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- 元世界ランク1位・申ジエが断言「日本の女子ゴルフはすでに世界水準の中にある」【独占インタビュー後編】
元世界ランク1位の申ジエが、日本女子ゴルフはすでに世界水準の中にあると断言。若手の体力向上や挑戦意欲を評価しつつ、データ依存への警鐘や世界で勝つための条件を語った。
「疲れた顔をしない」若手の体力がツアーの質を変えた
元世界ランキング1位で、2009年の米女子ツアー賞金女王でもある申ジエ。世界水準を知る彼女は、日本ツアーを誰よりも長く見てきた“観測者”でもある。若手の台頭を、単なる世代交代として片づけない。日本女子ゴルフ界の進化をどう見ているのか。申ジエに聞いた。

日本女子ツアーは、誰もが勝てる場所ではない――。世界ツアー通算66勝の申ジエはそう感じている。韓国と米国で賞金女王を手にした彼女は、日本ツアー参戦以降、常に「1番になること」を目標にしてきた。
2016年と2018年は惜しくも賞金ランキング2位。“女王”のタイトル獲得にあと一歩及ばなかった悔しさをにじませる一方で、日本女子ゴルフ界のレベルが確実に高まっていることにも手応えを感じている。
近年の日本の若手について、申ジエが真っ先に挙げた変化は意外にも“技術”ではなく「体」だった。
「日本選手の体力が、目に見えて良くなったと感じます。疲れた顔をしませんし、ものすごく努力する。挑戦することに対して目が輝いています。それがとても印象的で、私も刺激を受けて、さらに力が湧いてきます」
申ジエは若手たちの“表情”から、その変化を感じ取っていた。誰かの成長が、別の誰かを奮い立たせる――。そんな相乗効果が、今の日本ツアーには生まれていると強調した。
「世界に近づいた」ではなく「もう世界水準の“中”」
日本の女子選手たちの技術やメンタル面に対する評価も明確だ。
「体力があることで技術を高める時間が増え、集中力も高まり、メンタルも強くなりました。日本の女子ゴルフは“世界に近づいた”のではなく、すでに世界水準の中にあります」
これは称賛であると同時に、「次は世界で勝つこと」を求められる段階に入ったという意味でもある。今季の米女子ツアーには日本勢15人が参戦。昨年は山下美夢有がメジャーの「AIG女子オープン」を制し2勝で新人賞を獲得。西郷真央もメジャーの「シェブロン選手権」を制覇した。さらに竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜が初優勝を挙げ、原英莉花も米下部ツアーを経て今季から昇格した。
こうした流れに対し、申ジエは前向きに捉えている。
「日本の選手は、すでに挑戦することを恐れていません。たくさんの後輩たちに勇気を与えています。この流れは、かなり長く続くと思います」
では、世界で「確実に勝つ」ために必要なものは何か。
「私が米ツアーで戦ってきた時代から変わらないと感じるのは、一つは言語、もう一つは生活面です。ゴルファーは常に変化する環境の中で生きています。そこに適応し、その中で自分なりの楽しみを見つけること。プレーに集中し、生活に余裕を持つことが成功の秘訣だと思います」
データゴルフへの警鐘「試合中に機械は使えない」
一方で、申ジエは現代ゴルフが抱える“危うさ”にも警鐘を鳴らす。
「最近は機械を使い、数字だけでゴルフをする選手が多く見られます。でも試合中に機械は使えません。一人で分析し、判断しなければならない。その感覚を、データに頼ることで少しずつ失っているのではと感じます。もっと感覚を研ぎ澄ませて育てていく必要があります。機械は確認する程度で十分です」
トラックマンなどのデータ分析が主流となった現代ゴルフにおいて、この言葉は重い。数値があればスイングを説明できるかもしれない。だがゴルフは自然との闘いでもある。風が変わる。芝目が変わる。グリーンが硬くなる。観客の空気が変われば、緊張の場面で心拍数も変わる。最後に決めるのは、常に自分自身だ。
申ジエは、その「決める力」が薄れていくことを危惧している。その言葉は、ゴルフの本質を突いているように感じられる。
金澤志奈との抱擁を振り返る

申ジエのエピソードとして、昨年の「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」でツアー初優勝を果たした金澤志奈との関係も話題となった。金澤が優勝を決めた直後、申ジエが抱きしめたシーンは、多くのファンの胸を打った。
同じマネジメント事務所に所属し、練習を共にする機会も増えたという。30歳での初優勝、しかもメジャー制覇という結果に、申ジエも強い感慨を覚えた。
「諦めずに耐えて勝ったことへの感動と、感謝の気持ちでいっぱいになりました。2年ほど前から、いずれ勝つ日が来ると感じていましたし、ゴルフが安定していく過程を見ていたので、本当にうれしかったです」
現在は後輩から助言を求められる機会も増えたが、むやみに言葉をかけることはしない。
「私は言葉の一つ一つに、とても慎重です。大切なのは、質問する選手が“何を聞いてくるか”。それによって答えは変わりますから」
申ジエは、常に相手に合わせた助言を心がけている。
「まだゴルフ人生は前半。7番から8番に向かう途中」
シーズン開幕を前に、申ジエはこのオフをオーストラリアで過ごすという。恒例の海外合宿は、すでに始まろうとしている。
「自らを追い込み、ゴルフを突き詰めるのが楽しいんです。もっとゴルフにはまりたい。2026年も諦めず、すべての部分で成長していきたい」
引退については「まだ遠い話」ときっぱり言い切る。国内ツアー30勝の永久シードまであと1勝という節目が迫るが、本人はそこに物語を求めない。
「ゴルフ人生を18ホールに例えるなら、まだ7番から8番に向かう途中。まだ前半で、力はたくさん残っています」
勝ち方も、負け方も知った今も「もっと伸びたい」と語る。その姿勢こそが、申ジエがツアーにいる限り、日本の女子ゴルフがもう一段階、強くなり続ける理由なのかもしれない。
取材・構成/キム・ミョンウ
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