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リブゴルフ選手が欧州ツアーに出るために支払われた罰金は累計26億円! サウジマネーによる肩代わり打ち切り観測にラーム激怒

2025.07.30 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
ジョン・ラーム スコッティ・シェフラー リブゴルフ(LIV Golf) 砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

今年のメジャーは全日程を終えたが、優勝者リストの中にリブゴルフ選手の名前は一つもなく、優勝者リストより範囲を広げて優勝争い全体を振り返ってみても、リブゴルフ選手の印象はきわめて薄いものだった。ここにきて、かつてのビッグネームたちのプレゼンスが急降下してきている。

メジャーでの成績が年々下降するリブのビッグネームたち

 今年のメジャー4大会はすべて終了し、PGAツアーはシーズン終盤へ向かいつつある。

 今年のメジャー大会を振り返ってみると、マスターズではローリー・マキロイが悲願の初制覇を遂げて、キャリアグランドスラムを達成し、世界のゴルフ界を大いに沸かせた。

 全米プロではスコッティ・シェフラーが圧勝し、全米オープンではJ.J.スポーンがミラクルパットの連続でメジャー初制覇。全英オープンでは再びシェフラーが勝利して、世界ランキング1位の強さを見せつけた。

全英オープンでは34位タイに終わったジョン・ラーム 写真:Getty Images
全英オープンでは34位タイに終わったジョン・ラーム 写真:Getty Images

 今年のメジャー優勝者リストの中にリブゴルフ選手の名前は一つもなく、優勝者リストより範囲を広げて優勝争い全体を振り返ってみても、リブゴルフ選手の印象はきわめて薄いものだった。

 かつてはメジャー大会にめっぽう強い「メジャー男」と呼ばれて、世界ランキング1位に座したこともあったブルックス・ケプカは、リブゴルフに移籍した翌年の2023年こそ全米プロで勝利を挙げて相変わらずの強さを示したが、その後はメジャー大会での成績が徐々に下降。

 今季は全米オープンだけは4日間を戦うことができたが、他の3大会はすべて予選落ちとなり、10ラウンド中7ラウンドで74以上を叩く情けない結果に終わった。

 やはり世界ランキング1位に上り詰めたことがあったダスティン・ジョンソンも、今季はメジャー4大会中3大会で予選落ちとなり、プレーできた合計10ラウンドの平均スコアは75.2という驚きの数字になった。

 23年12月末にリブゴルフへ移籍したジョン・ラームは、ケプカやDJに比べれば、「リブゴルフ歴」が浅いため、世界ランキングの下降の度合いは、まだ彼らほどではなく、現在も66位前後を維持している。

 だが、今季のメジャー4大会では、優勝どころかトップ3入り、トップ5入りもできない結果に終わった。

 リブゴルフ選手の中で唯一、今季もメジャー優勝しそうな雰囲気を保っていたのは、20年と24年の全米オープンを制したブライソン・デシャンボーだけだったと言っても過言ではない。デシャンボー以外の選手の大半は、まるで牙を抜かれたかのように、すっかり弱体化しつつある。

 そんな状態になっても、リブゴルフ選手はこれからもリブゴルフで戦い続けるのだろうかと、ふと考えた。

 サウジアラビアの潤沢なオイルマネーが流れ込んでくる限り、リブゴルフというツアー組織自体の経済的基盤が揺らぐことはなく、その意味では今後も安泰だと思われる。

 しかし、せっかく米FOXスポーツとのTV放映権契約締結に成功したものの、視聴率は伸び悩んでいる。

 米ゴルフドットコムの調べによると、25年にPGAツアーの大会とリブゴルフの大会が同週開催された際の視聴者総数は、PGAツアーが310万人を記録したのに対し、リブゴルフはわずか17万5000人にとどまったそうだ。

