「値引きしてくれ」「何かくれ」は今でも多い
ゴルフ場予約サイトが普及する以前は、各ゴルフ場に営業マンがいてコンペや個人客を集客していました。
その時代はゴルフ場のプレー料金に“建前”と“本音”がありました。日本のゴルフ場の8割以上がメンバーシップ運営ですから、メンバー料金はビジター料金よりも安いのが基本です。
それは昔も今も変わりませんが、メンバー料金とビジター料金に大きな差をつけておかなければゴルフ場のメンバーになるメリットがありません。ですからビジター料金はメンバー料金に比べてかなり高い料金設定になっていました。

しかし、ゴルフ場の本音は「ビジターを集客しなければ日銭が稼げない」ので、メンバーに内緒でビジター料金を値引き販売していました。
1990年代後半から2000年代前半ごろまで、ゴルフ場の営業マンと料金交渉をすれば値引きしてくれたり、コンペ賞品を提供してくれたりするのが一般的でした。
その後、ゴルフ場予約サイトが普及し、ゴルフ場も独自のウェブサイトを構築。プレー料金が可視化されました。これによって値引き交渉の文化が一般的ではなくなりました。
この時期には需要を予測して収益を最大化し、適切な販売管理を行なう手法(レベニューマネジメント)も普及してきました。プレー日が同じでも予約のタイミングによって料金が異なるのが主流になってきました。
そうなると値引き交渉の文化は完全に消失したのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「値引き交渉は今でもめちゃめちゃ多いですよ。昔と比べたらだいぶ減りましたけど、長年ゴルフをされているお客様は今も電話で予約しますし、その際に『値引きしてくれ』『何かくれ』はよく言われます」
「『今はもう、そういう時代じゃないんですよ』と返すのですが、『誰に言えば安くなるの?』とか『オレの顔を立ててくれ』と言われることはしょっちゅうです」
「ゴルフ場としましては、値引きすると売り上げが減りますし、ワンドリンクサービスもレストランの売上が下がりますから『何かくれ』のほうで対応します。物であれば販促物として経費がつけられます」
「ただし、ボールやキャディーバッグは皆さん好みがありますから、食べ物をコンペ賞品として提供させていただくことが多いですね」
コンペ幹事無料や幹事値引きは今でも対応しているゴルフ場が多い
基本的には値引きよりもコンペ賞品の提供で対応するとのことでしたが、コンペ幹事だけ値引きするゴルフ場は今でも多いようです。
「コンペで1人1000円ずつ値引きしたらエライ金額になりますが、幹事様お1人のみの値引きであればそれほど大きな金額ではありませんから、『全員分は値引きしなくていいからオレのぶんだけ引いてくれ』というリクエストには応えているゴルフ場が多いと思います」
「幹事さん無料キャンペーンをやっているゴルフ場もありますし、大きいコンペには次回無料券を出しているゴルフ場もありますから、そういうのに慣れた方なのでしょうね。電話予約が多いゴルフ場では、今でも値引き交渉がさかんに行なわれています」
一方で、今はウェブ予約の比率がどんどん高まっています。ウェブ予約に関しては料金に納得したうえで予約を取っているので、よほどのことがない限り値引き交渉はないと言います。
結局のところ、今の時代は需要と供給のバランスでゴルフ場のプレー料金が決まる仕組みになっていますから、ゴルフ場と値引き交渉するよりも適切なタイミングでウェブ予約するほうが結果的に安い料金でプレーできる可能性が高いかもしれません。
ゴルフ場予約サイトでも予約者だけが安くなるクーポンを定期的に発行したりしていますから、今後は値引き交渉の文化が少しずつ減っていく流れになりそうです。