- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- なぜ“基本”は重要なのか? 今季活躍のベテラン・谷原秀人と申ジエの強いゴルフに学ぶ
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、今シーズン優勝した2人のベテラン、谷原秀人(たにはら・ひでと)と申ジエ(しん・じえ)です。
基本をしっかり守った谷原秀人と申ジエ
今シーズンの国内ツアーは男女とも後半戦に入りましたが、引き続き若手の台頭が続く一方で、先週約2年ぶりに勝利した鈴木愛をはじめ、男子でも岩田寛らベテラン勢の優勝が注目を集めました。中でも6月の最終週から7月はじめに行われた男女ツアーでは、ともにベテランの谷原秀人と申ジエが優勝しています。
ジャパンゴルフツアーの選手会が主催した「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」で優勝したのは、44歳の選手会長、谷原秀人選手でした。初優勝を狙う20歳の長野泰雅選手とのプレーオフを制し、通算18勝目を挙げました。
一方、「アース・モンダミンカップ」は通算13アンダーで並んだ申ジエ選手と岩井明愛選手のプレーオフという展開となり、この戦いを制したのは、35歳の申ジエ選手でした。申選手は、この優勝で日本ツアー通算30勝目を達成しています。ちなみに、永久シード獲得の条件は30勝ですが、国内女子ツアーメンバー登録前の1勝と米女子ツアーメンバーとして出場して優勝した1勝は通算勝利数に含まれません。そのため、申選手は、あと2勝で永久シードを獲得することができます。
そんな谷原選手と申選手のプレーオフを見て、あらためて感じたのは“ゴルフの基本”の重要性です。
「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」のプレーオフは、左サイドに大きな池がある18番パー4を使って行われました。フェードボールが持ち球の谷原選手は、このシチュエーションで池の淵を向いてスタンスを決め、左に振り抜いてティーショットを打ちました。
フェードヒッターは、左を向いて構え、左に振り抜くのがセオリー。しかし、左サイドにハザードがある状況では、左を向いて構えづらくなるものです。谷原選手は「左を向いてスタンスをとる」というアドレスの基本をしっかり守ってフェアウェイにボールを運びました。その後、2打目でグリーンをとらえ、2パットでパー。長野選手はこのホールをボギーとし、プレーオフ1ホール目で決着がつきました。
一方、パー5の18番で行われた「アース・モンダミンカップ」のプレーオフ。こちらも1ホール目で勝負がつきました。申選手のプレーから感じた“ゴルフの基本”とは、マネジメントの大切さです。3オン狙いの申選手は、2打目をレイアップし、残り85ヤードにボールを運びます。申選手にとって85ヤードは、54度でしっかり振れる距離。つまり、得意な距離を残したわけです。実際、3打目はピン奥に着弾し、スピンバックしてピン手前1.5メートルへ。バーディーパットを沈めて優勝を手にしています。
スコアメイクに大切なアドレスとマネジメントの基本に立ち返る
谷原選手から感じた“アドレスの基本”をスライサーに置き換えるなら、右を向いて構えることを徹底することが大切。インサイド・アウト軌道で振りやすくなり、ボールがつかまるようになるからです。しかし、右に曲がることを怖がったり、右サイドにハザードがある状況では、右を向いて構えづらくなるもの。そんな時でも、しっかり右を向いて構えることで、曲がり幅を抑えることができます。
また、申選手のように得意な距離でグリーンを狙うには、ティーイングエリアからプランを立てることがポイント。攻略ルートをイメージすると、「わざわざ長い番手を持つ必要がない」など、別のアイデアが浮かんでくるかもしれません。
アドレスとマネジメントが大切なことは、みなさんよく理解していると思います。しかし、プレー中は意外とおろかにしてしまう部分でもあります。今回取り上げた2人のベテラン選手のようにゴルフの基本を常に頭に入れておくと、スコアメイクしやすくなるはずです。
谷原 秀人(たにはら・ひでと)
1978年生まれ、広島県出身。2006年は2勝を挙げて賞金ランキング2位と躍進。同年は全英オープンで5位に入る活躍もみせた。18、19年は欧州ツアーを主戦場にプレー。選手会長に就任した22年の最終戦JTカップでは大会連覇を達成している。23年はジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品で通算18勝目を挙げた。国際スポーツ振興協会所属。
申 ジエ(しん・じえ)
1988年、韓国出身。日本ツアーでの初勝利は2008年。同年は、全英リコー女子を含む米女子ツアー4勝を挙げる。09年に米ツアーの賞金女王に輝き、翌年は世界ランキング1位に。14年から主戦場を日本ツアーに移し、23年アース・モンダミンカップでは国内ツアー通算30勝目(国内ツアー・ノンメンバーでの2勝を含む)を達成した。スリーボンド所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
最新の記事
pick up
ranking