 リブゴルフのTV中継は、なぜ人気がないのか。理由は一つではないだろうが、最大の理由はPGAツアーのトラディショナルな大会を観戦することに慣れている大半のゴルフファンが、リブゴルフ観戦に違和感を覚えるからではないだろうか。

 にぎやかな音楽、噴水や花火の派手な演出は、現地で直に触れていれば、お祭り気分で楽しいのかもしれないが、TV画面を通じて視聴者にその楽しさを訴求するのは難しい。

 ショットガンスタートや予選カットなしの3日間54ホールという形式も、予選通過した上で4日間72ホールを戦う伝統的なゴルフの在り方とは異なりすぎて、ピンと来ないのではないだろうか。

 そして、視聴者やファンは「ピンと来ないからTV中継は見ない」と切り捨てることもできるが、リブゴルフへ移籍した選手たちは、たとえ違和感を感じているとしても、定められたフォーマットに従わざるを得ない。

 とはいえ、すでに莫大な移籍料を受け取っているのだから、成績が多少落ちようとも、お金の心配はゼロである。調子が多少悪くなっても、予選落ちを心配する必要もない。そんな環境に身を置くことで、モチベーションや戦意、勝利への渇望が低下していくことは、そもそも予想されていた。

 そうした「低下現象」は、リブゴルフへ移籍した直後は、まだあまり見られず、メジャー大会でも五輪でもリブゴルフ選手の活躍を目にすることができた。しかし、24年、25年と歳月が流れていく中で、「低下現象」は年々顕著になっている。

 そんな中、「ケプカはPGAツアーに戻りたがっている」という噂もある。現状では、リブゴルフ選手のPGAツアーのメンバーシップは停止されたままで、PGAツアーが彼らの復帰を認める様子は見られない。

 だが、仮にPGAツアーが態度を軟化させて、リブゴルフ選手のカムバックを許可したとしても、抜かれてしまったケプカの牙が、以前のような鋭い牙に戻るとは限らない。

 DJ然り。ラーム然り。今では、彼らの往年の輝きが懐かしく感じられる。

「みんなが一緒の状態に戻す責任は彼らにある」

 リブゴルフ選手がこれからもリブゴルフ選手であり続けるのだろうかと考えていたら、今度は、こんな「もしも」が頭に浮かんだ。

 もしもリブゴルフが創設されておらず、ケプカやDJ、ラームらがPGAツアーで戦い続けていたら、現在のゴルフ界はどうなっていたのだろうか。シェフラーは世界ランキング1位になっていたのだろうか。

 PGAツアーデビューからわずか4年足らずでキャリアグランドスラム達成に「あと一つ」と迫ったシェフラーの超スピード出世は、もしもリブゴルフができていなかったら、ケプカやDJ、ラームらによって阻止されていたのではないか。

 そんな疑問を、米メディアはシェフラー本人にダイレクトにぶつけるところが素晴らしい。そして、問われたシェフラーの返答は、実に正直だった。

「そんな『もしも』の話の結末を尋ねられたところで、答えは僕にも誰にもわからない。僕がリブゴルフ選手と同じ土俵で戦うのは年に4回だけしかないし、リブゴルフへ移籍したのは彼らの選択であって、僕のチョイスではない。僕は以前も今も、ずっとPGAツアーで戦っているというだけのこと。リブゴルフ選手がどうなっていたか、どうなるかは、彼らに聞いてくれ」

 ごもっともの返答だったが、シェフラーはその後に、こんな言葉を続けた。

「みんなが一緒にプレーしていたツアーが、かつては存在していた。でも、彼らがそこから去った。みんなが一緒の状態に戻す責任は彼らにある。PGAツアーはリブゴルフ選手たちに『戻ってきてほしい』とも『戻っていいよ』とも言うべきではない」

 シェフラーが怒りを交えたトーンでリブゴルフ絡みの事柄を語るのは、きわめて珍しいことだった。

ラームの代理人は「ジョンは罰金を払うつもりはない」
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