痛いとき、肩こりがあって首のあたりから響くような痺れが腕に出ているなら首が悪い可能性もあります。特にゴルフをしている人はインパクトゾーンで頭と首を残そうとしますから、中高年ゴルファーは首を痛めている可能性もあるので注意が必要です」
素振りであってもストレッチを行ってからにすべき
背中は、首をはじめ四肢にも繋がる体の重要な幹です。ギックリ背中を防ぐには、どんなことに気をつけるといいのでしょうか。
「筋肉の損傷は筋肉が冷えたり硬くなったりすると必然的に増えます。それを防ぐために、特にこれからの季節はまず保温して温かくしていただくことが、単純ですが大切です。スイング前に体を動かしてウォーミングアップしていただくのもそうですし、最初はダウンやウインドブレーカーを着て温かくして練習を始めるなど冷えないようにしていただくことも必要かと思います」
「次に練習前やスタート前に動的ストレッチをたくさん取り入れていただくといいと思います。たとえ素振りでも、ウォーミングアップもせずいきなりクラブを振るのは、ギックリ背中を引き起こす可能性がありますのでNGです。体を左右に回したり肩甲骨周りを動かしたり、動的ストレッチを行ってから初めてスイングをするようにしましょう。長期的にはスイング時の回旋運動や捻り戻しにも耐えうる、安定した体幹や腹圧が維持されるような体幹トレーニングを取り入れていただくのもいいと思います」
「ギックリ背中に限りませんが、何か痛みや症状があるときは、あまりこうだと決めつけないようにすることも大事です。昨今ネットでケガや病気の情報を得たり自分でこうだと思い込んだりして、自己流あるいは放置してしまう方が増えています。ケガや痛みについていいますと、急性期であれば24~48時間くらい痛いと思いますが、それ以降はだんだん改善してくるはずなんです。しかし、なかなか痛みが引かない場合は損傷が大きい可能性もあります。治らないなと思ったら専門医を受診するか相談していただくのがいいと思います」
スコアの良し悪しだけでなく、ケガや故障をせずにプレーができるかどうかは、スタート前、いえ練習前のウォーミングアップが分かれ道になりそうです。これからの季節は特にご用心ください。
【解説】中村格子(Dr.KAKUKO Sports Clinic 院長)
整形外科医・医学博士。スポーツ全般のケガ、痛みの根本的な原因を診察し、リハビリテーション・運動指導などきめ細やかな治療にあたっている。ゴルフは55歳から一念発起。『シングルになりたい女医のエンジョイゴルフ』で還暦の誕生日までにスコア82で回るのを目標にしているYouTuberでもある。
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