酷暑でも美しい緑を保つ神業とは!? ゴルフ場の散水技術のスゴさと難しさ

ゴルフ場に行くとスプリンクラーで散水を行っている光景をよく見る季節になりました。しかし、ただ水をまけばいいのかと思いきや、その散水方法にもゴルフ場を美しく保つ様々なテクニックがあるそうです。

スプリンクラーには自動散水と手動散水の2種類がある

 このところゴルフ場に行くとスプリンクラーで散水している光景を見かけることが多くなりました。暑さが厳しいですから芝生がすぐに乾燥してしまうのでしょう。

 芝生は植物ですから光合成を行ないます。光合成とは光から得たエネルギーを使って、生体に取り入れた二酸化炭素と根から吸い上げた水を利用して炭水化物を合成することです。

ゴルフ場でよく見る散水風景。緻密な計算と経験によって美しい緑が保たれている 写真:AC

 したがって芝生の生育には水が必要不可欠です。そのためにゴルフ場は散水設備を必ず整えています。

 ゴルフ場のスプリンクラーはどういう仕組みで散水しているのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。

「スプリンクラーの水は、貯水池があって、そこから送水管で受水槽に水を運び、放水ポンプを通じてスプリンクラーから水が出るようになっています」

「ゴルフ場のスプリンクラーは大きく分けると自動散水と手動散水の2種類があります。自動散水はタイマーをセットして自動的に散水できます。夜などの無人の時間帯にセットすることもできますからコース管理としては手間がかからないメリットがあります」

「しかしウチのゴルフ場は設備の関係で手動散水です。手動散水はバルブをひねって水を出します。スプリンクラーで水を撒くタイミングは夕方のイメージが強いみたいですが、ウチのゴルフ場は朝のグリーン刈りが終わった後のタイミングで散水しています」

「どのくらいの量の水を撒くかは芝生のコンディションを見ながら決めていますが、おおむね5分から10分です。水を撒き過ぎると水たまりができてしまいますから、土壌水分計を用いながら蒸散率を計算して実施しています」

 土壌水分計というのは土の中の水分量を測定する機械で、蒸散率というのは植物が蒸散によって植物体から水を失う速度のこと。生物学的な見地に基づいて芝生の健康状態をチェックしているそうです。

「ウチのゴルフ場は、夕方はあまり散水を行ないません。なぜかと言いますと、蒸れて湿度が上がると芝生が病気になる可能性が高くなるからです。芝生にとって乾燥はよくないですが、過湿が一番NGなので、水のやり過ぎには気をつけています」

グリーンが過湿するとウェットウィルトという被害が発生する

 素人考えですと、これだけ暑いので水をたくさん撒いたほうがいいのかと思いましたが、そういうわけではないようです。

「水を撒き過ぎると土は湿っているのに体内の水分が足りないウェットウィルトという被害が発生します。また、夏場はドライスポットという被害も発生しやすくなります。これはグリーンがスポット状に乾燥して芝生が黒ずんだり枯れたりすることです。そういう症状が出ないように気を配っています」

恵みの雨も降りすぎると、逆に病気の原因になってしまう 写真:Getty Images

 ウェットウィルトやドライスポットは根っこが機能しなくなり、水が吸えなくなって芝生の健康状態が悪化する被害で、多くのゴルフ場が対策に頭を悩ませているようです。

「芝生のコンディションを良好に保つためには葉っぱのコンディションだけでなく根っこのコンディションも見ながら管理しています」

「ただ、2022年6月は過去のデータと比較しましても前例がないほど気温が高かったので、8月から9月上旬くらいまで非常に長丁場の調整が必要になります」

 多くのゴルフ場のグリーンで採用されているベント芝は基本的に冬芝ですから、日本の暑さに耐えられるようにはできていません。正確に言えば日本の夏に耐えられるように品種改良を重ねてきましたが、日本の夏が以前より一段と暑くなったため耐えられなくなってきています。

 そんな大変な思いをしている芝生たちを少しでも休ませるには、グリーン上を必要以上にあちこち歩かず、ピッチマーク(ボールがグリーンに着地したときにできるくぼみ)は必ず直すなど、気遣ってあげる必要がありそうです。

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