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プロゴルフ界の“ジェンダー格差”は撤廃できるか? 世界のツアーで相次ぐトップ交代で26年は“男女コラボ”進む!?
2025年は世界のメジャーなプロゴルフ団体でトップの交代が相次いだ。それと軌を一にするかのごとく、男女ツアーの垣根を取り払う動きが加速している。プロゴルフ界の“ジェンダー格差”は撤廃できるのだろうか。
PGAツアーもリブゴルフもLPGAもLETも
世界のゴルフ界の昨年は、プロゴルフツアーのリーダーたちが次々に交代し、装い新たに動き始めた「スタートの年」になった。
ジェイ・モナハン会長が率いてきたPGAツアーでは、初めてCEO職が設けられ、NFLでメディアビジネスを長年担当してきたブライアン・ローラップ氏が初代CEOに就任。新たな舵取り役を担い始めた。
リブゴルフの原型を考案し、創設へと奔走して初代CEOを務めてきたのは、元PGAツアーのスター選手でゴルフ界のレジェンドの一人でもあるグレッグ・ノーマン氏だった。だが、ノーマン氏は4年間の契約が満了した昨年9月にCEO職から離れ、敏腕ビジネスマンのスコット・オニール氏がリブゴルフのリーダー役を引き継いだ。

さらに、女子ゴルフの世界でもトップの交替が見られた。米LPGAの会長として、さまざまな施策を行なってきたモリー・マクー・サマーン会長は、5年間の任期が満了する2026年夏を待たずして、24年12月に突然の辞意を表明した。
サマーン会長は、女性の会長としては初代のキャロリン・ビーベンス会長に続く2人目として注目されており、大きな期待に応えるかのように、米LPGAの賞金アップに尽力。しっかり成果を挙げていた。
しかし、ジェンダーに関する方針やサウジアラビアのゴルフ振興団体との交渉などに対しては「判断も対応もスローすぎる」などと批判されたこともあり、リーダーシップを問う厳しい声も上がっていた。
サマーン会長自身は「子どもたちや家族と過ごす時間を大切にしたい」という“家庭の事情”を理由に挙げて辞意を表明。そして、25年5月にクレッグ・ケセラー氏が新会長に就任した。
暦が26年に変わると、今度は欧州女子ツアーのLETでもCEOが交替することが分かった。
アレクサンドラ・アルマス会長は、05年から12年に1期目、20年から現在までは2期目を務めており、年間試合数を30試合以上に増やし、賞金もアップさせるなどLETの体制強化に尽力してきた。
しかし、アルマス会長は間もなくCEOの職から離れ、DPワールドツアー・ミドルイーストのディレクターを務めていたトム・フィリップス氏にバトンタッチするという。
フィリップス新CEOが男子のDPワールドツアー時代に得た経験や知識を生かして女子のLETを率いていけば、欧州のプロゴルフ界は男子ツアー、女子ツアーという枠を取り払い、男女両ツアーがコラボレーションを図りながら共存共栄を目指せるのではないかと早くも期待されている。
22年には欧州男子で初の女子チャンピオンが誕生
世界のゴルフ界では、男女の体格差や筋力差によるパワーの差、飛距離の差、あるいは技術の差などにより、長年、男子ゴルフと女子ゴルフは“別世界”“別次元”のように思われてきた。
それは、男女差別ということではなく、あくまでも肉体的な違いによって生じる“ゴルフの差”が、そうさせてきたのだと思われる。
しかし近年は、クラブの進化はもちろんのこと、食事やトレーニングに関する研究や知識、方法などが様変わりしているおかげもあって、そうした男女間の差が以前より小さくなりつつある。
そして、ゴルフファンの間でも、男子選手の間でも、女子ゴルフに対するリスペクトは以前より格段に高まっており、「男女で一緒にやろう」という気運も高まりつつある。
米国のプロゴルフ界における男女混合戦は、1999年の「JCペニー・クラシック」を最後に姿を消していたが、2023年にPGAツアーと米LPGAが手を取り合い、男女混合チーム戦として「グラントソーントン招待」が初開催されると、「こういう大会を待っていた」という声が多数聞かれるようになった。
欧ゴルフ界に目をやると、DPワールドツアーでは18年には「ゴルフシックス」、19年からは「ISPS HANDA Vic Open inオーストラリア」などが男女混合で開催されていたが、それらは男子選手が主体の中に女子選手が混ざる形だった。
DPワールドツアーと米LPGAがコラボし、男女選手の人数がどちらも78人という“半々”“対等”の状態で初めて開催されたのは、21年に創設された「ボルボカー・スカンジナビアン・ミックス」という大会だった。同大会では、22年に米LPGA選手のリン・グラントが男子選手を抑えて勝利し、DPワールドツアー史上初の女子チャンピオンが誕生した。グラントは24年に11打差をひっくり返す大逆転で同大会2勝目を飾っている。
欧州では、DPワールドツアーの下部ツアーにあたるホテルプランナーツアーと欧州女子ツアーのLET、それに米LPGAが共催する男女混合戦も2021年に開催された。
LETでは、サウジアラビアのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の視線を受けて、アラムコシリーズが開催されているが、今年はそのうちの1試合である「アラムコ選手権」が米LPGAの大会として米国内で初開催されるなど、米国と欧州の女子ツアーは、ともに手を取り合っている。
その流れを受けて、LETやDPワールドツアーで盛んに行われてきている男女混合戦が、今後、米LPGAでも積極的に開催される可能性は大いにある。
そうした経緯や選手たちの声が反映され、28年のロサンゼルス五輪からはゴルフの男女混合戦が初開催されることが、すでにIOC(国際オリンピック委員会)によって承認されている。
日本でも男女混合戦を開催しては?
26年の年明けには、こんなニュースも飛び込んできた。
“リアルゴルフとバーチャルゴルフの融合”“新時代のゴルフ”と銘打たれ、タイガー・ウッズやローリー・マキロイらが立ち上げたTMRW(トゥモロー)スポーツが主催する「TGL」は、25年に初シーズンを終え、現在は2シーズン目が進行中だが、来季からは、女子バージョンの「WTGL」が誕生することが、主催者のTMRWスポーツから発表された。
TGLとWTGLが、男女別々にマッチを行なうのか、それとも男女がお互いに対戦するのか。そのあたりの詳細は、まだ発表されてはいないが、“新時代のゴルフ”に女子が加わる“新・新時代”がこんなにも早く訪れようとしていることは、ゴルフ界の男女間の壁や枠がどんどん取り払われ、男女ゴルフがお互いにコラボしながら共存共栄を目指す動きが世界中で広がり始めていることを物語っている。
男女混合の大会が、エンタテインメントを目的とする“お楽しみ大会”ではなく、公式大会として開催されれば、選手たちの意気込みも高まり、大会に対する人気や注目度もアップし、大会の位置づけも自ずと高まるのではないだろうか。
ポイントが加算されランキングに反映される公式大会として、日本でも男女混合戦が開催されれば、日本のプロゴルフ界に新風が吹き込むのではないかと思えてならない。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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