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- 事業継承に高いハードル!? ゴルファーは増えているのに町の練習場が閉鎖していく理由
コロナ禍の影響からか、多くの練習場では待ち時間が発生するほどゴルファーであふれかえっています。そんな状況にも関わらず、町の練習場が閉鎖するというニュースもよく聞きます。そこで、町の練習場が閉鎖する理由を調べてみました。
相続税が支払えないなど事業継承のハードルが高い
ゴルフ練習場の馬込ゴルフガーデン(東京都大田区)からハガキが届いたので何かと思ったら、令和5年(2023年)1月9日で閉場するため、ポイントカードの残高と有効期限を知らせる通知でした。
ゴルフ練習場の閉鎖は2000年代に入って一気に増えた印象がありましたが、最近は落ち着いてきたのかと思っていました。
しかも2020年以降は、ゴルフはコロナ禍でも密を避けて楽しめるスポーツとして注目を集め、新たに始める人が増えています。ゴルフ練習場もゴルフ場も多くの人でにぎわっているのに、このタイミングで閉場するのは何とも寂しい話です。
馬込ゴルフガーデンのホームページによると、同施設は昭和48年(1973年)8月12日開場。1979年には台風で打席が半壊する被害に遭ったものの復旧し、1990年には40ヤード2階建28打席オートティーアップシステムに全面リニューアルしました。
その後も定期的に打席や内装のリニューアルなどを行なっていましたが、開場50年目となる節目にゴルフ練習場としての営業を終えることになりました。
会社概要を見ると、取締役会長、代表取締役社長、取締役が同一姓なので、家族経営のゴルフ練習場だと思われます。こういった営業形態のゴルフ練習場に重くのしかかるのは相続税の問題です。
ゴルフ練習場の土地が個人名義であった場合、名義人が亡くなると相続税が発生します。土地の評価額の約半分を納税しなければなりません。
馬込ゴルフガーデンは都営地下鉄浅草線馬込駅から徒歩7分、東急大井町線荏原町駅からも徒歩7分という好立地。土地の評価額が高額であることは間違いありません。
相続の問題が直近で発生していたかどうかは分かりませんが、将来的に見てゴルフ練習場を続けていくよりも閉場することを選択せざるを得なかったということでしょう。
アウトドア練習場が減り、インドア練習場が増えている
馬込ゴルフガーデンとは営業形態や立地条件が異なりますが、リンクス新川崎(神奈川県川崎市幸区)も2022年6月30日で営業終了することが決まっています。
筆者はゴルフを始めた当時(1999年)、車で10分の距離に住んでいたので、よく利用していました。
リンクス新川崎は自動車用ばねの製造販売を主力事業とするニッパツ(日本発条)グループが工場跡地に創業。フルフラットで200ヤード超のフェアウェイと、1階から3階まで各50打席、合計150打席という抜群の練習環境でした。
しかしながら、2022年3月に練習場用地を売却し、260億円の固定資産売却益を計上する見込みであることを発表しました。
売却先企業は明らかにされていませんが、JR横須賀線・湘南新宿ライン新川崎駅から徒歩8分、JR南武線鹿島田駅から徒歩14分という好立地のため、ゴルフとはまったく異なる形で土地が活用されるのでしょう。
関東ゴルフ練習場連盟の景況報告によると、2020年度下期(7月-12月)の営業成績も2021年度上期(1月-6月)の営業成績も対前年比110%以上伸びており、ゴルフ練習場業界は今、完全に上り調子です。
それなのに多くのゴルファーに愛されたゴルフ練習場が次々と営業を終了するのはもったいないというか寂しいというか、複雑な心境になります。
全日本ゴルフ練習場連盟の調査によると、2021年10月時点の全国練習場施設数は、アウトドア2395施設、インドア1265施設、合計3660施設。前回調査時と比べて215施設増えているそうです。ただし、その内訳はアウトドア施設26減、インドア施設241増です。
今後もアウトドア施設が減り、インドア施設が増える流れが続くのかもしれません。ただ、インドア施設だけでは身につかない要素や技術もありますから、既存のアウトドア施設はできるだけ長く営業を続けてもらえるよう切に願います。
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