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- ヒザは最後に曲げるのが正解!? 涙の初優勝・桑木志帆に学ぶ“カッコいいアドレス”の作り方
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「資生堂レディスオープン」で初優勝を飾った桑木志帆(くわき・しほ)です。
股関節から前傾した上で最後にヒザをストンと落とす
神奈川県横浜市の戸塚カントリー倶楽部・西コースで「資生堂レディスオープン」が開催されました。初日に7バーディー・ノーボギーの「65」をマークして単独トップに立ったのは桑木志帆選手でした。2021年にプロ転向した桑木選手はツアー未勝利でしたが、今季はこの大会までにトップ10入りが7回と好調。また、昨年大会ではプレーオフの末に惜しくも初勝利を逃しているだけに、今大会にかける想いは強かったはずです。
大会は2日目が大雨で中止となり、3日間54ホールの短縮競技に。第2ラウンドで単独トップに立ったのは、この日「68」でプレーしてトータル9アンダーとした堀琴音選手でした。桑木選手は、小祝さくら選手と並んで通算8アンダーの2位タイにつけていました。
最終日は初勝利がかかった桑木選手と22年以来の3勝目を狙う堀選手の一騎打ちのような展開になりました。砲台グリーンが特徴的な戸塚CC西コースは、セカンド地点からグリーン面が見えないシチュエーションもあり、ショットの精度が問われます。そんな難コースをフェードボールが持ち球の2人が攻略していく姿は非常に見応えがありました。
結果、最終ラウンドを「69」でプレーした桑木選手がトータル11アンダーで勝利。昨年大会では悔し涙を流した桑木選手が、今年は嬉し涙を流すという感動的なラストでした。
さて、今回はそんな桑木選手のセットアップが興味深かったので紹介したいと思います。桑木選手はアドレスする際、直立した体勢で一度ヘッドを腰の下あたりに上げ、前傾をしながらヘッドを下ろしていきます。そして、最後にヒザをストンと落としてからスイングを始動します。
ポイントは、前傾してからヒザを曲げるというアドレスを作る順番です。一般ゴルファーの中には、ヒザを曲げた状態で前傾姿勢をとる人が意外と多いのですが、この順番だとお尻が下がったアドレスになりやすいんです。お尻が下がったアドレスは、足裏の重心位置を見失いやすく、体をスムーズに動かせなくなります。その結果、テークバックで手上げをしたり、軸ブレしやすくなってしまうわけです。
重心を真ん中に保ててスイングがグラつきにくくなる
桑木選手のように、まず直立に近い状態を作り、股関節から前傾した後、最後にヒザを曲げることで重心を真ん中に保ちやすくなり、スイングがグラつきにくくなります。
スライスで悩んでいる人はアドレスの段階からツマ先側に重心が乗り過ぎてカット軌道になっている可能性があります。また、引っかけることが多い人はカカト側に体重が乗った構えになっているかもしれません。「前傾してからヒザを曲げる」という順番を守るだけで、スイングのバランスは改善されていきますよ。
桑木 志帆(くわき・しほ)
2003年生まれ、岡山県出身。21年6月実施のプロテストに合格してプロ入り。同年の新人戦「加賀電子カップ」で優勝。昨シーズンは「ブリヂストンレディス」3位タイ、「資生堂レディス」2位、「北海道meijiカップ」2位、「CAT Ladies」3位、「TOTOジャパンクラシック」2位タイなどの活躍で、未勝利ながらメルセデス・ランキング10位と躍進。今シーズンは前年にプレーオフで敗れた「資生堂レディス」で涙の初勝利を挙げた。大和ハウス工業所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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