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- バンカーが苦手ならボールが飛んでる間にクラブを「ストン」!? 真似してみたい賞金王・金谷拓実の“脱力インパクト”
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は2024年の国内男子ツアー賞金王に輝いた金谷拓実(かなや・たくみ)です。
振っているのに曲がらない金谷のスイング
2024年の国内男子ツアーは金谷拓実選手の逆転賞金王で幕を下ろしました。
シーズンを通しての金谷選手のスタッツは、パーオン率1位(74.228)、フェアウェイキープ率3位(68.911)。また、ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率をポイント換算した、いわゆる“飛んで曲がらないランキング”のトータルドライビングは1位(42)。ドライバーもアイアンも、とにかく曲がらないのが持ち味です。
抜群の方向性を持つ金谷選手ですが、スイングを見ると「しっかり振っているのにどうして曲がらないの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
“振っている”ように見えるのは、手元の運動量が多いから。スイング中、体の正面から手元が外れず、体と手元が同調しているため、力いっぱい振っているように見えるのです。金谷選手のように振ることができれば、ヘッドが暴れにくくフェースローテーションが少なくなります。つまり、フェース面をスクエアにキープでき、球を真っすぐ打ち出せるわけです。
さて、今シーズンの金谷選手のプレーで印象に残っているのが、優勝した「ACNチャンピオンシップ」プレーオフで見せたバンカーショットです。
18番パー5で行われたプレーオフ1ホール目。2オンを狙った金谷選手のショットは、グリーン左のバンカーにつかまります。ピンまでは30ヤード弱。ここから足を使ったバンカーショットで1ピン圏内にピタリとつけて勝負を決めました。
インパクトからグリップを緩めてフォローを小さく
注目はこの時のフォローの仕草です。フォローを出しながら手の中でスルスルっとクラブを滑らせてストン! ボールが最高到達点に届く前には、金谷選手は左手1本でクラブのネック辺りを軽く持っている状態でした。
バンカーショットでフォローを大きくしっかり取ると、スピンがかかりやすくなります。時にはこの打ち方が必要なケースもあります。しかし、プレーオフ時の金谷選手は、インパクトからグリップを緩めてフォローを小さくして、スピンをかけないようにしたわけです。
このスイングのイメージは、バンカーショットが苦手な一般ゴルファーの皆さんの参考になります。バンカーから一発で脱出できない原因のひとつは力み過ぎ。インパクトでグリップを緩めてフォローを小さくすると、入射角が安定して砂を取る量が一定になります。
バンカー練習をする機会があまりない人は、30ヤードのアプローチで練習してみてください。インパクトで指先の力を緩め、小さいフォローをとりましょう。金谷選手のように、打った直後にストンとクラブを落とすのが理想です。“脱力インパクト”をマスターしてバンカーの苦手意識を克服しましょう。
金谷 拓実(かなや・たくみ)
1998年生まれ、広島県出身。高校2年の2015年に「日本アマ」を当時の史上最年少(17歳148日)で制覇。19年には世界アマチュアランキング1位を獲得し、同年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で史上4人目のアマ優勝を達成。20年の10月にプロ宣言し、11月の「ダンロップフェニックス」でプロ初勝利を飾るなど年間2勝をマーク。24年シーズンは開幕戦と「ACNチャンピオンシップ」で勝利。最終戦で逆転賞金王を決めた。通算7勝。Yogibo所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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