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26年開幕戦中止 “本当の理由”は賞金30億円をスポンサーが出し渋ったから!? PGAツアーの“ビッグマネー”だけでない価値は今
新CEOとしてアメフトのNFL出身であるブライアン・ローラップ氏が就任し、今まさに変革期が訪れているPGAツアー。一方で、ここ数年、台頭するリブゴルフへの対抗手段として行ってきたさまざまな施策が歪みとして表れているようだ。
今季PGAツアーで勝利を挙げた2選手が来季からリブゴルフに
「今季のPGAツアーで勝利を挙げたチャンピオン2名が、来季からの主戦場をリブゴルフに変えようとしている」という噂が米ゴルフ界で広がっている。
リブゴルフが創設されて以来、PGAツアー選手がリブゴルフへ移籍する動きは創設当初ほど著しいものではなくなっているものの、依然として続いている。リブゴルフが存在する限り、移籍が皆無になることは、おそらくない。
そんな中、PGAツアーができることは、さまざまな面を向上させて、PGAツアーの方がリブゴルフより魅力ある場所であることを選手たちに認識してもらうこと。そう思ってもらえるよう、工夫と努力を続けることだ。
そのための牽引役としてPGAツアーの新CEOに就任したブライアン・ローラップ氏は、長年、NFLでメディアビジネスを手掛けてきたエキスパートだ。

先日は、今年いっぱいで退職するPGAツアーのエグゼクティブ2名と入れ替わる形で、NFLのエグゼクティブ2名をPGAツアーに呼び寄せることを発表した。
その途端、「ローラップCEOに任せていると、PGAツアーはNFL化されてしまう」といった懸念の声も一部からは上がったが、ゴルフとアメフトは内容も競技形式もまったく異なるものなのであり、NFL化しようとしても、NFL化しようがないだろう。
逆に、NFLには熱狂的な人気を創出できる秘策があって、それをPGAツアーに採り入れることができるのだとしたら、そういうNFL化はウエルカムである。
ローラップCEOはそうやって新たな動きを見せる一方で、2016年以来、PGAツアーとは疎遠になっていたフロリダ州マイアミのトランプナショナル・ドラールを、来季からはPGAツアーの大会の舞台に戻すことを決め、ドラールで新規大会「マイアミ選手権 at ドラール」をシグネチャーイベントとして開催することも、すぐさま決定。決断と対応、実行に移すスピードの速さは、さすがPGAツアーだと感心させられた。
かつてドラールでは「WGC-キャデラック選手権」が開催されていた。ドラールで繰り広げられていた賑やかで熱い光景は、「これぞPGAツアーという雰囲気だ」と言われ、大勢のファンから愛されていた。
しかし、ドラールの所有者となったドナルド・トランプ氏の言動が世界のゴルフ界で取り沙汰された16年、タイトルスポンサーだったキャデラックが契約を更新しなかったことなども原因となって、PGAツアーはドラールと距離を置く形になった。
しかし、来年からは、そのドラールが再びPGAツアーの戦いの舞台に戻り、米メディアによると、キャデラックもスポンサーに返り咲く公算が大きいとのこと。
NFLから新たにエグゼクティブを起用する一方で、昔ながらの戦いの舞台とスポンサーを再登場させるなど、新旧さまざまなものを織り交ぜることで、PGAツアーは「PGAツアーらしさ」を確立しようと模索している。
「ザ・セントリー」の中止は表向き開催地が決まらないからだが…
ドラールで開催される新規大会「マイアミ選手権 at ドラール」が加わったことで、来季のシグネチャーイベントは、今年より1つ増えて、年間9試合となるはずだった。
しかし、シーズン開幕戦の「ザ・セントリー」の舞台であるカパルアがマウイ島の水不足による芝枯れに見舞われ、来年早々の開催が困難となった。
PGAツアーは別のコースを探す方針を示していたが、この時期になっても代替コースは見つからず、年末年始の物流事情も考慮すると、大会そのものの開催を見送らざるを得ないということで、PGAツアーからは26年大会の中止が10月22日に正式発表された。そのため、来季のシグネチャーイベントは今年同様、年間8試合となった。
だが、日ごろは悪天候などによる試合の遅延があっても、何がなんでも試合を完結させようという姿勢を貫いているPGAツアーにしては、今回は妙にあっさり中止を決めたように感じられてならない。
そんな折、米スポーツイラストレイテッドからは、タイトルスポンサーのセントリーがシグネチャーイベントの謳い文句にもなっている「賞金総額2000万ドル」(約30億円)に同意しておらず、契約書にサインをしていないという事情が背景にあるのではないかと見る記事が発信された。
シグネチャーイベントは、PGAツアー選手がリブゴルフへ移籍する動きを阻止する目的で、トッププレーヤーにさらなる高額賞金を授ける大会として創設されたものだ。
その意図は理解できるとしても、ビッグマネーばかりに目を向け、ビッグマネーばかりに左右される状況になってしまったら、「PGAツアーはリブゴルフ化してしまう」と懸念する声もある。
ここでも、PGAツアーらしさとは何か、その「らしさ」をどう維持するか、PGAツアーのアイデンティティーが問われていると言えそうである。
近年著しい観戦マナーの低下
PGAツアーを運営・維持していく上で、内部組織や人事、選手の戦う場や収入源の確保は、もちろん重要な事柄だが、詰まるところ、最も重要なのは「ファンあってのPGAツアー」であり続けることができるかどうかである。
9月に開催された米欧対抗戦の「ライダーカップ」の際に、欧州チームのローリー・マキロイの妻が開催地ニューヨークの観客からビールをかけられるという、あってはならない出来事があった。
それを受けて、先日はオーガスタナショナルとR&Aの双方のトップから、マナーやエチケットを守ってゴルフ観戦してほしいという呼びかけがなされた。
どちらの呼びかけも、ゴルフの伝統を重んじ、品位ある応援を願うといった内容だったが、マナーやエチケットを重んじるゴルフの世界において、わざわざ、そんな呼びかけが行なわれたこと自体、きわめて異例である。
近年、米欧のゴルフ観戦は、興奮や熱狂を超えて、コントロール不能な「盛り上がりすぎの状態」に近づくことが、しばしばある。
そうなった背景には、派手な音楽や演出の中で試合が行われるリブゴルフの影響は否めないと私は思う。
さらに言えば、リアルゴルフとバーチャルゴルフの融合体として創設されたTGLのスタジアム型の会場における観戦ムードの影響も、少なからず受けているのではないかとも思う。
年間に最も多くの試合を開催するPGAツアーは、こういうときこそ、ゴルフ観戦の在り方を率先して訴えかけるなどして、ゴルフ界のリーダーとしての姿勢や役割を発揮していただきたい。
「さすがPGAツアーだ」「これぞPGAツアーだ」と人々を唸らせ、「だからPGAツアーが好き」「だからPGAツアーを選ぶ」と選手たちから思われるような、素晴らしい「PGAツアーらしさ」を披露してほしいと、心の底から願っている。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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