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- 2度の出産経て11年ぶり優勝! 37歳・一ノ瀬優希はいかに“戦える体”を取り戻したか? 美談だけではないママアスリートの現実
2度の出産を経て、昨年のステップ・アップ・ツアー「あおもりレディス」で11年ぶりの優勝を飾った一ノ瀬優希(いちのせ・ゆうき)。そこには“美談”だけでは済まされない、ママアスリートならではの厳しい現実があった。
「下半身が戻るまで、絶対にクラブを握らないと決めていた」
最終日「66」。トーナメントレコードに並ぶ圧巻の逆転劇でした。
昨年7月のステップ・アップ・ツアー「あおもりレディス」で11年ぶりの優勝を飾った一ノ瀬優希選手(37)。さらに昨年末のQTでは33位に。JLPGAツアー通算3勝の実力者が、結婚そして2度の出産を経て、今シーズン、9年ぶりに開幕戦からJLPGAツアーに挑みます。
2020年の1人目出産後、一ノ瀬選手が感じたのは結果以上に「戦えていない」という手応えのなさでした。
「準備が足りないのは仕方ないとしても、できるなかでやっていたつもりだった。でもまず飛距離が出ない。パーを拾うことはできるけれど、勝負しているっていう感覚がまったくなかったんです」
わざわざ子どもを預けてまで試合に出る意味はあるのか? という気持ちもよぎるなか、2人目の出産(24年5月)後に彼女が決めていたのは「ゴルフの練習よりもまずはトレーニング」ということでした。
「1人目の時はすぐにゴルフを始めてしまい、体がフワフワした状態が続いてしまった。だから2人目の時は、骨盤や下半身がしっかり戻るまで、絶対にクラブを握らないと決めていたんです」

1人目よりも2人目の出産の方が体の戻りは遅かった。それでも焦ることなく体づくりを優先し、飛距離を取り戻したことで、25年は再び「戦える」という手応えをつかみました。あの逆転優勝は、まさにその「周到な準備」が結実した瞬間でした。
ママアスリートの“美談”だけでは語れない、切実な本音も一ノ瀬選手らしいところです。
「若い時はお金のことなんて考えたこともなかったけど、今は経費のことばかり(笑)。『今週は赤字じゃん、子どもを預けて何しに来たんだよ!』って。『プラスにして帰ってこいよ、自分!』って思っちゃうんです」
誰も責める人はいない。むしろ周囲は後押ししてくれている。けれど、自分自身が一番「子どもを預けてまで戦う意味」にシビアでありたい。プロとしてのプライドと責任感が彼女を突き動かす原動力になっているようです。
QT直前に子どもたちからアデノウイルスに感染
26年の出場権をかけたQTは“絶体絶命”の状況でした。直前に子どもたちがアデノウイルスに感染し、それが一ノ瀬選手にも伝染。さらに胃腸炎、子どもたちはインフルエンザと、感染症の連鎖が続きました。
「アデノで目がおかしくなって、ラインも読めないし、前後の組に誰がいるかもぼやけて見えない。でもそれが逆に良かったのかも。ラインは(キャディーを務めた)夫に読んでもらって。周りを気にせずプレーできました」
3週間ほとんど練習ができないまま臨んだ4日間。初日はオーバーパーを叩いて出遅れたものの、2日目以降で挽回。最終日は69をマークし、順位を大きく上げて、「前半戦出場権」獲得といえる33位でフィニッシュしたのでした。
一ノ瀬選手のスイングの構築を支えるのは、ツアー2勝を挙げている夫・谷口拓也プロの存在です。「知識も技術も私より上。そこは尊敬しています」と言い切ります。QTに続き今季は夫がキャディーを務める機会も増えそうですが、「毎試合、四六時中一緒は無理!(笑)。月1回くらいで、スイングも見てもらえるのがちょうどいいはずです」
そんな彼女には、いま明確な目標があります。
「2人の子どもがいてツアーで優勝したのって、森口祐子さんくらいですよね。だから2人いて優勝できたら本当にかっこいいよな、と思っています」
モチベーションの源は、いつだって子どもたちの存在。昨年の優勝後、娘さんが「青森はママが優勝したところだよね!」と話してくれるといいます。そして、一ノ瀬選手自身の中にも、ある変化が起きました。
「去年の優勝で私自身も思い出しちゃったんですよ。優勝のうれしさを。『あ、この感じ!』ってね。それをまた味わいたいです」
家事と育児に追われ、自分の時間はほとんどない。子どもたちのお迎えの時間を考えると1ラウンドを回るのも簡単なことではない。あっという間に1日が終わっていく毎日。そんなバタバタな日常の中でも、一ノ瀬選手は再び、勝利への渇望を隠しません。再びJLPGAツアーの舞台で戦う準備は、もう整っています。
小西綾子(こにし・あやこ)

大阪府出身。日本体育大学 大学院体育科学研究科修士課程修了。大学院卒業後、スポーツ科学関連への進路もあったが、身近に感じたスポーツの楽しさ、醍醐味を伝える仕事をする決心をし、それまでのキャリアを捨てしゃべり手としての人生をスタート。ゴルフ中継の実況、ラウンドリポートに定評あり、インタビュアーとして選手からの信頼も厚い。主な出演番組は「JLPGA レギュラーツアー・ステップアップツアー中継」実況・ラウンドリポーター・インタビュアー(スカイA、U-NEXT)、「LPGA 女子ゴルフツアー中継」実況(WOWOW)、「マナミ&光里のGOLF LOVERS」司会(J:COM BS、ゴルフネットワーク、スカイA )
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