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- 元世界ランク1位・申ジエが語る満足ゼロの2025年 永久シード王手でも「過程にすぎない」【独占インタビュー前編】
永久シードまであと1勝の申ジエが2025年を総括。「結果も内容も満足していない」と語り、集中力を重視する哲学と、30勝を「過程」と捉える現在地を明かした。
2025年を振り返り「結果も内容も満足していない」
永久シードまであと1勝。日本女子ゴルフ界の歴史に名を刻む“30勝目”が目前に迫っている申ジエ。2025年を振り返り「残念ながら、成績も内容もどちらも満足していません」と、37歳のベテランは“勝負師”の顔をのぞかせる。世界のプロツアー通算勝利数は「67」。日本29勝、韓国21勝(アマ1勝含む)、米国11勝、その他6勝。今もなお勝ち星を積み重ねられる原動力は何なのか。申ジエに話を聞いた。

昨年の申ジエのハイライトは、やはりメジャーの「ワールドレディスチャンピオンシップ」だろう。藤田さいきとのプレーオフを制してのメジャー制覇。2013年の茂木宏美(36歳17日)を上回る大会史上最年長優勝、東西コース制覇、生涯獲得賞金は史上初の14億円超えも達成した。さらに日本ツアー通算29勝とし、永久シード獲得まで残り1勝に迫った。
台頭する若手の勢いに押されつつも、元世界1位のメンタルと技術は健在。37歳にしてメルセデス・ランキングも12位で終えたとはいえ、悲願でもある年間女王には届かなかった。
「2025年シーズンを振り返って、成績と内容、どちらにより満足していますか?」と聞くと、すぐにこう返事が返ってきた。
「残念ながら、どちらも満足していません」
“手応え”や“充実感”よりも「足りないところ」に視線を向け続ける姿勢は、まさに“申ジエらしい”と言える。
「どの試合を振り返っても満足できないものです。結果が良かった試合でも、“満足”という言葉には届きません。すべての部分で努力を続けていかないといけないし、止まることはないでしょう」
勝負師特有の“冷静な残酷さ”とも言うべきか。うまくいった記憶に寄りかかった瞬間、進化は止まる――。申ジエはそれを、キャリアを通じて痛いほど知っている。
「高い集中力があればすべてよくなる」
ゴルフの結果や内容に対してストイックな申ジエだが、ある試合後にこう語っていたことがある。
「試合の中でミスはありましたが、“ゴルフの質”自体は悪くなかったです」
近年、「ゴルフの質」という言葉を強調する場面が増えた印象もある。ただ、その“質”とは何を指すのか。フェアウェイキープ率か、パーオン率か。それともショットの再現性か。現代のゴルフは機械と数字で語れる時代だが、申ジエの答えは違った。
「試合に没入する時間のことです。高い集中力さえあれば、試合の運び方も技術もすべてよくなるものです」
確かに申ジエの真骨頂は、最終日から一気に“まくる”安定感と集中力にある。リーダーボードの下位からじわりと順位を上げる強さは、3日間、4日間と集中力を保てるからこそだ。
それは“意識を強く持つこと”とは違う。雑念や迷いを消し、結果への恐れを手放す。そうすれば技術も戦略も自然と噛み合う――。高い技術があっても、それを引き出せる「状態」が重要だと説く。
そうした集中力を維持するための一つの方法として、近年は出場試合数を減らしているという。昨季は37試合中、22試合の出場にとどまった。30試合以上出場したのは2015年の31試合が最後で、以降は年間20試合台で推移している。
「20代の頃よりも出場試合数はかなり減りました。試合を減らす代わりに、1試合1試合により高い集中力を発揮するためです。むしろ参加する大会ごとに挑む気持ちが大切になってきますし、出場できることへの感謝の気持ちも強くなります。いずれにしても、勝つことが習慣化されなければいけない。結果的に勝つことも、自分自身に勝つことも、同じです」
永久シード王手でも「意識しない」 勝てば“楽しい”

昨年、29勝目を達成して以降、取材の場で永久シード(30勝)について問われる機会は増えた。残り1勝という歴史的な節目を迎える2026年だが、「(永久シードは)意識していません。目の前の優勝に集中するだけです」と、その姿勢は今も淡々としている。それは昨年から何も変わっていない。
「勝たなければ」という義務感に縛られているのではなく、むしろ勝負の本質を驚くほど率直に語る。
「やっぱり勝つのは楽しいです。自分を成長させて勝つという気持ちを持ち続けることが、自分のゴルフを守る方法でもあるんです。プロだからこそ、自分の方法で勝たなければならない」
その言葉からは“ブレない輪郭”が浮かび上がる。仮に今シーズン、永久シードを決める瞬間が訪れたとしても、それは“特別な終点”ではない。
「当然、(永久シードは)過程です。30勝で私の優勝が止まることはありません」
歴史的快挙を「通過点」と言い切る姿勢は、まだこの先も現役を続けるという強い意志の表れだ。彼女が言うように「優勝は止まらない」のなら、次の1勝は“達成”ではなく、新たな「始まり」になる。
取材・構成/キム・ミョンウ
■元世界ランク1位・申ジエが断言「日本の女子ゴルフはすでに世界水準の中にある」【独占インタビュー後編】に続く
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