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- 「ダメ、ゼッタイ!ロストボールの持ち帰りは犯罪よ」っていうけど本当なの?
ラウンド中にたまに見かけるロストボールですが、ついつい拾って使用してしまっているという人もいるかもしれません。隣のホールから打ち込んできた気配もないし、明らかに放棄されたボールなら持ち帰っても問題なさそうな気がしますが、法律的にはどうなんでしょう?
「ロストボールの持ち帰りは窃盗罪」って、だいたいネットに書いてある
ゴルフルールで言う「ロストボール」とは、探しても3分間見つからない場合の紛失球のことを指します。以前はボールの捜索は5分以内と定められていましたが、プレーファストなどの観点から、2019年から3分間と改定されました。また、見失ったボールを見つけたけれど確実に自分のボールなのか分からないという場合も、ロストボールとみなされます。
ですから、見つかっても捜索時間が3分を過ぎていれば、ルール上は「ロストボール」とみなされるわけです。本稿で言う「ロストボール」はそれとは異なり、プレーヤーが完全に捜索を諦め、ゴルフ場に放棄してきたボール全般(OBや池に打ち込んだ球を含む)のことを指します。
こうした「ロストボール」、自分が林に打ち込んだ球を探しに行った先で発見することが多々あります。状況や球の状態からして隣のホールで今プレー中の組が打ち込んできたようにも思えない場合、いいボールなら拾って使いたくなるのも人情でしょう。
こうした行為について、ネット上では窃盗に当たるので絶対しないようにと注意喚起する記述が散見されます。では、本当にラウンド中にロストボールを持ち帰ることは犯罪になるのでしょうか?
結論から言うと、ネットに転がっている「それ、犯罪ですよ!」は眉唾とは言わないまでも、議論の分かれるところと言えるでしょう。
まず、プレーヤーが捜索を諦めた時点でボールの持ち主は所有権を放棄したということになり、その場合、ボールの所有権はゴルフ場へと移ります。そのため、ロストボールを持ち帰ってしまうと、厳密に言えば窃盗などの罪に該当する可能性があると言われています。
ただ、現実的にはロストボールを数個持ち帰ったからといって、すぐに検挙、起訴されることはまずないでしょう。ゴルフ場側がロストボール数個持っていかれたからといって、客であるプレーヤーを警察に突き出すとは思えないからです。あまりに悪質な場合をのぞいて、多少注意される程度がほとんどと考えられます。
「ロストボール拾い=窃盗罪」論が依拠するところは、すっげー悪質な事例
一方で、過去には窃盗罪として起訴され、有罪になった事例もあるようです。かなり古いですが、1987年、最高裁まで持ち込まれて判決が出ました。
深夜にゴルフ場内へ侵入した男が、ウエットスーツを身にまとって池の中へ入り込み、熊手、網袋などの道具類を使って池の底から大量のロストボールを拾っていたというのです。
この事件では、ロストボールは「ゴルフ場側の所有に帰していた」と最高裁は判断し、窃盗罪が成立するとしました。このように、極めて悪質な行為を行った場合は、ゴルフ場側も法的措置をとる場合があるようです。
ネットに転がっている「それ、犯罪ですよ!」論はこの判決に依拠しているようですが、プレー中にたまたま見つけたロストボールを拾うのと夜中に忍び込んで池から大量にさらっていくのとでは犯行の態様がまったく違います。
実際、「ロストボール拾い=窃盗罪」という紋切り型の決めつけに疑問を抱いた弁護士もいて、広島で佐々木和宏法律事務所を開く佐々木和宏弁護士は自身のSNS(2014年3月29日付FB)で以下のように書いています。
〈ロストボールも、「ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定してい」るときは、ゴルフ場に所有・占有があり、窃盗罪の客体になるというのが最高裁の結論です。
では、常に窃盗罪になるのかというと、最高裁の調査官は次のような解説をしています。
(1)人工池は、見方によってはロストボール回収装置ともいえるが、林や崖はそうではなく、早晩その回収、再利用を予定しているとはいえないので、同様に考えてよいか議論のあるところであろう。
(2)正規の料金を支払っているゴルファーがたまたま見つけた少数のロストボールを拾った場合などについては、ゴルフ場側がこれを容認していると見られることも多いのではないかと思われる。
調査官の考えはもっともだと思いますが、違う考え方もあるかもしれませんので、節度のある行動をとるべきでしょう(節度がないと言われるほどもって帰るゴルファーなんて普通いないと思いますが。)〉
最高裁調査官の指摘は重要です。もちろん調査官は最終的な判決を下す立場ではないので、調査官が「お目こぼしするのが妥当である」と言っても、それを鵜呑みにすることはできません。ただ、林や崖などロストボールがさほど集中して落ちているわけでもない場所で、わざわざ労働力と時間をかけてまで「ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定」するとは考えにくいのは、ゴルファーなら実感として納得できるところだと思います。
ただ、ロストボールの持ち帰りがただちに法律的な問題になるかどうかは別として、他人がプレー中のボールを拾ってしまう可能性はゼロではないですし、マナー的に褒められた行為でないことは確かなので、控えたほうが良いのは確かでしょう。
おまけ「ロストボールは性能が低下するって本当?」
ところで、ゴルフショップやインターネットでは、ロストボールの詰め合わせセットが販売されています。新品のボールに比べて、かなり安価で売られているので、よく買っているという方も多いでしょう。
しかし、住友ゴムの広報担当者は「ロストしていた期間にもよりますが、ロストボールは性能が低下します」と話します。これは、ロストボールが回収されるまでの経緯が大きく関係しています。
ロストボールの回収業者は、主に池の中からロストボールを回収します。ロストボールは池の中以外にも林など至るところにありますが、基本的には、1カ所に集まりやすく回収しやすい池の中にあるボールの回収がメインとなります。
回収されたボールは洗浄され、きれいな状態でショップやインターネット上で販売されます。
しかし、池の中にあったロストボールは、一定期間水に触れていた状態と言えます。ゴルフボールはゴムなどの素材で作られているため、長時間水に浸かっていると化学反応が起こり、性能が変化することがあります。
つまり、ボールの状態や形状自体が変わってしまい、結果として新品のボールよりも性能の低下につながってしまうことがあります。
しかし性能が低下するからといって、ロストボールをまったく使用しないことをすすめるわけではありません。
初心者や、ラウンドの経験があまりないという人は、スコア平均が100を切るようなプレーヤーと比較すると、ボールをロストしてしまう可能性が高く、安価で購入できるロストボールから経験を積んでいくのも良いでしょう。
そして経験を積み重ね、スコアも少しずつ上がり自信がつくようになってから新品のボールへ切り換えていくという方法も良いのではないでしょうか。
※ ※ ※
ロストボールの持ち帰りは、数個持ち帰ったからといってすぐに検挙されることは考えにくいかもしれませんが、ボールの性能自体も低下している可能性があるので、持ち帰るのは避けたほうが無難でしょう。
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