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「上位者に下駄履かせるのやめます」 PGAツアーがさんざん試行錯誤したシーズン王者の決定方式を“普通”に戻す理由とは?
5月26日、PGAツアーのプレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」のフォーマットが今年から変わると発表された。昨年まで行われた、初日からランキングに応じたアドバンテージを持ってスタートする方式は姿を消すことになる。
「視聴率を上げるための策で逆に視聴者離れが起こった」
PGAツアーのプレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」のフォーマットが今年から変わると発表されたのは、5月26日のことだった。

昨年までの過去6年間、ツアー選手権では開幕前までのフェデックスカップ・ランキングに基づいて、ランク1位の選手は10アンダー、2位は8アンダー、3位は7アンダーという具合に、あらかじめストローク差を付けて初日をスタートする「スタッガード・スタート方式」が採用されていた。
しかし、今年からはこの方式が廃止されることが正式決定され、PGAツアーからこんな声明が発信された。
「ツアー選手権は今年の大会からすべての選手がイーブンパーからスタートし、4日間72ホールのストロークプレーで競われる。4日間全ラウンドにおいて、最高のパフォーマンスを披露した選手がフェデックスカップで優勝し、年間王者になる」
全員がイーブンパーからスタートすること、4日間72ホールで競われること、最高のゴルフを披露した選手が優勝すること。
いずれも「当たり前では?」と思われそうな話である。しかし、過去6年間のツアー選手権では、この「当たり前」が行なわれず、いわば当たり前ではないフォーマットの下で年間王者が決められていた。
だが、今年からは「当たり前」に戻されることが決まり、選手たちの多くはこの決定を歓迎している様子である。
アダム・スコットは「スタッガード・スタートは策略的だったよね」と振り返り、マックス・ホマは「やっと、僕らが知ってるゴルフに戻る」と歓喜の声を上げた。
ベテラン選手のブラント・スネデカーいわく、「スタッガード・スタートはテレビ中継の視聴率を上げるための策だったけど、複雑で分かりにくく、逆に視聴者離れが起こった」という皮肉な結果を振り返り、「全員がイーブンパーから始まるゴルフこそが、真の年間王者を決めるにふさわしいフォーマットだ」と、今回の決定を喜んでいる。
すっかり嫌われ、消えゆくことになったスタッガード・スタート方式だが、一体なぜ、そんなシロモノが、大切なプレーオフ最終戦のツアー選手権で採用されていたのか。経緯を振り返ってみよう。
「プレーオフシリーズは馬鹿げている」
PGAツアー選手の強さの指標は、かつては賞金ランキングだった。しかし、2007年からは、獲得賞金額ではなく獲得ポイントをランキング化することになり、フェデックスカップが創設された。
そして、シーズンエンドにはランク上位者のみが出場できるプレーオフシリーズ(創設当初は4試合。近年は3試合)も創設され、その最終戦であるツアー選手権終了後に年間王者が決定されるという仕組みでキックオフした。
初年度の07年に年間王者に輝いたのはタイガー・ウッズだった。当時、ウッズに贈られたボーナスは「夢の10ミリオン(1000万ドル)」と言われ、大きな話題になった。
しかし、09年はフィル・ミケルソンがツアー選手権で優勝したものの、年間王者は再びウッズとなり、2人のチャンピオンが表彰式に並んで立つ珍現象が起こった。
17年大会でもザンダー・シャウフェレ(ツアー選手権優勝)とジャスティン・トーマス(年間王者)の2人がトロフィーを受け取った。
そして、きわめつけは18年大会。栄えある年間王者に輝いたのはジャスティン・ローズだったが、4度の腰の手術などを経て戦線復帰したウッズがツアー選手権を制したことで、ウッズのミラクル優勝ばかりに注目が集まり、年間王者の威光はすっかり陰ってしまった。
この事態を重く見たPGAツアーは、「このままではいけない、フェデックスカップ最終戦は年間王者が主役になる仕掛けにしなければ」と検討を始めた。
そして考案・導入されたのが、スタッガード・スタート方式だった。この方式であれば、ツアー選手権の優勝者が自動的に年間王者になり、「表彰式に立つのは一人だけに絞られて、すべての注目を浴びる」というのが、当時のPGAツアーからの打ち出しだった。
その通り、19年はローリー・マキロイ、20年はダスティン・ジョンソン、21年はパトリック・カントレー、22年は再びマキロイ、23年はビクトル・ホブランが、ツアー選手権で勝利を挙げて年間王者になった。
しかし、昨年のプレーオフ第1戦の「フェデックス・セントジュード選手権」の開幕前、スコッティ・シェフラーは、こんな発言をした。
「プレーオフシリーズは馬鹿げている。シーズンを通じたベストプレーヤーを選び出すレースにはなりえない。たとえば、今ランク1位の僕が最終戦のツアー選手権で故障して途中棄権したら、僕は一気にランク30位に転落してしまう」
世界ランキング1位のシェフラーの指摘であれば、PGAツアーも無視することはできない。結果的に昨年のシェフラーは、「馬鹿げている」と言い放ったプレーオフシリーズの最終戦を彼自身が制して年間王者になったが、それでもなおシェフラーは「ツアー選手権の見直し論」を口にし続けていた。
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