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- 米ツアー予選会突破! 金谷拓実はなぜ「70ヤード」を打つ前に「30ヤードの素振り」から始めるのか?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、国内ツアーで賞金王を獲得した後、米ツアー最終予選会を突破した金谷拓実(かなや・たくみ)です。
金谷拓実の中途半端な距離を打つときの素振りが独特
5位タイまでに入ると来季の米ツアー出場権を獲得できる米ツアーの「Qスクール・ファイナルステージ(最終予選会)」がフロリダ州のTPCソーグラスで行われました。日本勢で出場したのは、今季の国内ツアーで賞金王に輝いた金谷拓実選手と同ランク2位の平田憲聖選手です。
最終ラウンドを3位からスタートした金谷選手は「69」でフィニッシュ。通算5アンダーの3位に入って念願の米ツアー出場権を獲得しました。
一方、47位タイから最終ラウンドをスタートした平田選手は、6バーディー、ノーボギーの「64」。猛チャージをかけて通算2アンダーまで伸ばしましたが、2打届かず8位タイで終戦しました。来季の平田選手は、コーン・フェリーツアーからの昇格も視野に入れて米男子ツアーを狙うことになります。
金谷選手が出場権を獲得したことにより、来季の米男子ツアーは5人の日本勢が参戦することになりました。金谷選手以外は、シード保持者の松山英樹選手と久常涼選手、そして欧州ツアーで資格を得た星野陸也選手とコーン・フェリーツアーから昇格した大西魁斗選手です。
ちなみに、来季の米女子ツアーには13名の日本勢が出場しますし、DPワールドツアー(欧州ツアー)には中島啓太選手や桂川有人選手らがいます。これだけ多くの日本選手が一気に世界に羽ばたくのは過去に例がありません。国内ツアーで観る機会が少なるのは少し寂しい気もしますが、彼らの活躍を期待したいですね。
金谷選手に話を戻しましょう。今季は、賞金王以外にもメルセデス・ベンツ トータルポイントランキングや平均ストローク、パーキープ率、パーオン率、トータルドライビングなどでスタッツ1位を獲得。本当に穴がないプレーヤーですが、特に印象に残っているのが中途半端な距離を打つ時の素振りなんです。
段階的に素振りの振り幅を大きくする
例えば残り70ヤードのシチュエーション。フルショットの飛距離が100ヤードのクラブを使うとすると、金谷選手は30ヤードの素振り、50ヤードの素振り、70ヤードの素振りと、段階的に振り幅を大きくしていくんです。
「70ヤードを打つ前は70ヤードの振り幅で素振りをする」というのが一般的ですよね。しかし、いきなり“正解”を出そうとしても、なかなかフィーリングを出せないものです。金谷選手のような素振りをすると距離のイメージがしやすくなるので、皆さんもぜひ試してみてください。
この方法はグリーン周りやバンカー越えなど、距離感が重要な他の場面でも有効です。15ヤードを打ちたい時は、5ヤード、10ヤード、15ヤードと足し算して素振りしてみてください。距離感がバッチリ合ってきますよ。
金谷 拓実(かなや・たくみ)
1998年生まれ、広島県出身。高校2年の2015年に「日本アマ」を当時の史上最年少(17歳148日)で制覇。19年には世界アマチュアランキング1位を獲得し、同年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で史上4人目のアマ優勝を達成。20年の10月にプロ宣言し、11月の「ダンロップフェニックス」でプロ初勝利を飾るなど年間2勝をマーク。24年シーズンは年間2勝で自身初の賞金王を獲得した。シーズン終了後は米ツアー最終予選会を3位で突破し、来季の米ツアー出場権を獲得。国内ツアー通算7勝。Yogibo所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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