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「始動がスムーズになる」「こすり球が減る」 堀琴音流フォワードプレスで“形状記憶インパクト”を身につける
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、国内女子メジャー第3戦「日本女子オープン」で優勝した堀琴音(ほり・ことね)です。
スイング始動の直前のフォワードプレスのメリット
今年の「日本女子オープン」を制したのは堀琴音選手でした。単独首位でスタートした最終日は5バーディー、1ボギーの「68」。後続に2打差をつける通算19アンダ―で国内メジャー初制覇を飾りました。
ツアー3勝目を挙げた堀選手は、特徴的なルーティンやパッティングスタイルでプレーしていることでも知られています。長尺を使用しているパターでは、打つ瞬間にボールを見ない“ノールックパット”が有名です。またショットのルーティンでは、トップの形をつくってダウンスイングでの体やヘッドの動きを大げさな動作の中で確認してからアドレスに入ります。これらの姿は中継にもたびたび映し出されていました。
そんな堀選手がスイング始動の直前に取り入れているのがフォワードプレスです。アドレスした後、目標方向に手元や体を動かして始動するこの動作は、堀選手だけでなく多くの選手が採用しています。一般ゴルファーの皆さんの中にも、フォワードプレスを入れている人は多いのではないでしょうか。

よく知られているフォワードプレスのメリットは、スイングを始動しやすくなること。ピタリと止まったアドレスの状態からバックスイングをすると、動き出すタイミングがつかめずに腕と体の動きがバラバラになってしまうことがあります。フォワードプレスを入れることでスムーズにスイングをスタートできるわけです。
フォワードプレスには、メリットがもうひとつあります。それはインパクトを“形状記憶”できることです。
堀選手がこの動作を採用しているのは、もちろんスムーズに始動するという理由もありますが、インパクトを形状記憶するという意味合いが大きいようです。
堀選手のスイングコーチである森守洋コーチに聞いてみると、「彼女は手先でのクラブ操作を嫌うタイプ。体で打っていくタイプです。フォワードプレスは、体でボールに当てにいくんだという意識の表れですね」とのことでした。
堀選手のフォワードプレスをじっくり見てみると、手元を低い位置に押し込んで目標方向に出しながら、骨盤や胸板もわずかに目標方向に回してから始動しています。「この形でインパクトする」とイメージしてからスイングに入っているのです。
手元で抑え込むようにインパクトの形をつくる
堀選手は手元が高いアップライトなトップをつくる特徴的なスイングの持ち主ですが、インパクトは非常にフラット。高い位置から手元を低く下ろしてインパクトを迎え、フォローではインサイドに振り抜いてコントロールの効いたフェードボールを打っています。手元を抑えたインパクトは、堀選手の精度の高いフェードボールを打つのには不可欠な要素といえます。
例えば、ダウンスイングで体が起き上がってしまう人、手元が浮いてしまう人、お尻が前に出てしまう人、擦り球で悩んでいる人などは、堀選手のフォワードプレスを参考にしてみるといいでしょう。
ポイントは、骨盤や胸板を回し、手元で抑え込むようにインパクトの形つくること。“形状記憶”した後にスイングを始めると剛性が高いインパクトができるようになるはずです。
堀 琴音(ほり・ことね)
1996年生まれ、徳島県出身。2014年のプロテストに合格し、同年の下部ツアーでプロ初勝利。一時はシードを手放す不振に陥ったが、21年「ニッポンハムレディスクラシック」でツアー初勝利。翌22年は「Tポイント×ENEOS」で2勝目を挙げた。今シーズンは「KKT杯バンテリンレディス」4位タイ、「CAT Ladies」9位タイなどでトップ10フィニッシュを飾り、10月の「日本女子オープン」で国内メジャー初制覇を達成した。姉は女子プロゴルファーの堀奈津佳。ダイセル所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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