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逆転優勝に導いた最終18番の第2打は“ミスショット”だった!? 石川遼が節目の通算20勝に到達 賞金王のチャンスも
国内男子ツアー第21戦「三井住友VISA太平洋マスターズ」は、石川遼が通算11アンダーで大会史上最多となる4勝目を挙げた。今季ツアー2勝目、通算20勝目を達成。20勝到達は史上12人目で年少記録では5番目となる。賞金ランキングも5位に浮上した。
カギを握った17番のパーパット
◆国内男子プロゴルフ
三井住友VISA太平洋マスターズ 11月7~10日 太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県) 7262ヤード・パー70
16番ホールを終了した時点で通算10アンダーの2位タイにつけていた石川遼。首位の谷原秀人とは1打差だけに、逆転優勝の可能性は十分残していた。
ところが、17番パー3のティーショットをピン手前約5メートルにつけた後だった。「バーディーパットを打つ前にスコアボードを見たら、谷原さんが18番でボギーを打ったことを知りました」。
なんとこの時点で首位タイに。残り2ホールでスコアを1つ縮めたら優勝できる状況に変わったのだ。
普通なら17番をパー、18番パー5でバーディーと考えるが、目の前のバーディーチャンスに思わず気持ちが揺らいだ。
「この日はパットの調子がよかったし、入るんじゃないかという思いがあったんでしょうね」
下りのラインだけに、本来ならタッチを合わせにいくところだが、インパクトが強くなり、カップを1メートル以上オーバーする。「何をやってるんだ」と後悔したものの、気持ちを切り替え、大事なパーパットをなんとか沈めることができた。ある意味、このパーパットが勝負を決めた1打だったかもしれない。
18番でのティーショットでは3番ウッドを選択した石川。予定通りフェアウェイをキープし、2打目を迎えた。
ピンまでは230ヤード。グリーン手前から右サイドには池が広がっている。過去にも何度かこの池にボールを入れた経験があるだけに、この池だけは絶対に避けたいと思っていた。
3番ユーティリティーで放たれたボールはグリーンに向かってほぼ真っすぐに飛んでいき、ピン左手前約8メートルにナイスオン。狙いどおり2オンに成功した。
2パットに収めれば優勝となる。「富士山を背にしていたので、転がりが速いことは十分、分かっていました」。
あえて30センチショートさせるつもりでストロークしたボールは、カップを20センチほどオーバーしたところで止まる。石川が想像した以上のスピードで転がったが、保険をかけていたこと、17番でファーストパットをオーバーした経験が奏功した。
ウイニングパットを沈め、両手を挙げて喜びを表現した石川。大会最多となる4勝目を挙げ、コースとの相性のよさを改めてアピールした。
優勝回数は歴代9位タイに
18番で2オンに成功した石川だが、実は第2打はミスショットだったという。
「相当緊張していたせいか、カッコよくいえば厚めの当たりなんですが、恥ずかしながらちょっとダフったというか、ダフリ気味に当たったんです」
普通に当たっていれば手前の池を越えることは問題なかったが、ダフったぶん池を越えるかどうか内心ヒヤヒヤだったのだ。「その辺はまだまだだなと思います」と振り返った。
今大会では直ドラを披露するなど新たな面も見せている石川だが、4年前から始めているスイング改造はまだ途中であり、反省点や課題は少なくなさそうだ。
にもかかわらず、ツアー通算20勝目を挙げたのだから、やはり持っているポテンシャルは高いのだろう。
ツアー20勝を達成したのは史上12人目で、年少記録としては片山晋呉を抜いて5番目となる。優勝回数ランキングでは9位タイで、永久シードを獲得できる25勝も見えてきた。
そして今季の賞金ランキングも5位に浮上した石川。「賞金王はまだ考えていませんが、かなりの選手にチャンスがあるでしょう」と、残り3試合となったシーズンだが波乱がありそうな気配が漂ってきた。
まだまだ若手に主役の座を譲るわけにはいかない。終盤戦の主役となるためにも、石川にとって今回の優勝が大きな弾みとなったことは間違いない。
石川 遼(いしかわ・りょう)
1991年9月17日生まれ、埼玉県出身。高校生で初出場した「マンシングウェアオープンKSBカップ」で史上最年少の15歳8カ月で優勝を飾る。2008年にプロ転向、翌年は年間4勝を挙げ最年少賞金王に輝く。24年「三井住友VISA太平洋マスターズ」で同大会最多の4勝目を挙げた。ツアー通算20勝。CASIO所属。
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