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ラームの“トイレ増設要求”etcが実現! 選手たちの希望は費用も労力も各大会に“丸投げ”で叶えられた!?
11月10日、PGAツアーから選手たちに1枚のメモが配られた。その内容は3カ月前にジョン・ラームが会見で語っていたコース上の選手専用トイレ増設など、さまざまな改善希望を叶えるというもの。しかし、それらはPGAツアーの負担ではなく、各大会に“丸投げ”して実現したものだという。
「馬鹿みたいな話に聞こえるかもしれないけど…」
今年8月。PGAツアーのプレーオフシリーズ第1戦、フェデックス・セントジュード選手権の開幕前の会見で、通算11勝を誇るスペイン出身の29歳、ジョン・ラームは、ちょっと照れ臭そうな表情を浮かべながら、こんなことを言い出した。
「今、僕がPGAツアーに対してお願いしたいと思っていることは、たぶん、みんなが思っていることより、ずっと優先順位が低い話だと思うんだけどね……」

そう前置きしたラームは、そのまま本題に入っていった。
「馬鹿みたいな話に聞こえるかもしれないけど、僕の要望は、きわめてシンプル。試合会場となるコースの毎ホールにポータブルトイレを設置してほしいんだ。クレージーなことを言っていると思われるかもしれない。でも、今トイレに行かなきゃならないというときに、僕たち選手には選択肢がない」
猛暑の中でのラウンドはこまめな水分補給が欠かせない。寒さの中でのラウンドは、心身ともに凍り付き、しばしばトイレに駆け込みたくなる。そして、いざというとき、衆人環視の下でプレーしている選手たちは、当たり前だが、ブッシュの中や崖下でコトを済ませるわけには絶対にいかない。
もちろん現状でもコース上に選手専用トイレが設置されていないわけではない。だが、せいぜいハーフに1~2カ所に過ぎず、ときには水洗式ではないタイプのトイレが無造作に置かれていることもある。
それは選手たちにとっては、少なくともラームにとっては、「どうにも耐えがたいことだ」と、彼は語気を強めた。
「僕は常々、毎ホールに選手専用トイレを置いてほしい、清潔なトイレを設置してほしいと感じ、PGAツアーに何度もリクエストを出し続けてきた」
しかし、ずっと実現されず、彼は「ずっと我慢してきた」という。
トイレに対する要望を一通り語り終えたラームは、勢いづいたのか、それとも開き直ったのか、さらなる要望を口にし始めた。
PGAツアーが所有している「TPC(トーナメント・プレーヤー・クラブ)」管轄のコースが舞台となる試合の際は「選手とその家族用のラウンジで提供される食べ物や飲み物が本当に素晴らしい。栄養士がきちんと計算して考えたメニューばかりだ。これからは、どの大会でも、そういうフード&ドリンクを提供してほしい」。
さらにラームは「PGAツアーが会場に設置してくれるジムの設備は素晴らしいけど、そこで働くトレーナーやスタッフには会場から遠く離れた駐車場しか与えられず、渋滞や混雑に巻き込まれて、なかなか会場に到達できない。選手をサポートするチームやスタッフの待遇改善も、僕はPGAツアーにお願いしたい」。
「18ホールに合計8つ、水洗式の清潔なポータブルトイレを設置する」
ラームがそんなことを語ってから3カ月ほどが経過した11月10日、PGAツアーは来季からのさまざまな「チェンジ」を記したメモを選手たちに配布した。
米「スポーツビジネスジャーナル」が入手し、公開したそのメモの内容は、驚くなかれ、「ラームのお願い」に最大限、応える形になっていた。
コース上の選手専用トイレに関しては、さすがに毎ホールに設置することはできないものの、「ハーフに最低4つ、18ホールに合計8つ、水洗式の清潔なポータブルトイレを設置する」とされている。
さらに、選手の家族専用トイレもコース上に数カ所、設置されるとのことで、そこにはペットボトルの水やドライスナック類も提供されるそうだ。
選手とその家族専用ラウンジでは「選手のパフォーマンスを最大化し、疲労回復を助けるヘルシーなフード&ドリンクを提供する」と記されている。
このラウンジの利用は、これまでは選手と家族に限定されてきたが、今後はコーチやマネージャーといった選手のサポートチームのメンバー(キャディー以外)も利用可能になるという。
キャディーに関しては、従来からキャディー専用ダイニングがほぼ毎試合、設置されてきたが、来季からはさらなる充実が図られることになり、ラームが求めていた「スタッフの待遇改善」は大きく前進する。
選手が肉体の故障箇所などをプレー後にすぐさま氷で冷やすための「アイスバス」も新規で設置されるそうで、選手が自身と家族、スタッフに求めるものは、来季は大幅に充実する様子である。
負担は各大会、選手側からの感謝はPGAツアーに!?
ただし、こうした数々の「チェンジ」は、PGAツアーが自らの懐からお金を出し、自らの手で執り行おうとしているわけではなく、PGAツアーが各大会側に「要求している」と知って、少々驚かされた。
PGAツアーが選手たちに配布したメモを入手した前述のスポーツビジネスジャーナル誌は、PGAツアーが各大会のトーナメントディレクター宛に配布したメモも入手したそうで、それによると、2024年からはPGAツアーが各大会側にたくさんの要求を出しており、各大会側の負担は大幅に増える見込みだという。
「選手の送迎用のコーテシーカーは、大会期間中、各大会がすべて提供しなければならない」という要求に始まり、「ラームのお願い」に応えるコース上の合計8つの選手専用トイレの設置、選手の家族専用のトイレの設置とペットボトル水やスナックの提供、選手用のアイスバス設置、選手&家族専用ラウンジで提供するヘルシーなフード&ドリンクのグレードアップなど、PGAツアーが選手に対して誇らしげに発表した数々の「チェンジ」のほぼすべてが、PGAツアーではなく、PGAツアーから依頼された各大会側の費用と努力によって実現されることになる。
PGAツアーの指示の下で各大会が動くという指揮系統や構図を考えれば、「そうなって然るべき」と言えるのかもしれない。
だが、費用や苦労は各大会側に依頼し、その一方でPGAツアーだけが選手やその家族、サポートチームから「快適な環境をありがとう」と感謝されるのだとしたら、まるでPGAツアーの「いいとこ取り」のように感じられ、各大会側からの不満が募りそうに思えてならない。
ラームいわく、「僕は賞金やボーナスのことは、あんまり深く考えてはいない。ただ単純に、トイレを設置してほしい、おいしくてヘルシーな食べ物を出してほしいという選手としての切実な声を伝えたかっただけだ」。
PGAツアーは、そんな選手の声に早々に耳を傾けたのはいいが、今度は大会側からの切実な声を聞き逃さないよう、しっかり耳を澄まし、目を見開いていてほしい。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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