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退任を表明した欧州ツアー会長が“統合”を賛美しPGAツアーに苦言を呈し始めたワケ
R&AとDPワールドツアーというゴルフ界の要となっている組織のトップが相次いで退任を表明したことは衝撃をもって報じられた。そのうちの1人、DPワールドツアーのキース・ペリー会長の退任表明後の発言に注目が集まっている。
「Unify the game(ゲームの統一)」という言葉を何度も
欧州ゴルフの総本山である「R&A」のマーチン・スランバーズCEOと欧州を本拠とするDPワールドツアーのキース・ペリー会長の退任が、どちらも1月10日(米国時間)に発表されたことは、すでにお伝えした通りである。

どちらも即刻退任というわけではなく、スランバーズCEOは「2024年いっぱい」、ペリー会長は「今年4月まで」とされている。
なぜ4月なのか? ペリー会長はゴルフ界懸案のPGAツアー、DPワールドツアー、そしてリブゴルフを支援しているサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」の“統合”が正式な合意に達する日を見届けてからDPワールドツアーから去る心積もりと見られている。そして、その上でペリー会長が退任時期を4月に設定したことは、4月までに合意に達すると踏んでいるからなのだろう。
統合合意は近い。ゴルフ界の春は近い。そう考えれば、ペリー会長が4月で去るというニュースは。ある意味、朗報と言えるのかもしれない。
しかし、退任の意思を固め、母国カナダのメイプルリーフ・スポーツ&エンターテインメントの社長兼チーフ・エグゼクティブという新たなポストに就くことが決まってからのペリー会長は、これまでで最も声を大にしながら、PGAツアーへ苦言を呈した。
「すべてのビジネスがグローバルな成長を目指し、あらゆるスポーツがグローバルになろうとしている。しかし、PGAツアーとその選手たちにはグローバルなビジョンが欠けている」
そう感じているのなら、なぜ、それをPGAツアーに直接ぶつけなかったのか。「キミたちはもっとグローバルなビジョンを持て! 視野を広げるべし!」といった提言を、ジェイ・モナハン会長を筆頭とするPGAツアーの人々へダイレクトに訴えかけることをせず、なぜ退任してしまうのか。
そんな疑問が沸いてきたが、英ガーディアン紙によれば、ペリー会長は「私は何度もそう言い続けてきた」と語ったとのこと。いくら言っても聞く耳もたずだったPGAツアーの態度に、ペリー会長は愛想を尽かし、落胆し、DPワールドツアーの会長職から降りることを決意したのだろう。
そう考えると、ペリー会長の退任は、上げても上げても葬り去られた自身の声を世の中に出すための決死の告発なのかもしれない。
「PIF(あるいはリブゴルフ)との統合は素晴らしいことだ。統合を目指すことは、正しい方向と言える。今、求められているのは、ゴルフ界を一つにすることだ」
ペリー会長は「Unify the game(ゲームの統一)」という言葉を何度も繰り返し口にしていた。
「アメリカという国境を越えてモノゴトを眺めることが必要」
ペリー会長は、翌週のDPワールドツアーの大会、ヒーロー・ドバイデザートクラシック(1月18~21日)の会場で欧州メディアからの取材に答えた際にも、PGAツアーや米ゴルフ界に対する苦言を呈した。
「PIFとの統合が成立したら、アメリカのゴルファーには、アメリカという国境を越えてモノゴトを眺めることを求めることになる」
これは、言い換えれば、「現状では“アメリカのゴルファー”がアメリカという国境を越えることなくモノゴトを眺めている」と指摘しているわけで、「だから“アメリカのゴルファー”は視野が狭い」と批判していることを意味している。
そして、ペリー会長がここで使っていた“アメリカのゴルファー”という言葉は、PGAツアーやその選手たちを総称しているのだと思われる。
もともと母国カナダでサッカーやホッケー、バスケットボールといったプロスポーツを振興するビジネスフィールドで手腕を発揮し、その実績が認められてDPワールドツアーの会長に抜擢されたペリー会長は、「サッカーやホッケーの世界は、みなグローバルに成長しようとしている」と前置きした上で、「しかし……」とゴルフ界の現状に言及し始めた。
