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メリットはあるがデメリットはナシ!? 原英莉花のシード権放棄が“アメリカで這い上がる”ために合理的選択である理由
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は1月15日、原英莉花(はら・えりか)が2025年のシード権放棄の申し出を受理したことを発表した。米下部ツアーで這い上がる覚悟とはいえ、せっかく手にしたシード権を手放すのはどんな理由があるのだろうか
60%以上という日本ツアーの出場義務を回避できる
原英莉花の米ツアーへの思いの強さを感じる決断だ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は1月15日、原が2025年のシード権放棄の申し出を受理したことを発表した。

昨年、メルセデスランキング24位で日本のシード権を獲得した原だが、25年は米ツアーで戦いたい気持ちを持っていた。予選会であるQシリーズに2次から挑んでファイナル(最終予選会)まで進み、ツアーカード獲得の25位以内を狙ったが、カットラインに1打及ばず最終日はプレーできずに終わった。だが、67位という順位がつき、下部のエプソンツアー出場権は手にしている。
この時もシード権のある日本ツアーよりエプソンツアーでプレーしたい気持ちが強いことをもらしていたが、今回、日本のシードを放棄したのは、その気持ちの表れだろう。
現実的にも、日本のシード権を持ったままだと、さまざまな不都合が生じる。年間を通した出場権を持つ一方で、同時にいろいろな義務も生じる。米女子(LPGA)ツアーの出場権を持っている場合、国際ツアー登録を行えば免れることができるものが多いが、残念ながら下部のエプソンツアーはこれに該当しない。日本ツアーでの出場義務試合(開催試合数の60%以上)や前年度欠場試合の出場義務(違反した場合、罰金100万円)などは、シードを放棄して初めて免れることができる。
若くして公式戦3勝した原英莉花だから打てる一手
一方、「日本女子オープン」2勝、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」1勝と公式戦通算3勝の原が持っている複数年シードはそのまま維持される。規定では複数年シードは本人の都合で行使する時を選ぶことができる(期限あり)。ルーキーイヤーに初シードを獲得して以来、今に至るまでランキングによる単年シードを維持してきた原は今のところ複数年シードを行使せずにきている。単年シードを放棄したことはこの複数年シードには影響しない。複数年シードを行使するためには、開幕戦のエントリー締め切りまでに申し出る必要があるが、今後いざとなれば、これを使える強みがある。
また、主催者推薦は最大8試合まで出場でき、さらに公式戦優勝で得た「日本女子オープン」「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」「ワールドレディス サロンパスカップ」の出場権も生きている。
今回の原の決断は、エプソンツアーに専念し、そこからLPGAツアーに這い上がるという目的を果たすために身軽になるメリットがある一方で、デメリットはほとんどない、ということになる。
もちろん、米女子ツアーとは大きく違う厳しい環境のエプソンツアーでの転戦の苦労や賞金額の違いなどはあるが、それも目標としているLPGAツアーでプレーするためというポジティブなもの。足かせを解かれてゴルフに専念しやすくなったのは間違いない。
近年シード権を放棄した例は、古閑美保、米山みどり(いずれも12年シーズンのシードを放棄)と、ツアー引退のタイミングが目立つ。原に似た事例としては、当時の制度だった単年登録で試合に出た13年に賞金ランキング29位でシード権を獲得した野村敏京が、翌年のシード権を放棄して米ツアーに専念した例がある。
完全に退路を断った、というわけではないが、ずっと目標にしてきたLPGAツアーで戦うためのステップとしてエプソンツアー専念を明確にした原。覚悟を決めた戦いぶりが楽しみだ。
原 英莉花(はら・えりか)
1999年2月15日生まれ、神奈川県出身。2018年プロテスト合格。“黄金世代”の一人として18年から早くもシード獲得し、翌19年には初優勝。20年には「日本女子オープン」「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」と公式戦2冠を達成した。23年はヘルニア手術を乗り越え、「日本女子オープン」を2度目の制覇。25年は下部エプソンツアーから米LPGAツアー昇格を狙う。NIPPON EXPRESSホールディングス所属。
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