買いたくてもモノがない!? ゴルフ会員権市場で今、何が起こっている?

コロナ以降、「ゴルフ場の予約が取りにくい」とか「練習場は、いつ行っても“待ち”が多くて……」という、嘆きの声をよく聞くようになりました。これに比例するかのように、会員権の購入を検討するゴルファーが増えているといいます。コロナ禍を機に、会員権市場はどのように変化したのでしょうか。

ウィズコロナ時代の「安心&安全志向」が後押し。ゴルフ会員権の人気急浮上

 新型コロナウイルスのパンデミックを機に、世界はニューノーマル時代へと突入。人との接触機会を極力減らしたり、ソーシャルディスタンスを保ったりしながら感染リスクを避ける、そんな新しい生活様式が定着しつつあります。

 この流れは、人々の余暇の過ごし方にも大きな影響を及ばしました。コロナ以前からゴルフを楽しんできた人はもちろん、コロナを機に「3密回避が可能なゴルフを始めてみようか?」と、ゴルフ未経験者層も、ゴルフ場へと足を運ぶようになったのです。

コロナ以降、3密回避可能なゴルフが人気急上昇 写真:unsplash

 コロナを境に人気が急加速しているゴルフ。2021年4月22日付けの経済産業省経済解析室の「第3次産業活動指数」に関連する分析記事にも、コロナ以降のゴルフ熱の高まりを示すデータが取り上げられています。

 この分析レポートでは、ゴルフ練習場やゴルフ場は他の屋内スポーツとは対照的に、2回目の緊急事態宣言下でも、コロナ禍前を上回る活況であることが指摘されています。

 コロナ以降、確かに「ゴルフ場の予約が取りにくい」、「練習場は、いつ行っても混んでいて待ち時間が長い」といった、ゴルファーの悩みとも嘆きとも受け取れる声を多く聞くようになりました。

 これらは、まさにゴルフ熱の高まりを示すものですが、この熱気を肌で感じているのはゴルファーだけではありません。ゴルフ会員権を専門に扱う加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さんも、そのひとりです。

「2020年3月に発令された第1回目の緊急事態宣言直後は、『週末、ゴルフに行く!』なんて言おうものなら、『何言ってんの!? どうかしちゃったんじゃないの?』なんて言われるほど、微妙な空気が流れたものです。弊社の売り上げも、その年の4月はガタガタ。得体の知れない新型コロナウイルスとの戦いが始まったばかりで、みんな正直、ゴルフどころではありませんでした。自分の命が掛かっているんですもん、当然ですよね」

「でも時間が経過するにつれて、マスク着用や手指の消毒、ソーシャルディスタンスの徹底などの感染対策が取られるようになり、さらにワクチン接種も始まると、屋外で換気する必要もなく、人との接触も少ないゴルフ場なら大丈夫なんじゃないか、安全なんじゃないかという、気運が徐々に高まっていきました」と、前田さん。

「こうなるとね、今まで家の中でじっと我慢していたゴルファーが、まず練習場に行く。そしてゴルフ場にも行き始めるわけです。時期を同じくして、これまた我慢の限界だった若い人たちが、アウトドアスポーツに勤しむようになる。若手プロの活躍もあって『ゴルフ? スタイリッシュでいいんじゃない!』となり、ゴルフ人気が一気に高まったわけです」

“斜陽産業”を脱したゴルフ業界。ゴルフ会員権は買いたくてもモノがない

 1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」は1.34で5年連続低下(2021年6月4日厚生労働省発表『人口動態統計』)という数値が示しているように、日本の人口がなかなか増えないなかで、ゴルフ人口が別段増える要素もないことから、久しくゴルフ業界は 不名誉にも“斜陽産業”と言われてきました。

「“斜陽産業”ですか! 僕もコロナ前は、ゴルフ業界は浮上の難しい最たる産業だと思っていました」と語る前田さん。

「僕は30年近くこの業界におります。基本的にゴルフ会員権というものは株価と連動するものなんですね。でもここのところは、ちょっと違った。株が上がって不動産も上がったのに、ゴルフ会員権はそれほど上がらないという時代が続いていました」

「でもね、コロナ以降はウクライナ侵攻で株価が下がっても、ゴルフ会員権は下がるどころか、上がる一方。市場的には一部落ち着いたところもありますが、需要が拡大しているのに売りモノがない状態が続いています」

 コロナで海外旅行に行きたくても行けない、買い物にも思うように行けないといった比較的裕福な層がコロナを機に、少々高額でも安心&安全に楽しめるゴルフ場の会員権を購入するケースが増えたといいます。

「暫くはゴルフ業界全体、この活況が続く」とみている前田さん。

「コロナ以降、徐々にゴルフ場に人が戻ってきました。ゴルフは数値で上達を実感できるスポーツ。やってみると、意外に面白い。もっとプレーしたいという気持ちになる人が多いんです。コロナを機に仲間うちでゴルフを始めた若年層も、ゴルフのゲーム性の高さ、競技としての面白さに気付いて続ける人が多いと聞きます。アパレルもギアも、とにかくよく売れているそうですよ」

テレワークがゴルフ会員権の相場を変えた!?

 コロナを境に大きく変わった生活様式。働き方も例外ではありません。テレワークを導入する企業が増え、ICT(情報通信技術)を活用することで、働く時間や場所を限定されることもない柔軟な働き方を選べる人が増えてきています。

企業のテレワーク導入で、働き方だけでなく会員権選びにも変化が! 写真:Getty Images

 ゴルフ会員権市場では、関東圏の場合は、相変わらず最寄りのインターから近く、「電車+クラブバス」でも行ける“近くて行きやすいゴルフ場”に人気が集中しているそうですが、その一方、コロナ以降にグッと人気の高まったゴルフ場があります。

 前田さんによると「大都市圏からちょっと外れた、リゾート気分が味わえるゴルフ場の人気がスゴイ。河口湖カントリークラブや富士レイクサイドカントリー倶楽部、日光カンツリー倶楽部、大浅間ゴルフクラブあたりは、まったく売りがない状態です。北海道や沖縄も、売りものが全然ありません! 欲しくても買えないんですよ」

リゾート気分が味わえると人気急上昇中の日光CC 写真:加賀屋ゴルフ提供

 テレワークが進み、職種によってはリモートで仕事ができるようになり、大都市圏を拠点としなくてもいい人が増えたことにより「ならばいっそのことゴルフ会員権でも買って、ゴルフ場の近くに住まいを移そう」という、なんともうらましいゴルファーが増加中だといいます。

「メンバーなら時間のあるときに、空きさえあれば好きなゴルフを存分に楽しめる。そのためにも、これを機会に会員権を取得しよう!」

 新型コロナウイルスは、世界に大きな脅威をもたらしましたが、ゴルフライフにも大きな変革を起こしたことは、間違いないようです。

<参考資料>
経済産業省 経済解析室分析記事
「第3次産業活動指数」に関連する分析

【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん

ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(昨年は年間229回!)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。

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