ゴルフ場は色の好みとコースの考え方で砂質を決める
ゴルフ場でプレーするようになると、バンカーの砂の硬さがコースによってけっこう違うことに驚きます。

砂質が硬いバンカーだとボールがあまり沈みませんから、バンカーショットの難易度としてはやさしいのでしょうが、クラブヘッドが手前から入り過ぎると砂が重くて振り切れず、うまく脱出できません。
砂質が軟らかいバンカーだとボールが沈みますから、サンドウェッジのバンスを砂の中に打ち込んでエクスプロージョン(爆発)を発生させないと脱出できません。そのことは頭では分かっているのですが、こちらも打ちどころが悪くてボールが思うように飛んでくれません。
バンカーショットなんて練習する機会もほとんどありませんし、ただでさえ自信がないのに、どうしてあんなに難しくするのでしょうか。バンカーの砂質の違いについてコース管理の専門家に聞いてみました。
「バンカーの砂質がゴルフ場によって違う理由の一つは、まず色ですね。緑のコースに白い砂のバンカーですと、浮き立ってキレイに見えますよね」
「また、砂の粒の大きさにこだわっているゴルフ場もあると思います。砂の粒が細かいとバンカーショットが難しくなるんですよ。細かい砂が乾いてくると、バンスをうまく使わないと本当に出ないので、そういうコースは細かい砂をワザと使っているのでしょう」
ゴルフ場の見た目や難易度にこだわって砂質を選んでいるところがあるようです。
「バンカー砂ですと、愛知の豊田とか、瀬戸のあたりで取れる砂が白いんですよ。愛知砂は最初から砂になっているわけではなく、石を砕いて細かくして、粒の大きさをそろえます」
「砂というのは粒の大きさがそろっていると、いつまでもグズグズして締まらないんですよ。粒と粒の間に違う大きさの粒が入ると締まりがよくなります」
それは、どういうことでしょうか?
「たとえば袋の中に卓球のボールを500個くらい入れたらグズグズになります。でも、その中にテニスボールを入れると締まりがよくなります。うまく説明できませんが、そういうイメージです」
なるほど、何となく分かりました。
「つまり砂質が硬いバンカーは粒の大きさが違う砂がたくさん混ざっていて、砂質が軟らかいバンカーは粒の大きさがそろっているわけです。それが大きな粒であれば、まだ何とかなりますが、細かい粒になってくると本当に難しいですね」
砂質ではなく輸送費によって砂の値段は変わる
一方で、バンカーの砂は色が白いから高い(品質がいい)、粒が細かいから高い(品質がいい)ということは特にないそうです。
「砂には川砂、山砂、海砂などがありますが、いい砂と悪い砂って別にないんですよ。砂の値段は100%輸送費です。砂を生産している場所の隣のゴルフ場だったら、すごく安く買えるんですけど、何百キロも運ぶと高い砂になります」
「ほとんどのゴルフ場は近くに安い砂があれば、それを使っていると思います。千葉なんかは山砂が取れるので、山砂が多いですけど、千葉でも別の地域から砂を運んでいるところもあります」
「ですからわざわざ白い砂を使ったり、粒の細かい砂を使ったりしているところは、そのことにこだわって経費をかけているわけです」
「しかも粒が細かい砂は風で飛びやすいですからね。ただでさえグリーン手前のガードバンカーはボールが入りやすいですから、バンカーショットのたびに片手1杯分くらいの砂が出ていきます。そういうところは砂を補充する回数も多くなります」
ゴルファーはバンカーで苦労していますが、ゴルフ場も砂の補充で苦労しているそうです。その話を聞く限り、ゴルファーはバンカーから何とか1打で脱出できるように、とにかく練習するしかないようです。