メンバーの紹介や同伴だけでは運営できないコースがほとんど
今は、ゴルフ場予約サイトでプレーするコースを選ぶのが一般的だと思いますが、日本全国すべてのゴルフ場がインターネットで予約できるわけではありません。厳格なメンバーシップ運営を行っているゴルフ場は、会員の紹介や同伴がなくては予約できません。

日本にはかつて約2400のゴルフ場がありましたが、2011年の東日本大震災などをきっかけに閉鎖するゴルフ場が続出し、現在は2200弱まで減少していると言われています。
実はそのうちの8割以上がメンバーシップコースなのですが、多くのゴルフ場は会員の紹介や同伴だけでは運営が成り立たなくなっており、ビジター(メンバーではない来場者)の受け入れを積極的に行っています。ですから、実際に会員の紹介や同伴がなくては予約できないゴルフ場は全国で200~300コースでしょう。
ただ、ビジターを受け入れるスタンスはゴルフ場によってさまざまです。ゴルフ場予約サイトに掲載されていても、平日しか予約できなかったり、土日祝の決まった時間帯のスタートしか予約できなかったりするゴルフ場があると思います。それは土日祝のスタート枠をメンバーのために確保していることの裏返しです。
ゴルフ場のメンバーになる方の多くは、土日祝にメンバー料金でプレーするために会員権を購入し、年会費を支払っています。その人たちをないがしろにしてはメンバーシップ運営が成り立たなくなるので、うまくバランスを取りながら営業しています。
パブリックコースはプレー料金だけで運営している
一方、会員募集を行っておらず、ゴルファーのプレー料金だけで運営しているゴルフ場をパブリックコースと言います。パブリックとは「公的な」「公共の」という意味です。実際に公的機関(地方自治体)が所有しているゴルフ場もあります。

高度経済成長期からバブル期にかけて、日本のゴルフ界はプレーの需要に応じたプレー機会の供給ができていませんでした。ゴルフをプレーしたい人の数に対してゴルフ場の数が足りず、ゴルフ場のメンバーになることも難しかったのです。さらに、メンバーになっても予約が取りづらい時代でもあったので、誰でも予約できるパブリックコースが重宝されました。
河川敷にあるゴルフ場は国有地を借りて運営しているパブリックコースが多く、初心者はそういうゴルフ場で腕を磨いてから、いつかメンバーシップコースに入会するというのがゴルファーの憧れでした。
ところがバブル崩壊とともに、多くのメンバーシップコースが苦境に陥りました。なぜならば、当時はゴルフ場を造ってからメンバーを募集するよりも、メンバーを募集してからゴルフ場を造るのが一般的。
会員権価格に含まれていた預託金はゴルフ場が一定期間預かり、償還期間になったら返還するという触れ込みでした。しかし預かった預託金はすでにゴルフ場開発で使い果たしており、バブル崩壊後は収入減少で返還するお金が残っていなかったのです。
2000年に民事再生法という法律が施行されたのをきっかけに、メンバーシップコースが次々と経営破綻していきました。00年から05年の間に約600コースが法的整理に入り、自主再建を目指すゴルフ場と再建支援スポンサーを募るゴルフ場に分かれました。
この時期に設立されたのがゴルフ場運営大手企業のパシフィックゴルフマネージメント(PGM)とアコーディア・ゴルフです。
ゴルフ場大変革時代を経て、ゴルファーはいろんなコースを安価でプレーできるうれしい時代になりましたが、メンバーシップコースは憧れの存在であり続けてほしいところです。
メンバーシップコースに行くとハンディキャップボードにメンバーの名前が一覧されています。時間があるときにじっくり見て、著名人の名前を見かけると思わずテンションが上がったりします。
クラブチャンピオンシップボードを眺め、どんな年齢でどんな技量の方がクラブ競技に優勝されているのか想像したりもします。そういったボードの中に自分の名前が入る日が訪れたらどんなゴルフライフになるのだろうと空想し、ワクワクする気持ちになるメンバーシップ運営をこれからも維持してほしいものです。