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- 地元メジャーで流した涙の理由 金澤志奈プロ9年目の初優勝と申ジエとの深い絆【独占インタビュー前編】
プロ9年目で迎えた悲願の初優勝は、地元開催のメジャー大会だった。幾度も味わった「勝てそうで勝てない」苦しみ、極限のプレーオフ、申ジエとの抱擁――金澤志奈が涙の初Vを振り返る。
「勝てそうで勝てなかった」苦しみからの解放
2025年シーズン、プロ9年目にして悲願の初優勝をメジャー大会「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」で飾った金澤志奈。多くのファンを涙させた申ジエとの抱擁シーンは、今も記憶に新しい。今回、オフの貴重な時間を借りてインタビューを敢行。地元・茨城でつかんだ初Vの舞台裏から、戦友・申ジエとの絆、そして飛躍を誓う2026年への展望まで、今の率直な思いを聞いた。

2025年シーズンを振り返り、金澤の口から真っ先に出たのは、安堵と喜びに満ちた言葉だった。
「一生懸命やってきて本当によかったです。自分にとって、これ以上ないほどにうれしい一年になりました。振り返ってみると、やはり『勝てそうで勝てなかった』というこれまでの苦しみから、ようやく解放されたという感覚が一番強く残っています」
2017年のプロテスト合格から8年。実力は誰もが認めながらも、あと一歩が届かない。周囲からも「次は金澤が勝つ番」と言われ続け、期待とプレッシャーが入り混じる日々を過ごしてきた。
「去年までは『自分に優勝ができるんだろうか』という思いが、どこかにありました。ただ、2025年に入ってからは優勝争いを何度か経験できましたし、最終日が課題だった中で、そこでスコアを伸ばせるようになって、少し自信がついてきたんです。どの試合でもいいから、とにかく一度優勝したかった。それが、たまたま地元で、しかもメジャー(日本女子プロゴルフ選手権)という大きな舞台だったことは、本当にうれしく思います」
息が苦しくなるほどの重圧と「ラッキーパワー」

最終日のプレーオフ。あの極限状態で、どのような心境だったのか。金澤は当時の鼓動を思い出すように語った。
「プレーオフになった瞬間、どうしても『勝ちたい』という気持ちが先行してしまって、実は息が苦しくなるような感覚がありました。どうしよう、と緊張しながらも、でも勝ちたい。その気持ちが頭の中を行き来していて、その昂る感情を抑えようとする時間が、今大会で一番苦しかった場面です」
ティーショットを右に曲げた瞬間は、さすがに焦りもあった。しかし、ボールは幸運にもラフに残っていた。
「そこからは吹っ切れたというか、逆に『勝つぞ』という思いでプレーすることができました」
地元からの大声援も大きな追い風となった。
「初日から本当にすごい声援で、力になりました。ラフが深いコースでしたが、曲げてもなぜかラッキーな場所に止まってくれることが多くて。地元の皆さんの応援があってこその『ラッキーパワー』だったんだなと思っています」
激闘を制した直後の自己評価は、金澤らしい謙虚さに満ちている。
「結果については満点の10点です。ただ、自分のゴルフの内容としては課題も多くて6点。でも、以前は安全なほうを狙う“守り”のゴルフが多かったのに、あの日は最後まで“攻め”のスタイルで行けた。そこは自分を褒めてあげたいです」
「雲の上の存在」から「心で通じ合う戦友」へ

金澤の初優勝を語るうえで、元世界女王・申ジエの存在は欠かせない。2人の出会いは、金澤が中学2年生の頃。コーチである金愛淑プロの合宿だった。
当時、アメリカを主戦場に活躍していた申ジエは、まさに「雲の上の存在」。しかし実際には、優しく声をかけてくれる憧れの先輩だったという。ここ3年ほどは、オーストラリアでの合宿を共にするなど、より深い関係を築いてきた。
「優勝した瞬間、ジエさんの顔を見たら涙が溢れました。ジエさんも『自分の優勝で泣いたことないのに、泣いちゃった』と言ってくださって……。金プロからも『勝って見せるのが一番の恩返し』と言われていたので、それをジエさんの前で叶えられたことが、本当にうれしかったです」
「同士として、言葉以上に心で通じ合うものがあったと感じています。あの抱擁は、皆さんに恩返しができたこと、そして地元でメジャーを勝てた幸せを象徴する、最高の場面になりました」
プロ9年目、地元でのメジャー制覇。万雷の拍手と、心から敬愛する先輩との抱擁は、長く苦しい日々を耐え抜いた金澤への、何よりのご褒美となった。
しかし、この劇的な勝利は決して偶然の産物ではない。彼女を「勝てそうで勝てないプロ」から「メジャー覇者」へと変貌させたものとは何だったのか。
後編では、会見で漏らした「つらい日のほうが多かった」という言葉の真意、申ジエと共に歩んだ過酷な肉体改造の裏側、そして2026年シーズンに向けた新たな野望に迫る。
取材・構成/キム・ミョンウ
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