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- プロゴルファーの卵はどこへ? ゴルフ場から「研修生」が姿を消したワケ
ベテランゴルファーなら誰もがゴルフ場で見かけたことがある「研修生」。しかし、最近は一部のゴルフ場を除くと、見かけることはなくなった。ゴルフ場で働きながらプロを目指す「研修生」はなぜ激減したのだろうか?
研修会に入らなくてもプロになれるから
ひと昔前のゴルフ場には研修生という立場の若者たちが必ずいました。ゴルフ場に住み込みや通いで働きながら、朝と夕方にコースを回り、腕を磨いてプロテスト合格を目指していました。
でも最近は、ゴルフ場で研修生を見かける機会が格段に減りました。ゴルフ場から研修生がいなくなった理由をゴルフ場関係者に聞いてみました。
「それは研修生にならなくてもプロゴルファーになれるようになったからです。かつてプロゴルファーを目指す若者はゴルフ場に所属し、地域の研修会に参加して腕を磨くのがプロテスト合格の近道でした」
「20年くらい前までは1コースに4~5人の研修生がいて、『今日は研修会なので試合に行ってきます』と出かけていました」
「今は学生が終わってすぐにプロテストに合格する子が増えたので、研修生にならなくても自分で練習してプロゴルファーになっているのです」
「研修生がいるゴルフ場は今でもありますが、研修会には入っていなくて『ここで練習してプロを目指します』という子も研修生という呼び方になっています。だから研修会の参加者が少なくて研修会が成り立たなくなっています」
研修会という組織は今でも多くのメンバーシップコースに存在します。技術の向上やルールとマナーの相互理解を深めるために上級者が中心となって構成している独自の組織です。
ゴルフの黎明期はプロゴルファーよりもアマチュアゴルファーのほうが、地位が高かったですから、プロゴルファーを目指す若者に対しても、その仕組みを応用していたのだと思われます。
しかしながら、2003年に宮里藍選手が当時高校3年生でアマチュア優勝を達成し、2007年に石川遼選手が当時高校1年生でアマチュア優勝の快挙を成し遂げると、高校や大学を卒業すると同時にプロテストを受験するのが主流になりました。
それ以前に2000年からゴルフ場の経営交代ラッシュが始まり、民事再生法や会社更生法の適用を申請した施設は人件費削減や経営のスリム化によってゴルフ場に所属していたプロゴルファーを次々とリストラしました。その所属プロの指導の元でプロテスト合格を目指していた若者たちも居場所がなくなっていきました。
また、2000年代以降はジュニア時代からゴルフを始めないとプロテストに合格するのが難しくなり、大人になってゴルフ場で働きながらプロテストを目指しても間に合わなくなっているという側面もあります。
研修生がいなくなったのでゴルフ場の従業員が高齢化
以前はゴルフ場の研修生になってプロテストを何度か受験しても合格できなかった若者は、そのままゴルフ場に就職していました。そしてマスター室やコース管理の仕事に従事していました。
でも今は研修生を受け入れるゴルフ場が少なくなっていますから、ゴルフ場の従業員が高齢化しています。あるゴルフ場関係者は「従業員の平均年齢がすでに50歳を超えているけど若い子が全然入ってこない」と嘆いていました。
そういったことを見越して研修生の受け入れを行なっているゴルフ場もありますが、若者たちはゴルフ場で仕事をしながら練習しても、朝から晩まで練習漬けの選手には追いつけないので、研修生という立場を選択しなくなっています。
プロ野球選手を目指す若者が野球場で働いたり、プロサッカー選手を目指す若者がスタジアムで働いたりしても、プロになれる確率が上がるわけではありません。それと同じように、プロゴルファーを目指す若者にとっても、ゴルフ場は働くべき場所ではなくプレーすべき場所ということなのでしょう。
プロゴルファーになりたい若者は男子も女子も増えているのに、ゴルフ場で働きたい若者はどんどん減っているというのは何とも皮肉な状況です。
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