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- 堀琴音が9年前の悔しさ胸に悲願のメジャーV! スランプ、シード喪失も乗り越え、夫やコーチへの感謝とともに雪辱達成
9年前に当時アマチュアの畑岡奈紗(はたおか・なさ)に敗れた大会で、堀琴音(ほり・ことね)が悲願のメジャー初優勝。スランプやシード喪失を乗り越え、努力と支えを力に“忘れ物”を取り返した。
「あの時は惜しかったね」と言われ続け
◆国内女子プロゴルフ メジャー第3戦
日本女子オープンゴルフ選手権 10月2~5日 チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県) 6616ヤード・パー72
「9年前に負けたときから、ずっとこの大会で勝ちたかった。9年前の忘れ物を取ることができました」
2016年大会で畑岡奈紗に逆転を許し、1打差で涙をのんだ堀琴音が、ついに9年越しの雪辱を果たした。

最終日最終組。単独首位でスタートすると、安定したショットとパットで淡々と試合を組み立てた。
「勝ちたい気持ちが強かったからか、前日はあまり寝られなかった。朝起きてもお腹がすいていなかったんです」
そう振り返るように、前半は2バーディー、1ボギーと伸び悩んだが、後半に入ると10番で3メートル、11番パー3で4メートルのバーディパットを沈め連続バーディー。16番でも5メートルをねじ込み、後続を突き放した。
通算19アンダーで迎えた最終18番。ウィニングパットを沈めた瞬間、両手を突き上げ、満面の笑みでギャラリーの歓声に応えた。ツアー通算3勝目を、悲願のメジャー制覇で飾った。
「9年前に負けてから、心残りを抱えながらずっとプレーしてきました。当時はまだ20歳。あの時から世の中に私の名前を知ってくださる方が増えてうれしかったけれど、『惜しかったね』とよく言われて…。そのたびに苦しくなっていました」
その思いを表に出すこともなく、心の奥にしまい込んでいた。やがてスランプに陥り、2018年にはシードを喪失。翌19年はどん底の日々を過ごした。そんな時に出会ったのが森守洋コーチだった。
「本当に大きな存在です。紹介してくれた原江里菜さんもそう。当時は森さんの言っていることがよく分からなかったけれど、森さんや原さんといると活気があふれて、すごくポジティブになれる。『自分はそんなに悪くないかも』って思えるようになりました」
山あり谷ありのゴルフ人生

技術面では、持ち球をドローからフェードへと変更。「2年間は森さんの助言を無視していました(笑)」と冗談めかしつつも、開幕戦でフェードを武器に予選を通過したことで「これを極めよう」と決心した。
“フェードの先生”と慕う有村智恵からも多くの助言を受け、「森さんがいなければメジャーは取れていないし、3勝もできていない」と最大限の感謝を伝えた。
その努力が実を結び、2021年にツアー初優勝。翌22年には2勝目を挙げ、完全復活を印象づけた。しかし、23年は思うように結果が出ず、メルセデス・ランキング51位でシード権を逃した。
「山あり谷ありのゴルフ人生です」と苦笑いするが、その悔しさをバネに、シーズン中盤からは思い切って長尺パターを投入。小さな変化を積み重ねながら、再び頂点を見据えてきた。
夫の存在「心強い」

昨年のクリスマスには、同い年の高坂佳祐さんと結婚。最終日、東京から新幹線で駆け付けた夫の姿を見つけたのは、ホールアウト後に抱き合ったときだった。
「優勝したときは一緒に写真を撮りたいって言われていました。結婚してから成績が落ちたなんて言われたくなかったし、だからこそ勝ちたかった」
妻らしいことはまだあまりできていないと笑うが、「私は普通の職業じゃないし、日曜日にいない。それでも理解して支えてくれて、本当にありがたい存在。心強いです」とのろけた。
「やっぱり他のメジャーでも勝ちたい。次は最終戦のリコーカップに出られるようになったので、優勝を目指したいです」と、早くも次の目標を見据える。
そして最後に、9年前の自分へ――。
「あの時は泣いていたけれど、まだ勝ってはいけないって神様が言ったんだと思う。泣いていたなら、もっとしっかり練習しなさいって伝えたいです」
9年前に流した涙は、今日の勝利の伏線だった。
積み重ねた苦悩も、支えてくれた人たちへの感謝も――すべてがひとつの笑顔に結実した瞬間だった。
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