- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- お客さんがそのままスタッフに!? 人手不足に悩むゴルフ場の珍しい採用活動
コロナ禍でプレー人口が飛躍的に増えたゴルフ場ですが、忙しくなればなるほど、もともと慢性的だった人手不足に拍車がかかります。そんな中、常連客がスタッフの側に回るという珍しいケースも出てきています。
大半のゴルフ場があるのは働き手が流出するエリア
雇用に悩むゴルフ場にとって新たな一手になるかもしれない!?
千葉県のマグレガーカントリークラブでは、変わった形で加わったスタッフがいるそうです。ゴルフが大好きなお客さんがゴルフ場で仕事をするという新しい働き方が行われています。
コロナ禍という思わぬ形で盛り返したゴルフ人気。その魅力にとりつかれた若い人たちも増えたことで、ゴルフ場、練習場などは盛況で、好調に売り上げを伸ばしています。
その一方で、多くのゴルフ場が慢性的な人手不足に陥っているという現実があります。人件費削減により、スタッフを減らしてきたというゴルフ場側の事情もあります。そこは効率化や機械化で乗り切るにしても、やはりマンパワーは必要です。
もちろん、コースによって事情はそれぞれです。ただ、都市部に近いゴルフ場を除けば、基本的に働き手となる世代の人々が流出するエリアにゴルフ場があるという大前提があります。仕事に見合う給与が支払われるかどうか。これは、どの仕事でも同じですね。
ゴルファーにとっては、大自然の中にあるゴルフ場は素晴らしい環境だと感じられますが、そこでコースを守る側に回れば、相手が大自然というのは大変な仕事になります。朝早いのはもちろんですが、天候によっては一日中気を抜くことができないものでもあります。
コース管理を担当しない仕事でも、朝は基本的に早く、サービス業の宿命として、土日祝日など、多くの人が休む時がかき入れ時で、なかなか休めないという事情もあるでしょう。
「仕事内容以前に、ゴルフ場に来たことがない人にはどんなところかイメージできないんです。仕事の内容も分からないから、就職先の候補にも入らないんです」。これは、ある関東のゴルフ場関係者が話してくれた雇用の苦労です。
さて、マグレガーCCのケースに話を戻しましょう。こちらのコースでは、コロナ禍以前から「一人ラウンド」を行っていました。1人で予約はするものの実際に回るのは誰かと一緒というスタイルではなく、完全に1人きりでラウンドできるものです。海外では1人でプレーできることも少なくないのですが、日本ではメンバーシップコース以外では1人でプレーできることは少なかったという事情があります。
この「一人ラウンド」はジワジワと人気を集めました。コスト的には割高なのですが、一緒にプレーする人を探さなくていいので、急に休みが出来た時にプレーしやすいこと、気兼ねなく自分のゴルフに専念できることなどで人気が出たところへ、やってきたのがコロナ禍でした。感染リスクの低いゴルフ場で、さらに人に会わない「一人ラウンド」を選ぶ人はどんどん増えていき、その枠はすぐに埋まるようになりました。
この「一人ラウンド」をする女性のお客さんが2人、スタッフとして加わったのです。1人でプレーするほどなのですから、ゴルフは大好き。常連さんですから、スタッフとも仲良くなります。そのうち自然な流れで、フロント業務などで働くようになったそうです。
ゴルフを知っているので仕事を早く覚えてくれる
「忙しい時間だけ、という働き方ですが、とにかくゴルフを知っている人なので仕事を早く覚えてくれるので助かります」(マグレガーゴルフジャパン・松下健課長)と、スタッフとして大好きなゴルフに関わるようになったというわけです。仕事がない時にはゴルフがしやすい環境にあるのも魅力でしょう。
どちらも40代の女性で、正社員ではなく時短の働き方です。フルタイムで働く必要がある人には難しいでしょう。けれども、お互いの都合がピッタリと合った働き方になったと言っていいでしょう。
さらにもう1人、正社員の知人が縁あってマスター室で働き始めたということですが、こちらも女性スタッフ。マグレガーCCは、フレキシブルな考え方で大きな戦力を得たことになります。
実は、こうした働き方は、高齢のシルバーの方ではこれまでにもあったそうです。ほかのコースのメンバーだったりするゴルフ好きの方が、時短で他のコースで仕事する。今回のケースは、そのバリエーションの一つとも言っていいでしょう。
コースのロケーションはもちろん、さまざまな条件が一致しないと難しいかもしれません。けれども、雇用に悩む多くのコースにとっては人手不足を解消するヒントになりそうです。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
最新の記事
pick up
ranking