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マキロイはなぜ“ウッズの大会”ではなく“豪州OP”に出場したのか? グランドスラムの次に達成したい“リスト”とは

2025.12.10 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
DPワールド(欧州男子)ツアー ローリー・マキロイ 砂場Talk(バンカートーク)

松山英樹が2度目の大会制覇を成し遂げた“タイガー・ウッズの大会”ヒーロー・ワールドチャレンジ。スコッティ・シェフラーら世界のトップ選手が集うなか、ローリー・マキロイの姿はそこになかった。華々しい舞台をスキップして、マキロイがオーストラリアオープンに出場したのはなぜなのか?

「これから目指すものがあるとすれば、この3つを達成することだ」

 先週、バハマのアルバニーGCで開催された“タイガー・ウッズの大会”である「ヒーロー・ワールドチャレンジ」には、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーを筆頭にPGAツアーのトッププレーヤー20名が集結。そして、2016年大会覇者で日本のエース、松山英樹が見事、大会2勝目を挙げた。

 しかし、そこに世界ランキング2位のローリー・マキロイの姿は見られなかった。なぜなら、彼はオーストラリアのロイヤルメルボルンで開催されたDPワールドツアーの大会、「クラウン・オーストラリアオープン」に出場していたからだ。

 なぜ、マキロイは「ウッズの大会」ではなく、南半球のオーストラリアまで足を延ばしたのだろうかと不思議に思われるかもしれないが、オーストラリアオープンはマキロイが「どうしても出たい、勝ちたい」と痛切に願っている大会なのだという。

「世界のゴルフ界には、最も歴史があり、最もプレステージが高い大会がいくつかある。セントアンドリュースで開催される全英オープン、ペブルビーチで開催される全米オープン、そしてロイヤルメルボルンで開催されるオーストラリアオープンがそれに当たる。これらの大会で、僕はどうしても勝ちたいんだ」

熱望したタイトルの獲得とはならなかったが、どこか晴れやかな表情に見えたローリー・マキロイ 写真:Getty Images
熱望したタイトルの獲得とはならなかったが、どこか晴れやかな表情に見えたローリー・マキロイ 写真:Getty Images

 今年4月に悲願のマスターズ初制覇とキャリアグランドスラムを達成したマキロイは、その直後に「これから成し得るものは、僕にとってはすべてボーナスだ」と言った。

 しかし、それからほどなくして彼は「これから目指すものがあるとすれば、この3つを達成することだ」と語ったのだ。

 マキロイは、ロイヤルリバプールが舞台となった2014年の全英オープンで勝利を挙げた全英オープン覇者だが、ゴルフの聖地セントアンドリュースでクラレットジャグを掲げることは、これから目指すことの一つだという。

 今年2月には、彼はペブルビーチで勝利したが、その大会はPGAツアーの「AT&Tペブルビーチプロアマ」であり、「ペブルビーチで開かれる全米オープンで、どうしても勝ちたいんだ」と語った。

 ちなみに27年は全米オープンがペブルビーチで、全英オープンがセントアンドリュースで開催される予定ゆえ、マキロイのこれら2つの望みは、もしかしたら再来年にかなうかもしれない。

 しかし、ロイヤルメルボルンで開催されるオーストラリアオープンで優勝することは、今年を逃したら次のチャンスは一体いつ到来するのか。その予想すら難しい。

 だからこそ、マキロイは今年のオーストラリアオープンに出場しようと早くから心に決めていた。

「オーストラリアオープンは光り輝く大会として開催されるべきだ」

 マキロイが全英オープンや全米オープンといったメジャー大会、あるいはセントアンドリュースやぺブルビーチといった名コースにこだわることは、「なるほど」とうなずけるとしても、彼がなぜオーストラリアオープンやロイヤルメルボルンにそれほどこだわるのかは、やっぱり不思議に感じられ、その背景を探ってみた。

 オーストラリアオープンは、1904年に創設され、実に121年の歴史を誇る大会であり、マキロイが言った「最も歴史があり、最もプレステージが高い大会」の一つと見ることができる。

 しかし、その長い長い歴史を潜り抜けてきた同大会は、その間、戦いの舞台を頻繁に変え、タイトルスポンサーも次々に変わり、紆余曲折を経ながら、なんとか生き残ってきたと言っていい。

 ロイヤルメルボルンは1905年の第2回大会の舞台になり、以来、大会のホストコースとなったのは今年が17回目だが、最後にこの地で開催されたのは1991年のことだった。

 つまり、ロイヤルメルボルンで開催されるオーストラリアオープンにマキロイが巡り合ったこと自体、今回がキャリアで初めてで、いわば千載一遇のチャンスだったということになる。

 残念ながら優勝争いには絡めず、14位タイで終わったが、マキロイの意気込みは想像以上だった。

 会場にはマスターズで手に入れたグリーンジャケットを持参し、大会に対して最大限の礼を尽くした。

 2日目には木の下からショットしようとして、驚くなかれ、見事な空振りを披露。「空振りしたのは、いつ以来のことかも思い出せない」と苦笑した。

 3日目には、ティーショットを曲げてラフに入ったと思ったら、ボールはギャラリーが投げ捨てたと思われるバナナの皮の下へ。皮を取り除くことはできるが、その際にボールが動いたら罰打となるため、マキロイは果敢にバナナの皮ごとショット。大観衆はその珍場面を大喜びでスマホ撮影していた。

 マキロイが出場したことで、メルボルンのゴルフファンが大挙して詰めかけ、大会が大いに盛り上がったことは言うまでもない。

「僕は、グレッグ・ノーマンやジャック・ニクラス、トム・ワトソン、ゲーリー・プレーヤーがロイヤルメルボルンで勝利を挙げた70年代、80年代のオーストラリアオープンの輝きを、もう一度取り戻したい」

 ちなみに、プレーヤーが勝利したのは1963年大会、ワトソンは84年、ノーマンは85年と87年。いずれもロイヤルメルボルンでストーンヘブンと呼ばれるトロフィーを掲げ、世界のゴルフファンを魅了した。

 さらにマキロイは、世界のゴルフ界を見渡しながら、こうも語った。

「今週はバハマでヒーロー・ワールドチャレンジ、南アでネッドバンク・ゴルフチャレンジ、そしてオーストラリアではこの大会という具合に、世界で3つの大会が開催されて、ゴルフファンの興味関心が分散されていた。でも、歴史と伝統を誇るオーストラリアオープンは、抜きんでて光り輝く大会として開催されるべきだと僕は思う」

 折しも今年、R&Aとオーガスタナショナルは世界の6つのナショナルオープンの優勝者をマスターズと全英オープンに招待することを決め、高らかに発表した。

 その6つのナショナルオープンにはオーストラリアオープンも含まれている。「もっとオーストラリアオープンを盛り上げたい、輝きを取り戻したい」というマキロイの願いは、R&Aやオーガスタナショナルの方針とも合致していると言うことができる。

「DPワールドツアーやPGAツアーは昔より重みがなくなってきている」
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