地域活性化に一役！ ゴルフカートの意外な活用方法とは

　ゴルフカートは、キャディバックを積載することができ、18ホールという長距離を移動するゴルファーを乗せる便利な乗り物です。

　近年では、リモコン式やGPS機能付きのゴルフカートも登場していることから、利便性の高さにも注目が集まっています。

　そんな、ゴルフカートですがゴルフ場以外の場所でも活躍をしています。ヤマハの公道走行を可能にしたゴルフカートは、「グリーンスローモビリティ（グリスロ）」と呼ばれ自動運転の面でも実績を積んでいます。

「グリーンスローモビリティ」とは、時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスで、その車両も含めた総称をさします。地域が抱える様々な交通課題の解決や低炭素型交通の確立が期待されています。

「グリーンスローモビリティ」は、最高速度が20キロに設定されています。50年近いヤマハゴルフカートの技術がベースとなっていて、誰でも簡単に安全運転ができ、乗車定員や荷物を載せてもスムーズな走行が可能となっています。

　また、運転者の視界が広いので、安全確認も容易です。乗車定員全員がストレスなく過ごせる空間と座席は、乗車時間の楽しさを演出します。

　このような特徴を活かして、広島県福山市にあるアサヒタクシー株式会社では、タクシーとして「グリーンスローモビリティ」が導入されています。

　主に観光用タクシーとして使用されており、「グリスロ潮町タクシー」「グリスロで巡る福山城」の2つのプランで、観光地を巡回するための乗り物として活躍しています。

　アサヒタクシー株式会社代表取締役の山田康文氏は、導入に踏み切った経緯について、「2016年にヤマハのグリーンスローモビリティが白ナンバーを取得したという記事を新聞で見ました。福山市の鞆の浦（とものうら）が抱えている課題を解決できるのではないかと、ヤマハさんに問い合わせたことが始まりです」と話します。

　鞆の浦は、昔ながらの古い町並みが特徴的であり、鞆幕府があったことから十字路が少なく丁字路が多い、 攻め込まれにくい作りになっています。そのため、一般的なクルマだと狭くて通りづらい道が多く存在しています。

　しかし、グリーンスローモビリティであれば狭い道でもなんなく通ることが可能です。特に、鞆の浦には高齢者が多く居住しているので、「病院まで歩くと遠いし、クルマだと道が狭くて通れない」「買い物で重い荷物を持って帰るのが大変」といった人たちが気軽に利用できる乗り物となっています。

　2022年1月現在、アサヒタクシー株式会社ではグリーンスローモビリティを3台所有しています。　

　環境性が高い電動自動車となっており、8時間のフル充電で約40キロの走行が可能です。ゴルフ場のゴルフカートとは違い、ウィンカーが装備されている点も特徴的です。

　実際に、鞆の浦でグリーンスローモビリティを活用した人たちは、「オープンカーのような構造なので開放感があり、住民にも気軽に挨拶ができる！」「運転手さんと距離が近いので地元の話しを気軽に聞ける」と話します。

　ほかにも、今後の取り組みについて前出の山田康文氏は、福山駅の商店街で100日間の実証実験を行っていると話します。

「グリーンスローモビリティで商店街をぐるぐると巡回させていて、専用のアプリで位置の把握と配車手続きが可能です。福山市と警察の人から許可をもらって、進入禁止の道路も走ることができるのが特徴です」

「全国的に、シャッター商店街が増えてきているなかで、グリーンスローモビリティでエスカレーターのような横のつながりを持たせることで、活性化を図ることが目的です」

　このように、ゴルフカートからなるグリーンスローモビリティは、地域が抱えている課題や環境問題を解決する乗用車としても活躍が期待されています。

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　ほかにもゴルフカートは、結婚式で新郎新婦を送迎するための演出として使用されていたり、動物園や植物園を回るカートとして使用されていたりと幅広い分野で活躍しています。