「ゴルフ界は選手がみな個人事業主であり、どの試合に出るか、休むかといったスケジュールを個人個人の選手が自己都合で決めている。だが、選手が個人事業主であるという状況をなくし、トッププレーヤーが年間に最低限、ある一定以上の試合数をこなすようコミットさせることが必要だ」
ペリー会長のこの言葉は、リブゴルフのシステムを評価しつつ、PGAツアーやDPワールドツアーといった従来のプロゴルフ界の在り方に改善が求められることを示唆していると思われる。
現状では、個人事業主である選手たちは、試合への出欠を自分の都合や希望で自由に決めており、だからこそ、トッププレーヤーが出揃うかどうかは、蓋を開けてみるまで分からないという曖昧で不安定な状況を招きがちである。
一方で、個人戦のみならず、チーム戦も同時進行しているリブゴルフでは、チームをフランチャイズ化し、選手たちをチームという単位で括っているため、選手たちが自己都合で試合を欠場することは、まずない。そして、年間の14試合にすべて出場することが前提とされているため、どの試合にもリブゴルフ選手が勢揃いすることはギャランティーされている。
「今週のドバイにはローリー・マキロイもトミー・フリートウッドも出ており、大勢のギャラリーが詰めかけている。スター選手が揃っているかどうかで、試合の展開や盛り上がりは様変わりする」
スターを勢揃いさせることが、何より大事。そして、リブゴルフには、そのためのシステムが整っていることを、ペリー会長は認め、従来のゴルフツアーには、それが十分に整ってはいないことを指摘していた。
PGAツアーは今年から出場者をトッププレーヤーに限定し、賞金総額2000万ドルのシグネチャー・イベントを年間8試合開催するが、統合合意が成立したあかつきには、PGAツアーとDPワールドツアー、リブゴルフの選手たちが、同じ土俵で戦えるシステムやフォーマットを見い出す必要があるのだとペリー会長は指摘する。
「今、求められているのは、ゴルフ界を一つにすることだ。Unify the game(ゲームの統一)だ」
「プロゴルフ界はアマチュアゴルフ界と手を取り合うべき」
さらにペリー会長は、プロゴルフ界とアマチュアゴルフ界の統一の必要性にも触れた。
「新型コロナウイルス感染症によるパンデミック後、アマチュアゴルフ界は猛スピードで成長している。プロゴルフ界は、成長しつつあるアマチュアゴルフ界と手を取り合い、ともに成長する必要がある。ゴルフというゲームの世界には、たくさんのワンダフルな事柄が溢れているのだから、みんなで一つにすることが必要だ。Unify the gameだ」
なるほど。ペリー会長の指摘は、ごもっともである。これまでPGAツアーはゴルフ界のピラミッドの頂点に君臨し、燦然と輝いていた。裾野に広がる他のゴルファーや社会に「貢献しよう」「チャリティー活動を行おう」という姿勢は昔から見られたが、ある意味、それはピラミッド上層部から下層部への一方通行であり、一緒に盛り上げようとしていたわけではなかった。
一方で、USGAやR&Aといったゴルフ関連団体は、全米アマチュア、全英アマチュアといったアマチュアのビッグ大会を開き、オーガスタナショナルはオーガスタナショナル女子アマチュアやドライブ・チップ&パットといった新たな大会を応援し、男女を問わず、アマチュアやジュニアを組み入れる施策を講じてきた。
PGAツアーも、PGAツアーの選手のみならず、アマチュア、ジュニア、女性やシニアなど広い範囲のゴルファーとコラボしながらともに成長していく施策を考案し、実践すべきだと、ペリー会長は考えているのだろう。
「ゴルフ界の統一」「Unify the game」は、ペリー会長が会長としての最後の力を振り絞って訴えかけている彼からのラストメッセージだ。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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