水はけなどを考慮して傾斜がついている
ゴルフ場に行くと、「平らな場所からショットが打てるのはティーイングエリアくらいしかないよ」と言われることがあります。

実際、日本のゴルフ場は丘陵地に造成されていることが多いので、フェアウェイやラフからのショットは傾斜地で打つことがほとんどです。
普段は練習場の平らな場所でしか打っていないので、同じようにショットしているつもりでもボールが思うように飛んでくれません。そこがゴルフの難しいところであり、面白いところでもあります。
一方で、ティーイングエリアが必ずしも平らな場所であるとも限りません。全体的にゆるやかな傾斜がついていて、どこにティーアップしたらいいか悩むことがあります。
ティーショットぐらい平らな場所で打ちたいところですが、どうしてティーイングエリアは微妙な傾斜がついているのでしょうか。
その理由をゴルフ場関係者に聞いたところ、ティーイングエリアが平らだと雨の日に水が溜まってしまうので、水はけをよくするため意図的に傾斜をつけてあるそうです。駅のホームが線路側に向かって傾斜しているのと同じ理由です。
また、パー3ホールのティーイングエリアはティーショットの際に芝生を削り取ることが多いので、その場所に砂を入れて目土をします。
そうすると、長い年月が経つにつれてティーイングエリアが盛り上がってくるという現象も起こるそうです。
ゴルフ場はそういったことも考慮しながらティーマークの位置を1日ごとに変えたりしています。しかし、ティーマークの位置を変えることよりも、カップの位置を変えることのほうが優先順位が上なので、カップの位置に応じてティーマークをセットすると、必然的に同じような場所を使わざるを得ないのかもしれません。
ティーマークの向きが真っすぐではないこともある
ティーマークは重そうに見えるものもありますが意外と軽く、地面に突き刺さっているだけなので簡単に抜けます。

コース管理の人がティーイングエリアの芝生を刈るときは、引っこ抜いて作業します。作業後は元の位置に戻すのですが、戻し方がけっこうルーズだったりします。
あるゴルフ場の支配人とラウンドした際、ティーマークがフェアウェイに対して真っすぐに向いていないように感じるホールがあり、その理由を聞いてみたところ「コース管理の人がけっこう適当なんですよ」と苦笑いしながらティーマークの向きを修正したことがありました。
ただ、ゴルフ場が意図的にティーマークを左右に向けているケースもあります。なので、真っすぐに向いていないように見えても、ゴルファーが勝手に動かしてはいけません。
例えばホールの右サイドに民家があり、打ち込みが発生しやすい場合、ゴルフ場は防球ネットを張るなどして対策を施しますが、ティーマークを左に向けることで右方向への打ち込みを減らすことができるようです。
その代わり、ティーショットが左サイドのラフに入る確率が高くなります。
あるいはホールの左サイドがOBになっており、そこに打ち込むゴルファーが多くプレー進行が遅くなる場合、ティーマークを右に向けることでOB区域に飛び込むボールの数を減らすこともできます。
安全面やプレー進行に配慮してティーマークの向きを微調整しているのです。
そういったことを踏まえると、ティーショットが真っすぐ飛ばないのはティーイングエリアの傾斜とティーマークの向きが原因かもしれません。
「ティーイングエリアは平らな場所」と思っている人は、その認識をあらためる必要があります。ティーイングエリアではバンカーや池などの配置を気にするだけでなく、足元の微妙な傾斜も考慮して狙いどころを定めると、ティーショットの精度が上がる可能性があります。