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- 「日本を1日でも早く忘れること」 元世界1位の申ジエが米ツアー参戦の日本選手へ送るメッセージとは?
昨年末に「ISPS HANDA オーストラリアオープン」でプロ通算65勝目をマークした申ジエ。彼女がこの先に見据えている目標は何なのか。新たに米ツアーに挑戦する日本選手の現状を韓国のレジェンドはどのように見ているのか。単独インタビューに答えた。
昨年は「一番応援してもらった1年」
昨年末にオーストラリアで開催された「ISPS HANDA オーストラリアオープン」で優勝した申ジエ。昨季は韓国代表としてパリ五輪出場を勝ち取るため、世界ランキング15位以内を目標として米女子ツアーに積極的に出場。最終的に五輪出場はかなわなかったが、主戦場の日本ツアーは16試合の出場ながらメルセデス・ランキング17位でシード権を確保した。
昨年は「優勝がなかった年」に終わるかに思われたが、最後の最後にオーストラリアで勝利し、これでプロ通算65勝目をマーク。36歳になった今も勝ち続けられる高いモチベーションと精神力、プロフェッショナルな姿勢には多くの選手が尊敬の眼差しを送る。そんな彼女がこの先に見据えている目標は何なのか。新たに米ツアーに挑戦する日本選手の現状を韓国のレジェンドはどのように見ているのか。単独インタビューに答えた。

――2024年はパリ五輪出場を狙い積極的に海外ツアーに出場した1年でした。新たな目標に挑戦した年でもありましたね。
昨年は五輪出場こそなりませんでしたが、これまで一番応援していただいた年だったと感じています。結果として出場はかないませんでしたが、それでも決して疲れることもなく充実した1年でした。私が何かに挑戦するということについて、たくさんの方が期待しているのも強く感じました。
――結果についてはどのような捉え方をしていますか?
私が常に考えているのは、結果も重要で悔しい思いもありますが、これで終わったわけではないということです。“崩れ落ちた”というよりも新たな“経験をした”わけです。そこでまた何が必要だったのかを考えますし、これから先のことも考えます。だからこそ、シーズンを最後までベストを尽くしてプレーできたのだと思います。
――コンディションの管理をとても上手にされている印象を受けます。
確かに自分のコンディション管理にはすごく気を付けていました。今は多くの選手の側にサポートや管理をしてくれる専門家がいますし、私もまた同じように周りから助けてもらっていますが、まずは自分のことをしっかりと知ることが大切だと思います。
自分を知ってこそいい「選択」と「判断」ができる
――自分を知るというのは、具体的にどういうことでしょうか?
“自分を知る”ことで、選択や判断が明確になるものです。私の一番の長所と感じるのは、自らについてたくさん研究して、学べることです。寝る環境から食べるものまで、さまざまなルーティンについては、歳を重ねるほど誰かに相談することも少なくなるわけで、すべて自分でやらないといけない。だから自分を知ることが大切なのです。
――以前と比べて練習量は変わらないのでしょうか?
練習量が少なくなることはありません。むしろ練習内容の比率には変化があります。今はたくさん打ち込むよりも自分の体の管理にたくさん時間を費やすようになりましたし、練習もショートゲームにたくさんの比率を割くようになりました。練習時間が短くなることはないですね。
――昨年は上田桃子選手が第一線から退くなど、同世代のベテラン選手たちがツアーから離れています。
ベテランの選手たちがツアーから離れて、後輩たちにその場所を譲るのは自然なことだと思います。私も夢をかなえるチャンスを作り出せる後輩たちが出てくることには大歓迎です。中堅選手がいなくなってもそれは決して悲しいことではなく、世代交代が進んでいるという証拠。むしろ若い選手たちが次々と出てきて、新たなプレーを見せて感動を与えることがゴルフには必要です。現在の後輩たちは、その役割を果たしてくれているので頼もしいですよね。
「日本ツアーのレベルと人気はこれからも続く」
――近年の日本女子ツアーは若手の台頭が著しく、今季の米ツアーには歴代最多の13人の選手が参戦します。
まずは大きな夢を持つようにしてくれた先輩たちがいます。宮里藍さんが米国で結果を残してきたのを皮切りに、若手の中では畑岡奈紗選手が先陣を切って日本を離れました。宮里選手は優勝を重ねて世界ランキング1位にも立ちましたから、そうした選手の背中を見て成長をしたのだと思います。
――数年前までこのような状況になるとは想像もできませんでした。
自ら壁を乗り越えようとぶつかっていき、さらに成長させたいと考えているからでしょう。自分もできるといういい相乗効果が生まれていると思います。これからも日本ツアーは優れた選手が出てくると思いますし、高いツアーレベルや人気は当分の間は続くと思います。
――一方で、韓国ツアーから米ツアーに出ていく選手は少なくなったと聞きます。
そうですね。私も韓国から米ツアーに出て、その後は日本に来ましたが、挑戦しない限りは成長することはできません。そういう部分では私も少しもどかしさがありますし、それは米ツアーでの成績や世界ランキングにも少しずつ現れていると思います。日本選手たちの挑戦へのメンタルは、私も拍手を送りたいです。
――なぜ韓国勢の勢いが少しずつなくなってきているのでしょうか?
韓国ツアーの環境が良くなっていることもあるでしょう。快適であればあるほど体が楽になる一方でメンタルは弱まります。今の韓国ツアーにはそうした雰囲気があると感じます。厳しいトレーニングをしてこそ本番で力が出るし、結果もついてくるのと同じです。少ししんどいことを経験して、どうすれば力を出せるのか。その方法を知ることが大切です。
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