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PGAツアーとリブゴルフがCEO交代!? 欧州ツアーとリブが合併!? いろいろなことが動き出しそうな2025年のゴルフ界
ここ数年、激動の渦中にある世界のゴルフ界だが、2025年はいろいろなことがポジティブな方向に動き出しそうな予兆がある。
PGAツアーが新しいCEOの候補者探しを開始
PGAツアーの会長が1年の終わりに発信する「エンド・オブ・ザ・イヤー・メッセージ」というものがある。
2024年は12月17日にジェイ・モナハン会長から発表されたのだが、その内容は「新しいCEOの候補者探しを開始した」というもので、世界のゴルフ界が驚かされた。
とはいえ、それはモナハン会長が新CEOと交代してPGAツアーから去っていくという話ではなく、いわば、モナハン会長の補佐役を見つけようとしているというものだった。
「私たちのスポーツの明るい未来を見据える機会を得るためにも、重要な役割を担う新CEOの候補者と会える日を私は楽しみにしている」(モナハン会長)
新CEOが就任したら、モナハン会長はコミッショナーとして、そしてPGAツアーとPGAツアー・エンタープライズ双方の理事として残るとのこと。
そして、新CEOは米コンソーシアム「SSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)」とパートナーシップを結び、総額30億ドルの投資が約束された上で創設したPGAツアー・エンタープライズを中心とするビジネスサイドの最高責任者となって、指揮を執ることになるという。
逆に言えば、そうしたビジネスサイドを新CEOに任せることで、自身の肩書きをコミッショナーに変えるモナハン会長が、混沌としているサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」との交渉や取引、そしてツアーサイドの運営に集中できる体制を目指すつもりなのだと考えられる。
いずれにしても、PGAツアーという組織が少しずつ変わり始め、前進もし始めていると言っていいのではないだろうか。
これまでの動きをざっと整理してみると、世界のゴルフ界の激動が始まったのは、PIFのサポートを得てリブゴルフが創設された2021年からだった。
22年にリブゴルフの初戦が開催されると、PGAツアーとDPワールドツアーはパートナーシップを結んで団結し、リブゴルフへの対抗策を次々に講じて、ゴルフ界に激震が起こった。
そんな中、PGAツアーのモナハン会長とPIFのヤセル・ルマイヤン会長は水面下で秘密交渉を行なった末、23年6月「統合合意」が一方的、そして電撃的に発表されると、今度はPGAツアー内部から不満と批判が噴出。ゴルフ界の揺れは拡大される一方となっていった。
その後はPGAツアーの選手会と理事会が中心となり、タイガー・ウッズやアダム・スコットらがリーダーシップを取りながらPIFとの交渉が進められていき、ようやく大きな変化が起こったのは24年1月だった。
PGAツアーは、まずPIFではなくSSGとパートナーシップを結び、SSGからの巨額投資を得て、営利法人のPGAツアー・エンタープライズを設立した。
しかし、そこから先は遅々として話が進展しなかったのだが、イヤーエンドの12月になると、PIFがPGAツアー・エンタープライズの株式の6%を取得することが米ブルームバーグによって報じられた。
そして、その報道から1週間後の12月17日にモナハン会長からPGAツアーの新CEO探しが始まったことが公表された。
リブゴルフにも大口スポンサーやメジャーTV局がつき始めた
PGAツアーとDPワールドツアーはすでにパートナーシップを締結しており、PGAツアーはビジネスサイドでSSGとパートナーシップを結んでいる。
米ブルームバーグによると、DPワールドツアーはPGAツアーとのパートナーシップとは切り離した形で、独自でPIFとパートナーシップを結ぶ交渉も行なっているとのこと。
そしてこの12月、ついにPGAツアーとPIFがPGAツアー・エンタープライズを介する形で、正式な結びつきができたことになる。
米欧メディアの間では、「近いうちにDPワールドツアーとリブゴルフが合併するのではないか?」とも言われているが、そうなることを前提にしているかのごとく、リブゴルフ選手が古巣のDPワールドツアーのメンバーシップを取り戻す動きは、すでに始まっている。
そして、リブゴルフのCEOも25年の半ばまでに交代となることが、現CEOのグレッグ・ノーマンから明かされている。PGAツアーのモナハン会長同様、ノーマンも肩書きを変えてリブゴルフに残り、発言権を強めていくことになるのではないだろうか。
とはいえ、創設当初は「リブゴルフはノーマンのツアー」というイメージだったものが、これからは興行ビジネスの1つとして存在するツアーとして成長しようとしていることは確かである。
チーム戦を交えたフォーマットのリブゴルフにおいて「チームをフランチャイズ化させる」と発表されたときは、「そんなことがうまくいくのだろうか?」と誰もが半信半疑だったが、3シーズン目を終えた今では、各チームに小さなスポンサーが何社も付いている。
ブライソン・デシャンボーがキャプテンを務めるチームにはリーボックがスポンサーとして名乗りを挙げ、「リブゴルフ初のメジャーなスポンサー」となって、ゴルフ界の注目を集めている。
リブゴルフに残された大きな課題は、主要なTV局との放映権契約を得ることだったが、その交渉はなかなかまとまらず、インターネット配信や米CWによるTV中継は惨憺たる視聴率で苦戦していた。
しかし、年末には米フォックススポーツとの交渉がまとまり始めていると米メディアは報じている。
モナハン会長から発信された「エンド・オブ・イヤー・メッセージ」のみならず、PIFやリブゴルフも、みな少しずつ動き始めていることは、24年を締めくくる朗報と言っていい。
いろいろなことが起こり続けた激動の24年が糧となり、素晴らしい25年になりそうな予感がする。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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