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「認知症基本法」が国会で成立 予防を目的にしたゴルフスクールが対象を「45歳以上」に引き下げたワケ
6月14日、国や自治体の取り組みを定めた認知症基本法が参議院本会議で可決・成立しました。そんな中、認知症予防に効果があるとしてゴルフが注目されています。始めるならできるだけ早く、50歳までにはクラブを手にとるべきだといいます。
専門家会議の報告では「45歳」が予防の分岐点
「そろそろゴルフを始めてみよう」というアイデアを行動に移す動きが、40代の方々を中心に生まれています。それを象徴するシーンが6月6日、栃木県の東松苑ゴルフ倶楽部で見られました。
梅雨の合間を縫ってゴルフ場に集まったのは、45歳以上の男女9人。ゴルフに関しては未経験か、事情があってしばらく遠ざかっていた方々が「JGA WAGスクール」に参加し、2名のプロからゴルフの指導を受けたのです(※WAG=ウィズエイジングゴルフの略。老化に逆らうアンチエイジングではなく、老化に寄り添いながら自分らしい生活を目指す考え方)。
この日は毎週火曜日、計8回に及ぶプログラムの1回目。受講者たちはまず血圧を測定するなど体調をチェックしてから、基本的なゴルフ用語などのレクチャーを受けました。
その後コースに出て、ティーイングエリアやバンカー、グリーンなどを実際に見て確認。まず「イロハのイ」を学んでから、けがを予防するためフェアウェイに広がり、ウォーミングアップのためのストレッチです。
次に始まったのが実際のテニスボールより一回り小さいボールをプラスティック製のクラブで打つ「スナッグゴルフ」。今や米女子ツアーの有力選手に成長した畑岡奈紗が幼少時代から取り組んだビギナー向けの用具を、このスクールでも取り入れています。
カラーリングや素材から、一見子供向けのおもちゃと思われがちですが、親子でプレーすると親のほうが熱中してしまうケースも少なくないとか。実際のところ、この日の受講者たちも楽しそうにボールをフェアウェイに飛ばしていました。
ここで気になってくるのが、このスクールの参加資格。なぜわざわざ、45歳以上の男女に限定しているのでしょうか。実はこのスクールのメインテーマに掲げられている「健康維持増進」の中の一つに「認知症予防」が含まれているからです。関係者が次のように説明してくれました。
「『ランセット委員会』という専門家が集まった会議の資料には中高年期からの認知症予防の必要性について書かれております。その調査では45歳以上が一つの区切りになっているため、旧WAGスクール(ウィズ・エイジングゴルフ協議会)は60歳以上でしたが、45歳以上の設定に引き下げをいたしました」
都の高齢者医療センター理事長もゴルフをすすめる
このスクールを主催している団体の一つである日本ゴルフ協会(JGA)が運営する「JGAゴルフ応援サイト」にも、こんな記述がありました。東京都健康長寿医療センター・鳥羽研二理事長へのインタビューの一説です。
〈―認知症予防のために、いつごろからゴルフを始めるといいのでしょうか。なるべく早く始めた方がいい、という話を聞いたことがありますが。
鳥羽理事長 認知症という話に特化すれば、脳にゴミがたまり始めるのは(発症の)20年ほど前と言われています。ですから、生活習慣病の対策も含めて、少なくとも50歳くらいには始めた方がいいでしょう。若ければ若いほどいいと思います。〉
これから受講者たちは約2カ月間、ゴルフ知識の習得やコースでのプレーにもチャレンジすることになります。カリキュラムは長くゴルフを続けてもらうためにコミュニティーづくりに配慮し、運動しながら頭を使う「デュアルタスク運動」(2つ以上の行動を同時に行うことで認知症予防に効果があるとされる)を取り入れたもの。このメニューが認知症予防に役立つというわけです。
おりしも6月14日、国や自治体の取り組みを定めた認知症基本法が参議院本会議で可決・成立しましたが、このタイミングで深刻に語られているのが、2025年問題。団塊の世代が全員、75歳以上の後期高齢者となる25年には、およそ700万人が認知症になると予測されているのです。
これは高齢者の実に5人に1人が認知症になるということ。また、WHO(世界保健機関)は認知症の人は世界で5500万人以上と推計しています。認知症対策は日本だけでなく、世界共通の課題になっているのです。それだけに、この「ゴルフで楽しく認知症予防」というテーマ、今後大きく注目を集めそうです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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