- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- 右サイドの高さをキープしやすくなる魔法のライ“左下がり先生”とは? 2年連続ベストアマ・都玲華が実戦した練習法
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、国内女子ツアー「ミネベアミツミレディス北海道新聞カップ」で2年連続ベストアマを獲得した都玲華(みやこ・れいか)です。
練習場の打席環境でコンディション良好に
7月4日から7日まで、北海道の真駒内CC空沼Cで「ミネベアミツミレディス北海道新聞カップ」が行われました。この大会で私は、スイングコーチをしている都玲華選手のキャディを務めました。彼女のキャディーをしたのは昨年6月の「全米女子オープン最終予選」以来で、ツアーでは初めてでした。
最終成績は通算2アンダーの36位タイで、昨年大会に続き2年連続でベストアマを獲得しました。昨年は最終日に4位でスタートして16位フィニッシュでしたから、結果的にはそれよりも順位は低かったことになります。ですが、都本人は「良い経験ができた」と手応えを感じた大会になりました。実際、4日間を通してショットのコンディションは良く、ショットのミスからボギーを叩くというシーンはありませんでした。傍で見ていても安心感があるラウンドでした。

今大会のスタッツを見ると、フェアウェイキープは7位タイ(40/56)。優勝した川崎春花や3位の尾関彩美悠と同じ順位です。また、パーオンは13位タイ(54/72)で2位の櫻井心那と同率でした。4日間通してグリーン周りのバンカーに1度もつかまらなかったのは、ショットの状態が良かった結果といえるでしょう。
その一方、初日に3パットを3回するなど、パッティングの状態はイマイチ。パットの状態が上がってくれば、もっと上位を狙えるという可能性を感じる内容でした。
さて、今大会でショットのコンディションが良かった理由のひとつが、練習場の打席環境にありました。打席自体はフラットでしたが、先端にいくと左下がりのライになっていたのです。
フェードヒッターの都にとって、ダウンスイング時の右サイドの高さは生命線です。つまり、安定したフェードを打つには、右腰や右肩を高い位置にキープしたままクラブを振り下ろさなければいけません。しかし、都は右軸で振るクセがあり、右サイドの高さを維持できずにインパクトを迎えることがあります。このスイングになると、球をつかまえきれずにスライスが出てしまうのです。
今大会では、練習中に悪いクセが出始めると「“左下がり先生”の所へ行こう」と言って場所を移し、左足下がりのライで球を打ってスイングを矯正していたのです。
あおり打ちのクセは左足下がりのライで素振りを
左下がりのライは、軸が右に倒れにくくなり、右サイドの高さをキープしやすくなります。ここで球を打ったり、素振りをして悪いクセを封じ込めていたというわけです。練習中だけでなく、プレー中も“左下がり先生”を見つけては素振りをして、良いイメージを体に叩き込んでいました。
“左下がり先生”は一般ゴルファーの皆さんにも効果があります。あおり打ちのクセがある人やラフからのショットが苦手な人は、“左下がり先生”で素振りをしたり、球を打つと体の動きが良くなっていきます。スムーズに振るコツは顔を傾けないこと。顔が右に傾くと軸も傾きやすくなるので、アドレス時の顔の角度をキープするといいでしょう。また、高い位置にフォローを出そうとせず、左下に振り抜くイメージを持つとスイングが改善されていきます。皆さんも“左下がり先生”を活用してみてください。
都玲華(みやこ・れいか)
2004年生まれ、徳島県出身。昨シーズンは、「フジサンケイレディス」と「ミネベアミツミレディス北海道新聞カップ」でベストアマを獲得。今シーズンも「明治安田レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」でベストアマに輝き、ステップ・アップ・ツアー「大王海運レディスオープン」では同ツアー史上6人目のアマチュア優勝を達成。また、今年の「ミネベアミツミレディス北海道新聞カップ」で2年連続のベストアマを獲得している。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
最新の記事
pick up
ranking