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- 制限緩和で外国人客のインバウンド復活!? 彼らはどんな旅程で日本のゴルフを楽しんでいるのか?
行動規制も緩和され、少しずつではありますがコロナ禍以前の生活を取り戻しつつある昨今。盛り上がりつつあった日本へのインバウンド旅行も復活の兆しがあります。そんな中でゴルフツーリズムの現状は? ゴルフツーリズムコンサルタントの薬師寺輝氏が解説します。
世界のゴルフ旅行の市場規模は3000億円以上
ゴルフをして、宿に泊まって、その地域の文化や食事を味わう――。ゴルフ旅行は朝から晩まで余すことなく楽しめる、ゴルファーにとって最高の休暇の過ごし方ですよね。
コロナ禍でなかなかゴルフ旅行に出かけられない日々が続きましたが、行動規制も緩和され、次第に旅行を楽しむムードにもなってきました。
われわれ日本人だけでなく、世界中のゴルファーたちがゴルフ旅行を楽しんでいます。例えば、イギリスのゴルファーは寒さから逃れるために南下し、暖かいスペインのゴルフリゾートへ。アメリカのゴルファーは本場のリンクスを求めてアイルランドへ……。
言わばゴルフは、18ホールの旅。ゴルファーは、そこに素晴らしいゴルフコースやゴルフリゾートがあると知れば、国境を越えてまで旅をしてしまう、旅人性質を持っているのかもしれません。この産業は「ゴルフツーリズム」と呼ばれており、世界中の観光産業のコンテンツとして重要な役割を担っています。
観光産業としてこの言葉が認知されだした1990年代より遥か昔からゴルファーは旅をしています。イギリスの産業革命以降、ゴルフバッグと共に鉄道旅をした英国紳士たち。20世紀初頭のニューヨークのゴルファーは避寒地を求め南下し、ノースカロライナのパインハーストリゾートや、後にオーガスタナショナルGCが誕生するジョージア州を訪れゴルフを楽しみました。
民間旅客機が一般的になった80年代以降は、大陸を越えたゴルフ旅は盛んに行われるようになってきました。そんな状況の中、ゴルフツーリズムを取りまとめる国際的な協会IAGTO(国際ゴルフツアーオペレーター協会)が97年に設立されました。
現在では世界90カ国、約2500社のゴルフツーリズム関係社が加盟する団体へと成長しており、IAGTO加盟ゴルフツアーオペレーターは、世界のゴルフパッケージ販売の85%に関わり、約21億ユーロ(現在のレートで約3000億円)の取扱高に上ると言われています。今や、各国の政府が柱の一つに数える観光マーケットとも言われています。
外国人を受け入れすぎて評判を落とすケースも
昨年まではビザの取得やPCR検査の実施などで、実質的に国境をまたいだゴルフツーリズムはストップしていましたが、今年の3月頃から、世界各国は出入国の制限の緩和を始め、いよいよ世界中のゴルファーは国境をまたいだ旅行を再開してきています。
その対象国には、日本も含まれています。
以前から九州や北海道、東北などに、韓国のゴルファーが多くやってきていましたが、2010年以降、観光庁やJNTO(日本政府観光局)、地方自治体などがゴルフツーリズムを推進したことにより、中国やタイ、マレーシア、シンガポールなどのアジア諸国、そして欧米からもゴルフツアーの引き合いを受けるようになってきました。
今年11月にフランスから来日予定の3組12名のゴルフツアーの行程をご紹介しましょう。
成田空港に入り、千葉県内でゴルフをしながら東京観光、河口湖、箱根を巡り、新幹線で滋賀、そして京都に入ります。琵琶湖近郊でゴルフをしながら京都観光をし、関西国際空港から帰国します。なかなか贅沢で魅力満載な2週間のツアーです。
世界に比べるとまだまだインバウンドゴルフが少ない日本ですが、コロナ禍以前、外国人の受け入れを積極的に行っていたゴルフ場は、地元のゴルファーやメンバーから「外国人ゴルファーを受け入れすぎてクオリティーが悪くなった」と評判を落とすケースも少なからずありました。
これはゴルフに限らず起きる問題で、観光産業に於いて「オーバーツーリズム(許容範囲を越えたツーリズム)」と呼ばれるものです。旅行者の移動に敏感になったコロナ禍以降の世界の観光産業は、地域社会と共存する持続可能な観光をさらに推進していく傾向にあり、ゴルフツーリズムもまた、地元ゴルファーとの共存がテーマになっていくかもしれません。
23年には、日本で世界最大規模のゴルフツーリズムの商談会が開催される予定です。それを機に、世界のさまざまな国から日本へゴルフに訪れるゴルファーが増えるはずです。それこそ、驚くような国からも。
世界からゴルファーを迎え、私たちもまた世界各国のゴルフに関心を寄せる――。2023年は、そんな交流が活性化するきっかけになる年かもしれません。
薬師寺輝
ゴルフツーリズムコンサルタント、イベントプロデューサー NibLinks代表 IAGTO Japan Director
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