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- 西郷真央が1年半ぶり6勝目 低迷の原因と克服への努力、自信を取り戻したきっかけとは?
伊藤園レディス最終日、単独首位でスタートした西郷真央(さいごう・まお)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算16アンダーまでスコアを伸ばす。終わってみれば2位以下に3打差をつけ、今季初優勝、ツアー通算6勝目を飾った。これにより、西郷はメルセデス・ランキング19位にまで上昇した。
グリップが摩耗するほどボールを打ち込んだ
◆国内女子プロゴルフ<伊藤園レディス 11月10~12日 グレートアイランド倶楽部(千葉県) 6741ヤード・パー72>
伊藤園レディス最終日、あの強い西郷真央が戻ってきたかのような戦いぶりだった。
昨シーズン、開幕戦からの出場10試合で優勝5回、2位が2回と無敵の強さを誇っていた西郷。ところが、その後は1勝もできないどころか、最終戦のJLPGAツアー選手権リコー杯では初日から83、83、76、81と信じられないようなスコアを並べ、通算35オーバーで最下位に終わっていた。ショックのあまり、試合が終わって2週間はクラブに触れることすらしなかったという。なぜ、それほどまでのスランプに陥ったのだろうか。原因は寝違えによる首痛にあった。
「寝違いが頻繁に起こり、首痛がずっと続いていたので、首に負担がないようなスイングをしようと思ったんですが、同時に自分のいい部分も悪くなってしまいました」。その時点で元のスイングに戻そうとは考えず、さらに改良を加えたことで、どんどんいい部分が削られていったという。
西郷のいい部分とはショットの正確性だ。2020-21年シーズンでトータルドライビング1位、パーオン率3位という数字が示す安定感のあるショットが一転どこへ飛んで行くか分からない状態に陥ったことで、苦しい状態が続いていた。それを必死で食い止めていたものの、最終戦で一気に決壊してしまったのだ。
自分のゴルフを立て直すために西郷がとった行動は、クラブを死ぬほど振ることだった。
「もともと練習量が多いほうだと思いますが、今年のオフは今での比じゃないぐらいに打ち込みました」。それこそ日に1000球以上は打っていたのだろう。グリップが摩耗するのにそれほど時間はかからなかった。同時にトレーニングも今まで以上に行い、徹底して下半身を苛め抜いた。
ただ、どんなに練習して自分を追い込んでも、そう簡単に出口は見つからなかった。西郷にとって今季開幕戦となったHSBC女子世界選手権では3日目に85を叩いたことが響いて最下位から一つ上の65位に終わり、国内初戦となったTポイント×ENEOSゴルフトーナメントでは予選落ちを喫した。
そんな状態が夏まで続いたが、転機となったのが7月第1週の全米女子オープンだった。
「2日目にスコアを落としたんですが(76)、なんとか粘りながら予選通過できたことで気持ちが楽になりました」
その約1カ月後に開催されたAIG(全英)女子オープンでも初日103位と出遅れながら予選通過し、最終日に67をマークして36位タイでフィニッシュ。「この試合ですごく自信を取り戻せたかなと思います」。その翌週に大箱根CCで開催されたCATレディースで今季最高の単独2位となり、自信をさらに深めた。
西郷が調子を取り戻した一つのきっかけに、持ち球をフェードからドローに変えたことが挙げられる。フックボールのほうがイメージを出しやすかったこともあり、すんなりと変更できてボールをしっかりとつかまえられるようになったという。実際、今大会では以前よりも飛距離が伸びていたが、その分、2打目以降で短いクラブを持てたこともスコアを伸ばした要因だった。
最終日は2番でボギーを叩いたものの、それ以外は危なげないゴルフを展開した西郷。「これまで挙げた5勝のときよりも、納得のいくショットの回数は多かった」と胸を張る。最終18番パー4で1.5メートルのウイニングパットを決めた瞬間、今までつらかった思いが込み上げ、天を仰いだ西郷。単なる復活ではなく、より成長した自分を実感できたのが今回の優勝だった。
西郷 真央(さいごう・まお)
2001年生まれ、千葉県出身。ルーキーイヤーの20-21シーズンはシーズン21回のトップ10入りと未勝利ながら賞金ランキング4位でシーズンを終えた。2022年は開幕戦でのツアー初優勝を含め5勝、メルセデス・ランキング2位という成績を残した。その後は低迷が続いたが、23年「伊藤園レディス」で復活優勝。ツアー通算6勝。島津製作所所属。
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