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「ゴルフ場での“立ちション”は犯罪!?」指摘されがちな3つの“グレーゾーン”について考えてみた

2022.04.04 ピーコックブルー
ゴルフ場 マナー

ゴルフのラウンド中には守らなければならないマナーやエチケットがありますが、中には「マナー違反」の範疇を超えて「犯罪」ではないかと指摘されてしまうものもあります。実際のところどうなのか、考えてみました。

ゴルフ場で犯罪が疑われてしまう3つの行為とは?

 ゴルフのラウンド中には、守るべきマナーがたくさんありますが、ついやってしまうマナー違反の中には、同伴者から冗談めかして「それ、犯罪だよ!」などと指摘されてしまう行為もあります。

写真はイメージです!(祖谷渓の小便小僧) 写真:AC

 まことしやかに「犯罪」と指摘する人もいる3つのグレーゾーン行為について、実際に罪に問われるほどのものなのか、考えてみましょう。

ゴルフ場は「立ちション」禁止の「公衆の集合する場所」?

 まず考えられるシチュエーションとして、コース内での「立ち小便」、いわゆる「立ちション」が挙げられます。「公衆の集合する場所」での立ちションは、軽犯罪とみなされる可能性があります。

 軽犯罪法第1条26項で「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」とされており、違反した者への刑罰は、1日以上30日未満の拘留もしくは1000円以上1万円未満の科料となっています。

 ここで問題となるのは、ゴルフ場のコース内が「街路又は公衆の集合する場所」とみなされるか否かでしょう。これを考えるには、弁護士の谷原誠氏が自身のブログ(2017年2月10日付)で紹介している事例と解説が参考になります。

 紹介されている事例は、ビルの駐輪場で立ち小便をした男性が軽犯罪法違反に問われたというもの。

 1審は「現場は公共スペースに当たらない」として無罪を言い渡しましたが、2審の大阪高裁は駐輪場が道路に面していることなどから「現場は街路に当たる」として1審判決を破棄し、科料9900円の判決を出しました。ただし、15台分ほどのスペースのある駐輪場は「公衆の集合する場所ではない」という点では、1審の判断を踏襲しています。

 谷原弁護士は解説で、この「街路」の定義について〈普段、多くの人が通行する、利用する市街地の道路を街路といいます。ということは、田舎道や山林道で立ち小便をしても、この罪には問われないということになります。〉と書いています。

 この事例を参考に、ゴルフ場が「街路又は公園その他公衆の集合する場所」か否かを考えると、山林の中にあることがほとんどで、不特定多数の人が自由に出入りできるわけではなく、基本的には近くにその組のプレーヤーしかいないゴルフ場のコース内がそれに当たるかというと、疑問符が付くと言えるのではないでしょうか。

 ただし、河川敷コースなど、市街地に近かったり、往来の多い道路が側を通っている場合などは「街路又は公園その他公衆の集合する場所」に当たる可能性が高くなるかもしれません。

 いずれにせよ、ゴルフ場で立ち小便をしないのはマナーとして当然のことなので、プレー前にはトイレで用を済ませておくようにしましょう。

林の中で拾ったロストボールを持ち帰るのは「窃盗」?

 次に、ロストボールを持ち帰ることが挙げられます。ロストボールは、ボールの持ち主が所有権を放棄したという扱いになります。そのため、ボールの所有権はゴルフ場へと移るので、ロストボールを持ち帰ってしまうと、窃盗に当たる可能性があります。

 ただ、現実的には、ロストボールを数個持ち帰ったからといって、すぐに検挙、起訴されることはまずないでしょう。あまりに悪質な場合をのぞいて、多少注意される程度がほとんどと考えられます。

 一方で、過去には窃盗罪として起訴された事例もあるようです。

 深夜に、ゴルフ場内へ侵入した男が、ウェットスーツを身にまとってウォーターハザードの中へ入り込み、熊手、網袋などの道具類を使って池の底から大量のロストボールを拾っていたという事案がありました。

 この事件では、ロストボールは「ゴルフ場側の所有に帰していた」と最高裁は判断し、窃盗罪が成立するとしました。

 しかし、もちろん、プレー中にたまたま見つけたロストボールを拾うのと夜中に忍び込んで池から大量にさらっていくのとでは犯行の態様がまったく違います。

 弁護士の佐々木和宏氏は自身のSNS(2014年3月29日付FB)で以下のように書いています。

〈ロストボールも、「ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定してい」るときは、ゴルフ場に所有・占有があり、窃盗罪の客体になるというのが最高裁の結論です。

 では、常に窃盗罪になるのかというと、最高裁の調査官は次のような解説をしています。
(1)人工池は、見方によってはロストボール回収装置ともいえるが、林や崖はそうではなく、早晩その回収、再利用を予定しているとはいえないので、同様に考えてよいか議論のあるところであろう。
(2)正規の料金を支払っているゴルファーがたまたま見つけた少数のロストボールを拾った場合などについては、ゴルフ場側がこれを容認していると見られることも多いのではないかと思われる。

 調査官の考えはもっともだと思いますが、違う考え方もあるかもしれませんので、節度のある行動をとるべきでしょう(節度がないと言われるほどもって帰るゴルファーなんて普通いないと思いますが。)〉

 最高裁調査官の指摘は重要です。もちろん調査官は最終的な判決を下す立場ではないので、調査官が「お目こぼしするのが妥当である」と言っても、それを鵜呑みにすることはできません。ただ、林や崖などロストボールがさほど集中して落ちているわけでもない場所で、わざわざ労働力と時間をかけてまで「ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定」するとは考えにくいのは、ゴルファーなら実感として納得できるところだと思います。

 ただ、ロストボールの持ち帰りがただちに法律的な問題になるかどうかは別として、他人がプレー中のボールを拾ってしまう可能性はゼロではないですし、マナー的に褒められた行為でないことは確かなので、控えたほうが良いのは確かでしょう。

「ニギリ」は何を賭けたら「賭博罪」に当たる?

 最後は、いわゆる「ニギリ」、つまりは「賭けゴルフ」を行うことです。ゴルフの賭けは、刑法185条の賭博罪に該当する可能性があり、50万円以下の罰金または科料の対象となる場合があります。

 賭博とは、偶然の勝敗の結果によって財産の利益の得失を争う行為を指します。
 
 一方、刑法185条には「ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない」と但し書きされています。

 では、「一時の娯楽に供する物」とは何が該当するのでしょうか。

 弁護士の平岡広輔氏はブログ(2015年10月7日付)で以下のように解説しています。

〈「一時の娯楽に供する物」にあたるかについては、価格の僅少性と費消の即時性の両方を加味して判断されており、一般には、その場で直ちに費消する茶菓や食事等がこれにあたると解されております。

 したがって、野球の勝敗で缶ジュース1本を賭けたとしても、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」にあたり、賭博罪は成立しません。

 なお、金銭そのものの得喪を争う場合は、その金額の多少に関わらず、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」に該当しないとするのが判例ですので、注意が必要です。〉

 つまり、金額の多少にかかわらず、「現金」を賭けてゴルフをプレーする行為は、賭博罪にあたる可能性があるので、負けた人がランチやドリンク代を持つ程度にとどめておくべきだと言えるでしょう。

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