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竹田麗央が“人並み”になれば世界のトップも夢じゃないスタッツとは? “日本にない指標”で炙り出された伸びしろ

2025.03.14 ゴルフのニュース編集部
竹田麗央 米国女子ツアー

米ツアー「ブルーベイLPGA」で優勝した竹田麗央(たけだ・りお)について、米ツアーで5戦を終えたこれまでのデータを紐解いてみると、強みと弱みがはっきりと見えてきた。

それぞれのショットの貢献度が一目瞭然となる「SG」とは?

 ルーキーとして挑んだ2025年米ツアー5戦目の「ブルーベイLPGA」で早くも優勝した竹田麗央。メジャー2勝を含むツアー通算10勝のミンジー・リーに6打差をつけての圧勝は、日本ツアー年間女王の面目躍如といったところだ。大会最終日にはボギーフリーの8バーディーを奪った堂々のプレーぶりを見せた竹田は、新人王争いでも首位を独走している。

ショット力は米ツアーでもトップクラスであることを証明した竹田麗央(写真は昨年) 写真:大澤進二
ショット力は米ツアーでもトップクラスであることを証明した竹田麗央(写真は昨年) 写真:大澤進二

 その竹田について米ツアーでのこれまでのデータを紐解いてみると、強みと弱みがはっきりと見えてくる。ゴルフは「コースとの戦い」「自然との戦い」「自分との戦い」と言われるが、試合では当然、他の選手のスコアと争うことになる。それをデータで分かりやすくしたのが、ストロークスゲインド(SG)という概念だ。

 男女ともに米ツアーではすでに取り入れられている指標だが、女子のLPGAツアーに導入されたのは2021年から。女子の場合は男子PGAツアーの「ショットリンク」(すべてのストロークを詳細にトラッキングするシステム)を導入しているわけではないので正確性でやや劣るが、考え方としては同じ。端的にいえば「ツアーの平均に対して1ラウンドあたり何打上回るか」を表している。これを1ラウンドのプレー全体で見たのが「SGトータル」。基本的には平均スコアがツアー平均と同じなら「0」、ツアー平均より1打少ない選手なら「(+)1」、反対に1打多い選手なら「-1」となる。

 さらにこれを過去のデータを基にしてストロークの分野毎に貢献度を分析したのが「SGオフ・ザ・ティー」(ティーショット)や「SGアプローチ(・ザ・グリーン)」(LPGAの場合、50ヤード以上のグリーンを狙うショットで、日本のゴルフ用語で使う「寄せ」の意味とは異なる)、「SGパッティング」といった指標。トータルで稼いだ打数のうち、どの分野でどれだけ稼いだか、それぞれのショットの貢献度、つまりは“強み”と“弱み”が一目瞭然となっている。

 ざっくりいえば、同じ「SGトータル」が0(ゼロ)の平均的選手でも、「SGティー・トゥ・グリーン」(グリーンに乗せるまでのSGを足し合わせたもの)が1で「SGパッティング」(パットの貢献度)が-1の選手なら、基本的には「ショットでもっている選手」(寄せが抜群にうまい場合もあるが…)であり、それが逆なら「パターでもっている選手」ということになる。

グリーンに乗せるまでの実力は現在のところツアー5位

 さて、ここで5試合での竹田のSGスタッツを見ると、「SGトータル」は+1.20で29位。トップ10に3回入り、うち1回は優勝を遂げていることを考えると意外に感じるが、他の2試合が振るわなかったためだろう。分野別で最も武器になっているのは「SGアプローチ」で、+1.30のツアー9位。対して「SGオフ・ザ・ティー」は+0.51で30位。ドライビングディスタンスも264.57ヤードで32位のため、日本ツアーでの圧倒的な飛距離でコースを制圧するイメージとは違い、米ツアーでは現状、ショットメーカー的な立ち位置になっていることが分かる。

「SGアラウンド・ザ・グリーン」(グリーン周りからの寄せ)も+0.53の17位とまずまずで、昨季のシーズンイン前にショートゲームを見直して日本ツアーでブレークしたことが、今季の米ツアーでも通用しているのかもしれない。

 それらを足し合わせた「SGティー・トゥ・グリーン」は+2.34の5位と、グリーンに乗せるまでの実力はすでに米ツアーでもトップクラスといって差し支えないだろう。

「平均パット数」ではパッティングのうまさは測れない

 ここで思い出してもらいたいのは、竹田の「SGトータル」が+1.20であること。要するに、グリーンに乗せるまでのストロークは1ラウンドあたり2.34打ツアー平均を上回る価値を生み出しているのに、残るパッティングで1打以上“損”をしていることになる。

 実際「SGパッティング」は-1.04でツアー123位。突出して低い。優勝した「ブルーベイLPGA」ではパットがよく入っている印象だったが、5試合の通算ではショットの良さを生かし切れていないことになる。

 この“弱点”はSGという指標があるからこそ炙り出されているともいえる。単純にフィールド全体のレベルが高いから平均に対して劣ってしまう部分もあるだろうが、SGはその分野“単体”でどれだけの価値を生み出せるかを示すため、日本では目立たなかった部分が“見える化”されているのだ。

 日本でパットのうまさの指標として主に用いられている平均パット数(パーオンホール)だと、ショットが良ければ良いほど内側につけられるから、当然、数は少なくなる。そのためパッティングそのもののうまさを測るには不十分といえる。要するに平均5メートルから平均2パットの選手も平均10メートルから平均2パットの選手も平均パット数は同じだが、「SGパッティング」においては、2パットで上がる期待値がより低い場所から決めているわけだから後者のほうが価値は高くなる。つまりパットがうまい選手ということ。

 昨季、日本での竹田の平均パット数(パーオンホール)は1.7519で3位。今季米ツアーでも1.80で69位と、123位に沈んでいる「SGパッティング」よりはかなりましだ。これはとりもなおさず、今まで圧倒的なショット力がパッティングの弱点をいかに覆い隠してきたかということだろう。

 ただし、ウイークポイントは“伸びしろ”と言い換えることもできる。もし、現在ツアー平均に対して「-1」のビハインドとなっている「SGパッティング」を“人並み”である「0」前後にまで向上できれば「SGトータル」は単純計算で2.3を超え、これは昨季通算での同指標1位、2位であり、ともに世界ランキング1位経験者であるジーノ・ティティクル、ネリー・コルダと肩を並べる数値となる。

 現状、アジアシリーズが終わったばかりで欧米トップ選手の参戦が少ないためか全体的に「SGトータル」は高めに出ているが、それでもSG2.3台はトップ10に入ってくる数字だ。いずれにせよ、パッティングを“人並み”にまで引き上げることが世界のトップに近づくために最重要であることは間違いない。

 とはいえ、「ブルーベイLPGA」で手にした新パターがハマって、最終日は「24パット」という驚異的な数字を残した竹田。米本土に戻っての「フォード選手権」(3月27~30日、アリゾナ州)、メジャー初戦の「シェブロン選手権」(4月24~27日、テキサス州)に期待したい。

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